今、そこにあるかもしれない危機。
「ひえぇぇぇ~こ、ここは何処ですか!?」
「ここは次元の狭間です、現在は巡航速度でトラウィスピアから逃亡しています。」
「じ、次元の狭間? 何にしろ私を帰して下さい!」
「ご安心ください、ちゃんと帰してあげますから。 この書類にサインをもらったら!」
ドライトの言葉にコニアは、あ、これはアカンやつだ。 っとドライトに掴まれたまま絶望する。
「ううう、皆ごめんね。 私はここで悪い龍に食べられるか実験台にされて死にます……」
「食べませんし実験台にもしませんよ……あれ? あれは何ですかね?」
「……え? あ、本当だ、何か?居ますか?」
ドライトに掴まれたまま、絶望して自分が先に死ぬことになったと何故かトラウィスピアに残してきた皆に謝るコニアだったが、ドライトが不意に何かを見つけたようで何だあれ? っと言うと、それに釣られてコニアも顔を上げる。
そしてコニアの視線の先にはどこまで続いているのか分からない7色に光る世界と、その遥か先に黒い点が幾つか見えたのだ。
だがあまりにも遠すぎて、コニアの目には動いているかどうかも分からないので、何あれ? っと言う感じで答えたのだ。
「ちょっと私の感(リュージュ)が行けと言っています、見に行ってみましょう。」
「ううう……はい。」
正直、嫌な予感がするのでコニアは行きたくなかったが、現在コニアはドライトに捕まっているので行くと言われて断る手段が無く、泣く泣く了承したのだが5秒で後悔したのだった。
「わーーー! ドライト様、に、逃げましょう! 撤退です、てったーい!」
「分かりました、前に向かって全力で撤退をしますよ!」
「そ、それは撤退ではなく突撃と、あわわわ! 死ぬ、コニアはもう死にます!」
コニアが何故に泣き叫んでいるかと言うと、黒い点は邪神と魔神の塊だった。
トラウィスピアに向かう援軍だったようで、とんでもない数の邪神と魔神が集まっていて遠目に黒い点に見えたのだ。
ドライトが羽を羽ばたかせるとあっという間に黒い点に近づき、それが邪神と魔神の塊だとコニアは気がつき、逃げようと叫んだのだ。
「そ~れ、退却~!」
ドライトは退却と言いながら邪神の中心部に突っ込む、すると突っ込んだ辺りの邪神と魔神が突然に苦しみながらバタバタと倒れていく。
「な、何が!?」
「ハハハ、毒を撒いたんですよ。
この程度の毒で死ぬとは所詮は低能な邪神共ですね!」
「ど、毒ですか!?」
とんでもない事するなコイツ! っとコニアはドライトを見ていると、急に向きが変わったのをコニアは感じ取りそちらを見ると、見るからにヤバそうな邪神と魔神の群れに向かっているのに気がつく。
『あ、あれはダメだわ。 死んだは私。』
そのヤバそうな邪神や魔神を見てコニアは諦める、何故ならトラウィスピアで見た邪神が小物としか感じられないほどに、今目に写る邪神や魔神達の力は凄まじかったからだ。
「やあやあ邪神の皆さん。 私の名前は銀龍ドライト、どうですか? この出会いを祝して私の実験台になりませんか?」
「何てことを言うんでしょう。 あんなに静かだった邪神がこんなに殺気だって!」
コニアはもう何が何だか分からなくなって変なしゃべり方になっている。
だが確かにドライトとコニアを囲む邪神達は先ほどと違い凄まじい殺気をドライトに放ち、睨み付けてくる。
「あ、私は寛大ですからね、はい、イエス、ヤー、ウイのみで答えなさいなんて言いません、嫌な方はハッキリと断ってくださいね?」
ドライトがそう言うと、邪神の1体がニヤリと笑い前に進み出るが嫌とは言わなかった、っと言うか口が無くなっているのでしゃべれなくなっていた。
「さぁさぁ、嫌な方はハッキリと大きな声で言ってください!」
そう言うドライトに1人として嫌だと言う邪神は居なかった、っと言うか、皆して口などの発声器官が無くなってしまいしゃべれない、中には念話で何とかしようとした邪神も居たがドライトに
「大きく口を開けてハッキリと嫌と言ってくださいね!」
っと言われて念話もさせなくしている。
「嫌と言わないということは、皆さん実験台になってくれるんですね!」
ドライトがそう言うと同時にワラワラと現れた分身体が邪神達を拘束すると、自分の亜空間に連れていってしまうのだった。
「さて、感(リュージュ)のおかげで実験台が増えました、他の塊もなかなかですが私ばかりが楽しんでいると他の人達に悪いんで……召喚!」
邪神と魔神の群をあっという間に倒してしまった事に呆然としていコニアは、他の人と言う言葉と召喚とドライトが言ったことに驚いていると、辺りに召喚陣やらが現れてその中から龍やら神々が現れる。
「ガハハハ! ドライトよ、暇してたのだ、よく呼んでくれたな。
それにしても生きの良さそうな邪神どもだな!」
「ポセイドン兄者、早く行かんと他の者に取られてしまうぞ!」
「ゼウス落ち着け。
我等はよく見極めて雑魚を他の者に殺らせて、大物狙いでいくぞ。」
「流石はハデスの兄貴だ、頭が回るな!」
「そうだな、露払いは他の……ああ!? 他のカスを放置して面白そうなのに突っ込むやつが!」
「あれはオーディン! あのくそジジイ抜け駆けか! 行くぞ、あのジジイごと滅ぼすのだ!」
「「おお!」」
ギリシャ辺りで見たことがある神々が、北欧辺りで見たことが有る神がひときわ大きな群に突撃をするのを見てそれを追いかける。
その光景を見てコニアはその4柱の神が、自分の世界を治めるトラウィスよりも遥かに格上と直感で分かり唖然となっていると、自分のすぐ隣に巨大な海竜の姿の龍がやって来る。
「ちょっとドライト、あなたこんなところで遊んでいたの?
ヌーマ達が必死で探していたわよ。」
「あ、リヴアィアサンさん、こんにちわですよ。」
「はいこんにちわ。 それよりもドライト、お祖父ちゃんお祖母ちゃんに心配をかけちゃダメでしょ。 早く連絡をしてあげなさいな。」
「すいませんリヴアィアサンさん、すぐに連絡を……あ、そうだ! この技は見せましたか?」
巨大な海竜の姿をした龍の大きさと強大な力にコニアが気絶しそうになっていると、急に圧が弱まりリヴアィアサンが自分を捕まえているドライトに小言を言ってくる。
それにドライトがアワアワしながら謝りつつ話題を変えると、リヴアィアサンは「もう!」っと怒りながらも興味深げにドライトを見つめていると、ドライト2対の羽の上下から4つの光翼が現れる。
自身の羽と新たに現れた光翼がドライトの前にいくとその中心に凄まじい力の本流が生まれ、羽と翼はそれを押さえ込むように、力を注ぎ込むように囲み力の本流が眩しいほどに輝いた瞬間、ドライトが凄まじいブレスを放った。
そのブレスは力の本流と1つになると、真っ直ぐと何処かで見たことがある神々が向かっている邪神の群に向かうと―――その手前まで進んでいたどっかで見たことが有る4柱の神に直撃した。
「命中ですよ!」
「あらやだ、力の減退がおきてないしほぼ一直線に飛んでいったわわ!」
「面白い、ワシも試してみよう!」
「わらわもやるぞ!」
「俺も!」
「私も!」
命中したことに喜ぶドライト、そしていつの間にか近くに居た神々や龍達も真似をして攻撃をし始める。
「ええっと、こうかしら?」
リヴアィアサンもドライトを真似してブレスを放つ、こうして神々や龍の放った攻撃は先ほどのひときわ大きな群れの、手前に居たなんか怒っている4柱の神に次々と着弾する。
「「「「お前らいい加減にしろよ!?」」」」
そして怒りに燃える4柱の神が邪神ではなくこちらに突っ込んでくる、そしてそれを迎え討とうと神々と龍が迎撃をし始めるとあっという間に大乱戦になってしまう。
「ウッヒョー! グルメ同盟に通達、ハザ様の眷族であるトラウィスさんが治めるトラウィスピアの次元の狭間で祭りを開催中! 繰り返します、祭りを開催中ですよ!」
ドライトの叫びによって、ドライトの愉快な仲間のグルメ同盟の神々と龍神までやって来てしまい、大乱戦はさらに混乱した!
「突撃、突撃ですよ! 邪神なんかほうっておいて、このどつきあいを全力で楽しむのです!」
「いやあぁぁぁ! 神々の戦いに巻き込まれたら本当に死にます! コニアは死んでしまいます!」
「あ、コニアさんはここに居てください、安全ですので。
それでは、突撃です!」
ガチ泣きし始めたコニアに気がついたドライトは、逆鱗を開くとその中にコニアを隠してしまう。
そしてしっかりとコニアを逆鱗の中に隠すとドライトは一気に大乱戦に向かって突撃しようとして―――
「待てドライト!」
「やっと見つけたわ!」
「ディアンとセレナ殿が必死に探しておるぞ!」
「私達と帰るわよ!」
―――4柱の龍神に捕まるのだった。
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