唐突の転校生(丁)
「来たわね。」
どういう訳か嬉しそうに言った。嬉しいのは
「——あ、可愛くなったじゃない。」
「ん……」
シオンは
「じゃ、
「仕様がないじゃない。一般人しかいない教室に
「姉さん、一般人ばかりの学校に
最もな意見だ。そもそも、
「あら、この決定が私だけのものだと思ってるの?」
「そうじゃなきゃ誰が?」
「……まさか……、いや、でもあの人はさすがに……」
「そのま・さ・かよ。」
「
「ええ。」
「当主なのよ。そんなこと……。だって、
「まあ、
「姉さんは左に寄りすぎよ。むしろ、頭、おかしいんじゃないの? それより、本当に
「昨日そう決まったわ。」
「分かりました。そういうことなら従うわ。」
〈狂ってる。〉
カラン……、カラン……。下駄の音が聞こえた。周りの生徒が妙に静かになって、ヒソヒソとした話し声が四方八方から聞こえてくる。
嫌な予感がする。
振り向けば、
ああ、やっぱりそうか。
「ごめんなさいね。手続きは私も必要なのよね。」
「ええ、来ないからどうしたものかと思ってたわ。」
「シオン、行きましょう。
「もちろん。」
そうして
────────
その日の昼休み、俺、
「姉さん、朝は時間が無かったけど、今度は話してくれるわよね?」
「何のことかしら?」
嘘つけ、分かってるだろ。
「
「まあまあ、そう怒らないの。
「まあ、私も悪いとは思ってるわよ。」
「もう面倒臭いからそういうことで良いわ。じゃあ、私と
「何ですか?」
「今日は巡回、無いわよね?」
「ああ、はい。どうかしましたか?」
「別に。」
……妙な沈黙が漂った。
「ああ、そうそう、私、ちょっと
────────
放課後、俺は
酒臭い神主が玄関に座っていた。
「おやおやぁ、
ダメだこいつ。酔ってやがる。つーか、今朝、寝込んでたんだよな?
「昨日、会いましたよね?」
「そうでしたかぁ? ああ、そうだったかもしれません。」
「そうですよ。ああ、もう……、とりあえず帰ったらどうですか?」
「そうですにぇ。」
あの野郎、あれで神主やってるんだよな。俺だったら参拝したくはないけどな……。
俺の部屋には札が散乱していた。あ、片付けるの忘れてた。
「はぁ。」
ため息を
「——片付けるか。」
俺は札をまとめ始めた。
作業には思いの外時間が掛かった。時計を見たら1時間近く経っていた。
コンコン、ノックする音が聞こえた。
「はい?」
「
「どうぞ。」
「
「分かったら苦労しませんよ。」
「あら、私、苦労かけてた?」
「自覚ないんですか?」
「さあ?」
「で、何なんですか? まさか、こんな茶番のために来たんじゃないですよね? わざわざ結界まで張って。」
「あら、バレてたの。そうそう……、ちょっとまだ確信はできてないのだけど……、赤い霧、発生しそうだそうよ。」
「ああ、またそういう時期ですか。いや、早すぎるじゃ……。それに何だかこの辺りばかり出てる気がしますけど?」
前にやったのは5年前だった気がする。確か赤い霧の発生周期は10年程度のはずだ。
「そういうこともあるのよ。今回はお隣の寺金市が発生源みたいだけど、ほぼ確実にこっちに来るでしょうね。」
「何故、他の
「まあ、そう言わずに……ね? それにまだ不確実な情報よ。じゃあ、私は月公寺に行ってるから、
俺が何か言う隙を一切与えず、
****後書き****
よし、やっと2話目に入れるぞ!
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