加法混色減算(300字SS)
風が吹き、薄紅の吹雪が辺りを染めた。鮮やかな緑の土手には黄色い花が帯を作り、半刻に一度、古びた車両が通り過ぎる。
セッティングは万全。空は快晴。風は強すぎず弱すぎず。
陽は傾きを更に深め、刻一刻とその時が近付いてくる。
が。
「赤さが足りん……!」
「晴天続きだからね」
「絶好の機会が」
「コレばかりはね」
相棒の悲鳴を聞きながら、タブレットを用意する。
充電池へと接続し、一冊の電子魔術書を呼び出した。
「そんな気がしていたんだよ」
魔法陣が光と共に浮かび上がる。風景の青みが消えていく。青が消えれば残るのは。
「これだ!」
風が吹き、薄紅の吹雪が舞い上がる。警笛が山に木霊して、深い夕焼けを背景に古びた車両が走り抜けた。
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