第3話夢に向かって

「まま、たたかいごっこしよー」


「またぁ!? 嫌よケンタの戦いごっこって、『戦い』じゃないんだもん」


「ねえ、やろうよぉ。ぼくが、お面ライダー。ままはジョッカー」


「ジョッカーなの? 特徴のある悪役じゃなくて、あのごちゃーっと出て来てなんとなく倒されるあれ?」


「そう」


「そうなんだ……。じゃなくてさ! ケンタの戦いごっこって、ひたすらぶったり蹴ったり叩かれたりするんだもん。嫌よ痛いし。これから夕飯作らないといけないし」


「でもやろうよー。だってさ、ぼく、大きくなったらお面ライダーになるんだもん。

 だからこうやって、いっしょうけんめいたたかいごっこしているんだもん」


 ああ。

 ケンタの「戦いごっこ」は、お面ライダーになるための練習だったのね。


 ママもね、一生懸命小説家ごっこしているんだけれどね。

 夢ってね、なかなかね……。


「ケンタがお面ライダーになるためだったらしょうがないか。夢の為の練習は大事だもん。じゃあね、一回だけよ」


「やったー! じゃあスーパーオメンソードだ! いくよー!」


***


【今日、学んだこと】

*子供は気に入った遊びを果てしなく繰り返す。

*おもちゃでも当たれば本気で痛い。

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