第2話 ビョーキと捕獲
ガラリと開けた教室のドアは、俺には重く感じた。
かなりの寝不足。
昨日の夜から朝までセックスして、学校には遅刻せずに登校。
ちゃんと学校に来る俺、偉くね?
なんて、馬鹿げたことを考えながら席につく。
一番後ろではないけど、とりあえず窓側の席。後ろから3番目。
窓に頭をべたっとくっ付けて外をぼーっと見る。
目に入ってくるのは登校中の生徒たち。
耳に入ってくるのはクラスメイトの声。
動いてる、生きている。
人間。命。
今ここにあるもの。
温度があって、それから…
あぁ――・・・死にてぇー…。
ふとした時に思うこと。
死にたくてたまらないんだ。別に何かある訳でもないのに。
なんかもう、俺ビョーキ。
クズ野郎っていうビョーキだわ。
いつもはこんな時、めちゃくちゃにセックスして現実逃避するのに。
今は学校。しかもセフレはもういない。
最悪だ。
なんで生きているんだろう。
なんで俺は、今ここにいるんだろう。
当たり前のことが認識出来ない。
皆が納得してることに納得出来ない。
しょうもないことをグルグル考えて、死にたくなる。
…駄目だ。今日はもう帰ろう。
こんな状態じゃ、また呼吸が苦しくなって発狂したくてたまらなくなる。
あんな恐怖、味わいたくない。怖い。
今来たばかりなのに、俺はまた荷物を持って席を立った。
周りに気づかれないように、こっそりと帰ろう。
そう思ったのに。
「あ!真琴なにしてんだよー?帰るの!?」
廊下に出たところで後ろからガバっと抱きつかれる。
でかい声。一気に注目を浴びてしまった。
「お前うるさ。俺帰るの、離せ」
「嫌だよ!真琴いねーと、俺つまんねーもん」
「知るかボケ。」
そう言って、後ろを睨む。
抱きついたまま離れないのは、クラスメイトの裕也という男。
俺は結構ガチで睨んでいるのに、こいつには全く意味がない。
裕也はなんとも図太い男で、自分の思った通りにしか物事を進めない。
自己中で小学生のように幼稚な男。そんな裕也が俺は苦手で、むしろ嫌いだ。
なのに何故か懐かれてしまったらしく。
しょっちゅう絡んでくるクラスメイトだ。
「はい捕獲ー!」
結局、裕也は俺を離してはくれず。
俺はまた教室へと戻るハメになった。
まじうぜーな、こいつ。
俺は、こっそりとため息をついた。
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