第二章
第12話 多分おそらく結構好き
調子が良い時俺は、少し早く家を出る。
ダルくても、なるべく毎日。
会いたいやつがいるから。
「あっ…!」
いた…!
向こうもこちらに気付き、寄りそってくる。
可愛い可愛い可愛い!
俺はそいつの頭を、優しく撫でた。
――グルルル…。
嬉しそうに目を細めて、喉を鳴らすそいつ。
俺が毎朝早めに家を出るのは、この野良猫に会う為だった。
俺は多分、結構猫が好きだ。
温かいし、ふわふわしてるし。
将来は猫と二人暮らしをしたいと思っている。
高校の近くのこのレトロチックな住宅街には、野良猫が結構いる。
多い時には、三匹ほど見かける。
ここら辺に住んでいる人達が、猫に餌を与えてるのを何度か目にした。
だからここに住み着いているんだろう。
最初は俺が撫でても、反応せずにいたこの猫。
けど最近は俺が近づくと、向こうも近づいて来る。
懐いてきたっぽい。何それ可愛い。
ぼーっと猫を撫で続ける俺。
…そろそろ行かなきゃだな。
そう思い、ゆっくりと立ち上がる。
俺を見上げてくるそいつの頭を、ぽんぽんと手を2回乗せた。
「またね」
小さくそう言って、俺は歩き出した。
さぁ学校だ。
長い長い学校だ。
それを乗り越える為に、俺は毎朝猫と触れ合ってから行く。
温かい。
それが俺には必要なんだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます