模造聖光(ホワイトアウト)(300字SS)

 タップと同時に魔法陣が浮かび上がる。光が生まれて光が散って、積分の光が視界全てを多い尽く――す前に、唐突に消えた。

 バッテリー残量10%。MANAはそれほど使わないが。

「無理だろ」

 ポツリと響いた。

「バッテリーは」

 言葉が続いた。

「携帯用だろ」

「桁が違うぞ」

 ため息と諦念が光の代わりに散るかのように。

「周囲の光を集めたら?」

 視線が声に集中する。シナプス駆動の計算音が、数瞬の静寂を生み。

「球体計算やるわ」

「センシングは俺が」

 キャスターが床を鳴らし始める。


 大量の光を散らして模造聖光(ホワイトアウト)。そんな『奇跡』をご所望だとか。

「宗教さんも必死だねぇ」

 だから散らされたんだとは、小さな笑いに散って紛れた。

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