第15話 二回目の公園






放課後。俺はまた公園に来た。


昨日と同じベンチにまで腰掛けて。

…何してるんだろう。



こんなの、昨日の男に会いたいみたいじゃないか。

会いたいのかな、俺は。



実は、割り箸だって持ってきている。


そこまでいったら、もう決定的なんだけど。

自分でも、何で会いたいのかわからない。


それに認めたくない。

俺は考えることを放棄した。



「1人で何してるの?」



突然後ろからの声。

俺は思わずビクッとする。


振り返ると、穏やかそうなサラリーマンが立っていた。



「…あ、いや別に」


「暇なの?おじさんとお話しない?」



…こいつヤるのが目的か?


見た目は、まあまあ。

やばそうでもないし、このおじさんの話に乗ろうかな。



「話なんかいいから、ヤりませんか?」


「え?」


「…なんだ。あんた男駄目なんですか」


「いや!そんなことないよ。ただこんなに簡単にいくとは思わなくて…」


「ふは、いいじゃないですか。俺、溜まってたんで」


「…見た目によらず、ビッチだな」


「よく言われます」



お互いに見つめ合い、少し笑った。

おじさんが、俺に手を差し出す。



「おいで。いい所に連れて行ってあげる」



俺はその手を、躊躇なく取った。


やっとセックス出来る。

やっとぐちゃぐちゃにしてもらえる。

何も考えなくていい。


結局来なかったあの男のことも、忘れられる。





なのに。







「――待て!」





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