4 受付の人の話

僕と未知流さんは、東山さんと一緒に東山美術館にいった。美術館の中に入ると、警察官が数人と、刑事さんらしき人が一人いた。その人は、未知流さんを見つけるなり、こっちに大股で歩いてきた。そして、いきなり大声でしゃべりかけてきた。

「やぁ。久しぶりだね。今回の事件に君も呼ばれたのか?」

呼ばれたから来たんだろ。僕は口には出さなかったが、そう思った。

「ええ。東山館長に探偵の依頼を受けたもので。」

「がっはっはっは。そうだったのか!まぁまた、君の力に頼らせてもらうよ。」

刑事さんと未知流さんの会話を聞いて、僕は、この二人が知り合いなのかも、と思った。

「未知流さん。この人、未知流さんの知り合いですか?」

僕は、未知流さんに尋ねた。

「あ、そうだった。レクは知らなかったんだった。この人は、私の友人で、山村刑事。」

「こんにちは。」

「いやぁ。はっはっはっは!未知流にもお供ができたか!」

僕が挨拶すると、山村刑事は豪快に笑いかけてくる。

「それで・・・山村刑事、事件当日に館内にいた人は、何人なんですか?」

未知流さんが、自己紹介から話をぶっとばしたので、僕は慌ててメモを用意した。

「そうだな~。たしか館長が一人、受付が二人、ガードマンが四人、客が六人だったような気がする。」

「ありがとうございます。合計で十三人ですね。」

「何か、わかったんですか?」

僕は、話に遅れそうになったので、未知流さんに尋ねてみた。

「うん。受付もガードマンもお客さんもしっかりいる中で盗みを働いたんだ。相当、頭がよかったんだね。」

「それだけですか・・・」

「それだけでも収穫だよ。よし、まずは受付の人の話を聞いてみようか。」

「はい。」

僕たちは、まず受付の人の話を聞いた。右と左に一人ずついて、まずは右の坂上咲さんから聞くことにした。

「ええ。そうですね・・・あまり記憶にないのですが、外国人の男性の声を聴いて、びっくりして警察に通報したことぐらいしか・・・。すみません。あまりお役に立てなくて。」

坂上さんがいきなり謝ったで僕は、慌てて、

「そんなことないですよ。どうもありがとうございます。」

と言った。左の佐藤小恋さんも同じような話だった。

「結局、二人とも同じような話でしたね。」

僕は内心、ちょっとがっかりしていた。

「それでも、まだいいほうだよ。私が前、受け持った仕事では、なんにもしゃべってくれない人もいたんだから。」

未知流さんって前から探偵やってたんだと、僕は思った。

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