第64話 知られた関係







「…ねぇ、真琴。拓夢って知ってる?」



裕也が居なくなって、静かになった空間に、爆弾が落とされた。



「………え?」


「拓夢。東高の制服着た、僕らと同い年の男子」



それは多分、俺の知っている拓夢なんだろうけど。

…あれは、東高の制服だったのか。

他校の制服なんて覚えてないから、言われてもわからない。



「あー・・・多分、知ってる」


「そっか…」


「…智紀って、拓夢の知り合いとか?」


「僕達、幼馴染みなんだよね」


「へぇ…」



驚いた。

まさか、智樹と拓夢が繋がっていたなんて。

しかも幼馴染み。


何て世間は、狭いんだろう。



「…で、何が聞きたいの?」



そこから進まない会話に焦れて、俺は尋ねる。

智樹が、重い口を開いた。





「真琴と拓夢、付き合ってるんでしょ?」






息が止まった。



何で、なんで、なんで?

どうして、真琴が知ってるんだ?

どうして、知られたんだ?


――今、何を思っているんだ?


引かれた?

気持ち悪い?


智樹に嫌われる?



「…真琴!?顔真っ青だよ!大丈夫!?」


「…え?あ、…」


「僕、そういうの偏見無いから…大丈夫だよ」




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