MC編 終了後
◆
「この度は、報道部次期部長の
ガコッという音と共に一間開き、小豆は続ける。
「応援のメッセージもいただき、とっても嬉しいです!! これからもお姉ちゃんと一緒に、気を引き締めてハンバーガー屋さんの食レポを頑張っていきたいと思います!!」
「お前、リビングでなに独り言言ってるんだ?」
◆
小豆はリビングでボイスレコーダーを握っていた。そこへ風呂上がり全裸でバスタオルを首にかけた
「ちょ、ちょっとお姉ちゃん!? 家だからって、裸で出てこないでよ! 服着てよ服!」
「はぁ? 別に誰かに見られてる訳じゃないんだから良いんだよ。それよりも、さっきからリビングで大きな声を出してどうした? ボイトレなら自分の部屋でやりなよ
「
小豆の反論を聞きながら餡子はキッチンへ向かい、冷蔵庫からビールを取り出す。プシュッと缶を鳴らすと、中の冷え冷えに液体を食道から暖まった体に流し込んでいく。
「……っん、あ~うま。そう言えばこの前のハンバーガーの記事どうしたんだよ? ちゃんと記事かけたのか?」
「それがねお姉ちゃん! 反響があったんだよ! 久しぶりにハンバーガー食べたくなったとか! 私とお姉ちゃんのやりとりが面白いとか!」
「ふーん。そっか、どんな記事を書いたのか知らんが良かったな」
興味なさそうに、グビグビと腹の中にビールを注ぎ込む餡子へ、更に小豆が続ける。
「という訳でお姉ちゃん! この調子でまた続きを書こうと思ってるから手伝ってよ!」
「あ? 何で私がまた?」
「何だかんだお姉ちゃんの解説があったからこそだよ!」
「……そうだな。お前だけじゃ到底食レポなんて書けなかっただろうからな」
餡子はビールを飲み干すと、また新たな缶を冷蔵庫から取り出す。それを見た小豆はたまらず制止の意志を投げかける。
「まだお昼前なのに、飲み過ぎだよお姉ちゃん!」
「良いんだよ。アタシはただ喉が乾いただけ。ビールは飲み物。故にどんな時でもビールは飲んで良いんだよ」
缶を持った餡子はそのまま部屋を出ていく。
「まあ、気分が乗ったらまた食レポに付き合ってやるよ。どうせ今コンテスト用の小説制作しかしてないしな」
「お姉ちゃん大学は行かなくて良いの?」
「単位揃えたから受ける必要な授業がないんだよ。人生最後の夏休み、好きなことをし・な・きゃ・な!」
餡子は会話中にリズムを取りながら、最後には尻で扉を押し閉めて出ていった。
「……」
小豆はその一部始終を見続ける。
「……やっぱり、お姉ちゃんの生態を記事にした方が受けるかもしれない……お姉ちゃんの部屋の反応も多かったし……」
そう言って、小豆は録音ボタンを切った。
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