第18話 お節介と強がりと








「…わかった。もう帰るから、離して」


「…ほんとに?」


「ほんと」


「誰にもついて行かねぇ?」


「行かない」



じっと俺を見つめた後、拓夢は俺から離れた。


それでいい。

体が何だか寒いけど、これでいい。



「何であんたは、俺に構うの?」


「だって好きでやってるようには見えねぇから」


「…は?」


「好きで男と寝たがってるようには見えねぇ」


「何言ってんの…」



俺が望んでしてるのに?

何でそんなこと言うんだ。


何を見て、そんなこと思うんだろう。



「勘違いして、お節介してくるなよ」


「勘違い…?」


「そう」


「じゃあ、何であんな目して俺を見たんだよ」


「あんな目…?」


「公園で会った時、泣きそうな目してたくせに」



ひゅっとのどが鳴った。


ずいぶん前に忘れた感情が思い出される。







寂しい。悲しい。


助けて。どうか、誰か。








…こんな感情、望んでないのに。



「…してないから」



俺はやっとの思いで、そう呟いた。







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