第14話

数日後。私は忘れ物に気付いた。

「お弁当忘れたー...」

「なら、購買のパン買ってきたら?」

「うん、そうする」

千春に言われ、財布を手に持ち、購買へと走った。どうせなら美味しいパンを買いたい。

あまり購買を利用しないから、何があるのかよく分かってなかったが、1つの貼り紙を見つけた。

≪10個限定!

"あまおう"をまるまる1個サンドしたイチゴ好きにはたまらない贅沢イチゴパン

税込150円≫

限定という言葉に弱い私は、イチゴパンを目指して購買へ。


すると、すでに何人かイチゴパンを購入している生徒がいた。私もさっさと並んで9番目でなんとかイチゴパンを買うことが出来た。

あと1個メロンパンを買って教室に戻ろうとした。

「イチゴパン完売でーす」

ふとそんな声が聞こえて、走ってきた生徒はガッカリしていた。最後のイチゴパンを買った生徒は...


兄だった。

兄は一安心したようにその場に座り込んだ。

すると...

「あ、イチゴパンがこんなところに!ラッキー♪」

1人の男子生徒が兄が手にしていたイチゴパンを奪い取った。

「あっ...それはっ...」

兄の言葉を無視してその生徒は走り去った。

その背中を見送る兄の目がかなり泳ぎ始めた。


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