第9話

そして、バスに乗って学校に登校した。

バスの中には同じ制服を着た男女が数人乗っていた。その内の1人がこちらに気付き、近寄ってきた。

「おはよー芽依!」

「おはよー千春」

塚原千春。1年から同じクラスの親友だ。私とは真逆でオシャレが好きで、可愛らしい女の子。

「芽依、見て!昨日買ったんだー」

「ブレスレットって...バレても知らないよ?」

「平気平気♪」

千春は私がオシャレ興味ない事ももちろん知ってる。よく"あれを買った"という話をしてくるが、私にオシャレを強要してくる事はないし、飽きずにいつも好きな物を楽しそうに話してくれる千春が私は好きだ。



千春と話してる内にあっという間に学校前に着いた。千春に続いてバスから降りると、校門前で人だかりが出来ていた。

「あ、櫂(かい)先輩だー!」

千春が嬉しそうに人だかりの方へ走っていった。櫂先輩とは、3年の藤本櫂。頭良くて、スポーツ出来て、イケメンで、性格良くて...周りの女子が放って置くはずがない。千春も、その1人だ。


私は先に教室に向かうことにした。

いつものように廊下を歩いていると、廊下で屯う女子グループの会話が聞こえてきた。

「ねぇ、バスで木部に会ったんだけど!今まで1度も会わなかったのに朝からテンション下がるわー」

「うわー...ドンマイ。バス通勤は止めとこ」

「何か不幸になりそうだよね」

「いるだけで迷惑」

いつもと同じ光景。いつも聞く、1人に対する悪口。...ただ、1つ変わった事。


ターゲットの人物が、赤の他人ではなく、もう自分の家族だという事。

と言っても、好きではないし、気が弱すぎて寧ろ嫌いだが、その会話を聞いた瞬間、何故か自分の中にモヤモヤとした気持ちがあった。

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