第20話 小さな誤算
公園を飛び出した俺は、街に来た。
暗い空の下で輝くのは、人工の光ばかり。
星の光なんて、届きもしない。
皆がみんな下を向いて歩いている。
楽しそうに喋ってるのは、派手な若者くらいで。
ほとんどがつまらなそうに歩いている。
…まぁ、俺が一番冴えない顔してるんだろうけど。
何してるんだろうな、俺は。
「犯してやるから」なんて言ったけど、俺タチじゃないし。
実際は犯される方だし。
あ、俺から突っ込めさせれば、犯すことになるのかな?
相変わらず頭の中がクズな俺。
拓夢には2回も邪魔された。
何なんだ、この確率は。
俺に恨みでもあるの?
「こんなことなら終わらせなきゃ良かったな…」
思わず口から出る後悔の言葉。
それは一昨日までセフレだった弘樹のこと。
連絡先を消したりしなきゃよかった。
そしたら拓夢に邪魔されず、ヤれたのに。
――ドン。
「あ、すいません」
下を向きながら歩いていたら、人にぶつかってしまった。
軽く謝って、通り過ぎようとする。
けれど腕を掴まれ、俺はその場に留まった。
「…え」
「…まこと?」
「は…?」
急に名前を呼ばれ、顔を上げると。
そこにいたのは、弘樹だった。
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