第2話

「再婚...?」

突然の事に思わず間抜けな声を出す。

だが、落ち着いて考え、言葉を切り返す。

「でも、佳代子さんは旦那さんいるんでしょ?離婚しちゃうの?」

すると、父はきょとんとした顔をした。

「何...?」

不可解な父のその顔に自然と眉間にシワを寄せてしまう。


「知らなかったか?

佳代子は、シングルマザーだぞ」


「え⁉」

初めて聞く事実に、さらに頭が混乱する。

父が続けた。

「佳代子の旦那は、優希が亡くなるさらに前に亡くなってる。交通事故に遭って」

優希とは私の母の名前だ。5歳の幼い記憶で曖昧だが、名前の通り、とても優しい人だったと思う。 佳代子さんも何処ともなく母に似ていた。

父もそんな佳代子さんだからこそ、再婚を決めたんだろう。私に2人の再婚を反対する理由などない。

「いいんじゃない?2人が幸せなら」

私がそう言うと、父は

「ありがとう、芽依」

とても柔らかな笑顔を浮かべた。

そんな父を見て、私も自然と笑みが溢れた。



そして、新しい生活が始まるワケだが、これが想像以上に波乱な日々になることなど、私は知るよしもなかった。

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