今そこに有る危機、召喚されてしまう。




「じ、祖父ちゃんに祖母ちゃん!」


ドライトを捕まえた4柱の龍神は、なんとドライト祖父母だった!


「ドライト、セレナが探しているから帰りますよ。」


「そうよ、ディアンも必死になって探しているのよ? 早く帰って安心させてあげなさいな。」


ドライトにそう言ってくる祖母のレムリアとヌーマ。


「うむ、わしとモリオンはちとここに残ってドライトの不手際の始末をしてくる。」


「そうだな、ヌーマよ、ドライトをちゃんと連れていくのだぞ?」


そして盛大に殴り合いの戦いをしている神々や龍神達を見てウズウズしているのはガンジスとモリオンの祖父だった。




「……何言ってるのあなた、ドライトを捕まえているのは貴方でしょ? 貴方が責任を持って連れていくべきでしょうに。」


「そうね、この後始末は私達が責任を持って……ドライト、あなた逆鱗の裏に何を隠しているの。」


どちらがこの祭りに参加するかで揉めそうだった4柱の龍神だったが、ヌーマがドライトの逆鱗に違和感を感じてそう言うと皆がドライトに注目し始める。

そこでドライトは自分の逆鱗の中にコニアを隠していたことを思いだし、慌てて誤魔化し始める。


「な、何って何かを色々と隠してます! いくら祖父ちゃんと祖母ちゃんとは言え私の隠しものを探るのはマナー違反です! 嫌いになっちゃいますよ!」


「そ、そうね! 逆鱗に隠しているものを聞くのはマナー違反よね!」


「……そうじゃな! レムリアの言う通りじゃ、常識の有るわしらはそんなことは聞かんぞ、モリオンとヌーマは知らんが!」


「それよ! ガンジスの言う通りだわ、って言うかそんなことを聞くヌーマ達なんて嫌って私達の遊び時間を増やすべきね!」


「「お前らドサクサ紛れで孫との時間を奪う気か!?」」


ドライトが嫌うと言うと、その言葉に固まってしまうモリオンとヌーマの夫妻。

そしてその瞬間にレムリアはキランっと目を光らせて夫のガンジスを小突きながらそう言うと、ガンジスも一瞬、間を開けたが慌ててそう言い、続けてレムリアが孫との遊び時間をモリオンとヌーマから奪おうとした。


「孫達との遊びの時間は五分五分と決めてあったじゃろうが!」


「うるさいわい! 孫のドライトに嫌われたお前等は黙って退場せい!」


「協定違犯よ! レムリアこんな姑息な手を使ってまで孫との時間を増やしたいと言うの!?」


「当たり前じゃないの! あなた達が逆の立場で隙を見せたらどうするのよ!」


「「するに決まってる(じゃろ、わよ)!」」


「「なら文句を言(うな、わないで)!」」


孫との遊ぶ時間でもめ始めた4柱の龍神は、夫妻に別れてどつきあいを始めてしまう。


「ああ! 突然に祖父ちゃん達と祖母ちゃん達が殴り合いのケンカを始めました! どっちも頑張れ頑張れ!」


「ドライト、自分のせいなのに突然にとか、どっちも頑張れだなんて……ああ、周りの神々や龍神達が巻き込まれてえらいことに……ド、ドライト!?」


リヴアィアサンが呆れながらそう言っていると、突然に驚いた声を出す。


「え? リヴアィアサンさんどうかしましたか?」


驚くリヴアィアサンにドライトが何かあったかとそちらを見ると、リヴアィアサンが驚きに目を見開きながらドライトを指差している。

それを見てドライトは不思議そうに自分を見ると―――下半身が消えていた!


「な、なんですと!? 誰かが私を召喚しようとしています、あがらえません、あがらえませんよ!?」


「ドライト! 力業で召喚をねじ伏せなさい!

あなたをピンポイントで召喚しようとするなんてただ者ではないわ!」


「そ、それが本当にダメなのです、こんなに面白そうな祭りが開催されているのに召喚されるなんて、嫌なのにですよ!」


「ドライト、私も力を貸します! ……え? わ、私まで!?」


慌ててリヴアィアサンがドライトを助けようとドライトを手で掴むが、そのままリヴアィアサンまで消えていき召喚されてしまうのだった。




「ヌオォォォ! 私を強制召喚したおバカさんは何処のどなたですか!?」


「私まで召喚されちゃうだなんて……何者かしら?」


ドライトとリヴアィアサンは何処か別の世界に召喚されたようで、草原に姿を現していた。

どつきあい祭を堪能できなかったドライトはリヴアィアサンに捕まったままで青竜刀を振り回して怒っていて、リヴアィアサンは龍神の自分まで強制的に呼び出した相手を警戒して周りを注意深く見ている。


すると、少し離れたところから声が聞こえる。


「あ、本当にドライト様が召喚……なんかバカでかいのも来た!?」


「な、なにあれ! あんなのも来るなんて聞いてないんだけど!?」


「か、香織姉、逃げる……げ! 気絶してる!」


声が聞こえる方をリヴアィアサンが見ると、若い男が1人と女が3人が右往左往していた、1人は気絶しているが。


「ちょっとドライト、あなたの知り合いじゃないの? あなたの名前を言っているわよ。」


そのうちの1人、ショートカットの美少女がドライトの名前を言っていたのを、リヴアィアサンは聞き逃さすにいて、まだ青竜刀を振り回しているドライトにそう声をかける。


「へ? ………………知りませんね、見たことも有りませんよ!」


「このクソ駄龍! 散々に迷惑をかけた俺達を忘れやがったのか!?」


「はぁ? 品行方正で有名なこの私は、人様に迷惑をかけたことは有りませんよ! プンプンです!」


「ええっと、要約すると迷惑をかけた人が多すぎて覚えていられないってことかしら?」


「リヴアィアサンさん!?」


赤の他人と言うドライトに若い男が激怒してそう言うと、リヴアィアサンは色々とさっしてそう言うと、ドライトは驚きながらリヴアィアサンを見る。


「何にしろそっちの娘が私達を召喚したみたいね、賢者だしそこそこの強さだけど私達を呼べるほどじゃないわね。

……あら? この4人は地球から転移者ね? でもここってハザのアルレニスじゃない。 転移者なんか居たかしら? ドライト?」


リヴアィアサンはどうやらここに居る4人を見たようで、4人が地球から転移したものだと気がついたようだ。

さらにはアルレニスに転移者が居るという情報が無かったために訝しがって、ドライトを見るとドライトは逃亡しようとリヴアィアサンの手から抜け出そうとしていた。




「あ! ドライトが居たわ! リヴアィアサン様、ドライトをそのまま逃がさないでください!

セレナ様、ディアン様、ドライトが居ました、しかもリヴアィアサン様がちょうど捕まえています!」


「え? あ、こら逃げないの!」


そして横からそう言われたリヴアィアサンは、言ってきたのがシリカだと気がつくとスルリと手から抜け出したドライトを掴みなおす。


「ぐぇ!? ちょ、ちょっと強すぎます、潰れちゃいますよ!」


「嘘をおっしゃい、この程度なら屁でもないでしょうに。

シリカちゃん、ちゃんと捕まえたわよ。」


「あぁ、ありがとうございます。

あなた、お義母様とお義父様も来るから堪忍しなさいな!」


横に転移して現れたのは緑龍のシリカだった、シリカはリヴアィアサンがドライトをしっかりと捕まえているのを見ると安心しながらドライトに両親も直ぐに来ると怒りながら言う。


「な、なんですか、なんでそんなに怒っているのですか?」


「なんでって当たり前でしょ! 勝手に転移してあっちこっちで迷惑をかけて!」


「何を言いますか、私は無理矢理に召喚され居るのです、つまりは被害者なのですよ!」


「こら! 何が被害者ですか、お父様やお母様達を争わせたりして! 他の神々や龍神達に被害……は特に出ていないけれど、お祭り状態になっちゃってるじゃない!」


「そうだぞ! それにお前を探していて参加できないなんていう、悲しいことになってしまったじゃないか!」


「か、母様に父様!」


ドライトがシリカに自分は被害者だと言っていると、ドライトのすぐとなりに白龍と黒龍が現れる。

そう、とうとうドライトは両親にも補足されてしまったのだ!


「シ、シリカもですが、なんで父様と母様もこんなに早く気づいて来れたんですか!?」


「そりゃ私達がドライトを召喚したんだからな、早く来て当たり前だろう?」


「……へ? シリカはもちろん、父様と母様の気配なんか全然……あ!」


ドライトは召喚されてすぐにシリカがやって来て、さらには両親まで逃げるまもなくやって来たことを疑問に思いそう質問をすると、父親のディアンに自分達が召喚したと言われ、思わず召喚者の気配で誰かが解ると言いってしまう。


「……ドライト、あなた召喚する者や位置を理解して召喚に応じてたんじゃないでしょうね?」


「な!? 私がそんな「母に嘘はつかないでね?」ことあります、大体と言うよりもほぼ解りますが、ドキドキ感が無くなるので解らないように自分で調整してました。」


「ドライト……なら帰ってくることも出来たでしょうに!」


「だ、だって面白そうな所ばかりだったんですもん!」


「もん! じゃないでしょうに!」


セレナは怒ってリヴアィアサンからドライトを受け取ると、逃がさないようにしっかりと抱っこをする。




「し、しかし母様、本当に気配を感じませんでしたがどうやって私を召喚したんですか?

この私を召喚する魔石のシステムとかを、解析したんですか?」


「ああ、違うわよ、シリカちゃんがね? 探すよりも召喚した方が早い、それも私達ではなく何処かの聖女とか賢者に頼んで。 って言うから試してみたのよ、だけど私達もまさかこんなに早く捕まえられるとは思わなかったわ。」


そう言ってセレナが指差した方を見ると、先ほどの4人の男女がなんとも言えない視線をドライトに向けていた。


そしてそんな4人を見て、ドライトは何処かで見た顔だとやっと思い出すのだった。



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