死ぬ前の話
丹桂
第一章
第1話 首輪とハズレ
「好きなやつに首輪とか付けたい?」
「は?」
セックス後のだらけた雰囲気。
セフレの弘樹は裸のままベッドの上で携帯を弄ってたが、驚いてこっちを向いた。
「え、ちょ。まこと何言ってんの。それ、結構ハードじゃね?」
「つまり、弘樹にはそういう性癖は無いと」
「普通は無いだろ」
そういうと弘樹は呆れたように溜息をついて、また携帯へと意識を向けた。
ふーん。なんだ、またハズレか。
俺はベッドの上でぼーっとしていたが、立ち上がり服を着出す。
そんな俺に気づいた弘樹は、帰るのかと声をかける。
でも俺はそれには応えず、携帯貸してと笑顔で言った。
「何に使うんだよ」
ゲームでもしてたのか、邪魔されて少々不機嫌そう。
ちょっと待って。すぐ終わるからさ。
「はい、ありがとう。」
「お前、何したの」
「俺の連絡先を消しただけ」
「は!?」
「で、お前の連絡先も今消したから」
そう言って俺は、未だ唖然としている弘樹に電話帳のところを見せた。
「え、え。なんで…?急にどうしたんだよ」
「何驚いてるんだよ?セフレの関係なんて、あっという間に無くなるもんだろ」
「…そう、だけど」
「じゃあな、弘樹。今までありがとう。」
三ヶ月程通った弘樹のアパート。
俺はそこから立ち去り、携帯を取り出した。
元から番号は教えてないし、唯一の連絡手段であるメアドは変えたし、これで綺麗さっぱりサヨナラだ。
セフレってこういう時いいなと思う。
後腐れなく終われる。なんて素晴らしいんだ。
「次のやつ探さなきゃだなー」
俺は所詮ビッチというクズ野郎。
もうこんなことを考えてる。
とりあえず今は、家に帰って学校に行く準備をしなければ。
あいつの精液飲んだから、腹減ってねーな。
そこまで考えると、自分のクズさ加減に笑えてきた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます