第8話 こいつもハズレだろ?





…綺麗?

男の俺を…?


大して見た目が良いわけでもないのに?



「何言ってるんですか…」


「…俺もわかんない」


「…男に綺麗とか言わないでください」


「褒めたんだけどな」


「俺は女じゃないんで嬉しくないです」


「でも俺は、お前の顔好き」







…何だろう。この堂々巡りは。


何を言っても、この男は俺の顔を褒めることをやめない。

なんかもう、いちいち反応するの面倒くさいな。



「なに?あんたは男が好きなの?」


「え?いや、普通に女が好き」


「なんだ。男いけるなら、セックスしたかったのに」


「はっ!?」



男は俺の言葉に、ぎょっとした。


ぶっ。その顔ウケる。



「ちょうど新しいセフレ探してたんで。でも無理そうなのでやめときます」


「お前…大人しそうな顔してるくせに」


「関係ないでしょう」



はずれだ。はずれ。


こいつはただのノンケだ。

いや、雰囲気でわかってたけどさ。


俺は帰ろうと思って、ベンチから腰を上げた。




すると、後ろから腕を捕まれる。







「…ちょっと待て」





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