第29話 愛でるもの
「もうやめなよ、裕也。真琴が可哀想だよ」
俺が諦めかけた時。
裕也の後ろから声がした。
そして、俺の体は自由になった。
俺から引き剥がされた裕也は、不満そうに後ろを見る。
「何で邪魔するんだよ。いいところだったのに」
「確かに僕としても、とても嬉しい光景だったよ。でも真琴、すごく嫌がってたから」
必死の抵抗だったでしょうが、と智紀は言う。
俺を救ってくれたのは、またしても智紀。
…まじ天使だわ。
周りの奴らは、面白がって見てるだけ。
男子はニヤニヤしてるし、女子はキャイキャイ言いながら見てる。
何故だ。
…ん?
でも智紀も、とても嬉しい光景って言わなかったか?
さっきの光景の、どこが嬉しいんだ。
可愛い女の子でもないし。
全然目に優しくない。
俺は恋愛対象が男だけど、女の子の方が綺麗だと思う。
別に興奮したりは、しないけど。
芸術的に綺麗だと感じる。
でも実は、少し前まで女性恐怖症だった俺。
それを徐々に克服してきて、女の子を綺麗だと感じれるようになった。
でも、やっぱり恋愛対象になるほどは、好きになれなくて。
俺が男とヤるのに、そういうところも関係したりしている。
…けど、いくら俺が男好きでも、さっきのは気持ち悪かった。
そこまで裕也のこと、好きじゃないし。
それにあの嫌な笑み。
俺はそれを思い出して、ゾクッとした。
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