6 客の話

僕と未知流さんは、集められていた、当時、館内にいたお客さんの話を聞くことにした。まず最初に聞いたのは、当時、事件が起きた企画展の隣、常設展にいた双子の桂山英樹かつらやまひできさんと祐樹ゆうきさん。

「俺たちは、そん時、噂の〝桜の花(チェリーフラワー)〟を見に来たんだ。で、見入っているときに隣で、キャーって声がしたから、びっくりして、企画展のほうに見に行ったよ。そしたら、外国人が血相かえて叫びまくってたんだ。」

兄の英樹さんがそういうと、弟の祐樹さんもこくこくうなずいていた。次に話を聞いたのは雪野綺羅ゆきのきらさん。彼女は、当時、英樹さんたちがいた常設展のとなり、歴史ルームにいたそうだ。

「私さ、週に2,3回来るんだけど、あの外国人、企画展にいた、女の人ととっても仲良く話してるのを見たよ。しかも、事件が起こった時、なんか獣臭かったような。」

ほかのお客さんも同じような話だった。

「獣臭いってところが引っかかりますね。」

すべてのお客さんの話を聞き終わって、僕は未知流さんに言ってみた。

「これは推測だけどね、レク。たぶん、石川さん、動物が苦手だったんだよ。」

「どうしてですか。」

「石川さん、目立った外傷はなかったらしいよ。となると、残る方法は、嫌いなものをみせて、気絶させる方法。」

「ふーん」

僕は、ちょっと理解した。

 僕たちは、一度、事務所に戻った。あの液体を調べるために。

「へえ。レクって理化学部出身だったんだ。」

いろいろ器具をもってきた僕を見て、未知流さんは声を上げた。

「そうですよ。特に、液体解析は、一番の得意分野です。」

そういいながら僕は、液体を、柔らかくして、ある機械に乗せ、パソコンを見た。こうすると、パソコンに何の液体かすぐにわかるのだ。

「出ました。液体の名前はウッド・サルト。ある、国でしか製造されないとっても希少な液体です。」

「ふーん。レク、この事件、わかったよ。」


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