ガチバトルを始めよう!




「それでドライト様、なんの用で僕を呼んだですか?」


ツィオスはミートアップルパイを口いっぱいに頬張っているドライトに向きそう質問をする。


「モグモグ……?……あ!思い出しました、ツィオスさんに用があったんですよ!」


「……嫌な予感がするんだけど、なんの用かな?」


「難しい話じゃないんです、この世界の管理権限をくださいってだけなんですよ!」


「………………正気ですか?」


「はっはっは!いたって頭も健康ですよ!

あ、ミートアップルパイしかないんですか?チョコレートクリームパイも有る!?ください、ください!」


ドライトは他にもパイが有ると聞き、ジュリーナにねだっている。

ヒデト達は何が起こっているのか分からずにツィオスを見る、すると先ほどまで温厚で優しそうな少年だったツィオスは、修羅のような形相でドライトをにらんでいた。


「……そこまで、バカに、してくるなんて、良い度胸だよ!」


ツィオスは怒りのあまりにツマリツマリにそう言うと、一気に力を解放する。

その力にあおられながらヒデトが叫ぶ!


「ツィオス様、何事か分かりませんが、落ち着いてください!」


「……管理神に管理権限をよこせとは、最大の侮辱だ!

しかも私だけでなく、私の使える原始の神と、その眷族神達全員に対してだ!」


ツィオスはそう叫ぶと完全武装になりドライトと向き合うのだった!




怒りに燃えるツィオスを、ドライトはジュリーナのひざの上でチョコレートクリームパイを食べながら見つめる。


「ド、ドライト様!早くツィオス様に謝って下さい!」


そんなドライトにチョコレートクリームパイを差し出していたジュリーナは、ツィオスの怒りに身を震わせ謝るようにドライトに言ってくる。


「そ、そんなに震えたらチョコレートクリームが、ああ!?こぼれちゃいます!ペロペロペロペロ!」


ドライトはチョコレートクリームがこぼれそうになると、慌ててなめとってからツィオスと向き合う。


「ツィオスさん、ごめんなさい。」


「……いまさら謝って済むと思っているのかい?本当にごう慢だね?」


「いやいや、本当に申し訳ないです。

あなたのボスとお仲間を呼ぶのを忘れてました!

そーれ、なんだかキミの悪いオドロオドロしい力で、強制召喚です!」


「な、なにを!?」


ドライトが強制召喚と叫ぶと同時に、辺りは光で包まれる。


「……やはり、ドライトか」


「ゲ!なんでツィオーラに居るんですか!?」


なんと現れたのは原始の神のハザにその筆頭神のアルレニスだった!


「ハザ様!姉上!」


ツィオスはハザとアルレニスが現れたことに最初は驚いたが、嬉しそうにハザ達の元に駆け寄るとハザに話しかける。


「ハザ様!ドライト様がこの世界の管理権限を寄越せと言ってきたのです!

これは私だけでなく、ハザ様や姉上に対する侮辱です、戦いましょう!」


ツィオスの叫びに、ハザは嫌そうな顔をして、アルレニスは急いでドライトの隣に行く。


「ハ、ハザ様、なんでそんなに嫌そうな顔を?それに姉上は何でドライト様の隣に?」


「正直に言う、勝てる気がせんから、戦いたくないのじゃ。」


「戦闘になったら真っ先に降伏して、ドライト様の側に着くためです!」


「ハザ様!原始の神たるあなたが何て情けない!

そして姉上は本当に情けなさずぎます!」


「「だって現実勝てないし!」」


「―――!」


ハザとアルレニスのあまりの情けなさにツィオスは声も出せずに怒っている。




「戦いの準備は良いですか?」


「ちょっと待って……へ?」


ドライトの声にツィオスが振り向くと、そこには18メートルを越える姿になったドライトがいた。

先ほどまでの1メートルほどの姿の時と違い、今はその恐ろしさがツィオスには嫌になるほど分かるのだった!


「フフフフ……ハァーハッハッハ!

今こそ私の本気を見せる時!この力であなた達を叩きのめして、私にミートアップルパイとチョコレートクリームパイを捧げたジュリーナさんを……管理神とするのですよ!?」


ドライトは高笑いと共に力を完全に解放させる。

そして両手に扇子を持って開くと、クルクルっと回って踊り始めた。


ハザはすでに逃げに入っており、アルレニスはドライトの横に立って「なぎ払え!」等と叫んでいる。

そんなドライトに止めるよに懇願しながら前に立つ少女がいた。


「おや?ジュリーナさん、どうかなさいましたか?」


「お、お止めください!あなた様が何を望んでこんなことをするのか分かりませんが、もし私が犠牲になればお止めくださるのなら……私が生け贄になりますから、どうかお止めください!」


ジュリーナの叫びにドライトは歩み、ではなく回るのを止めてジュリーナに不思議そうに言う。


「でも、ジュリーナさんには管理神になってもらわないといけません、私の名誉が傷つけられる事を言ったんですからね?」


「わ、私はそんなことは言ってません!」


ハザや神々に、ヒデトにマユ達にも本当にそんなことを言ったのか?っと疑問の目を向けられたジュリーナは、慌てて否定する。

するとジュリーナはそんなことを言っていないと信じたハザが、ドライトに質問をする。


「ドライトよ、ジュリーナは言っていないと言っておるぞ?」


「でも、ジュリーナさんは確かに言いましたよ?

神々も邪神も追い出してこの世界の管理神になれる?……冗談ですよね?

っと、確かに言いました!」


「そ、それは確かに言いました。」


ジュリーナが困惑ぎみにそう言うと、ドライトは我が意を得たりと満足そうにうなずきながら言う。


「ジュリーナさんに信じてもらえなかったので、私の名誉が傷ついた気がします!ですから実際にお試しでなってもらって、嘘じゃなかったと分かってもらうのですよ!」


ドライトの言葉にその場に居た全員が固まるのだった。




「と言うことで!私はハザ様とその眷族をボコボコにして管理権限を奪い取り、ジュリーナさんに与えて私が言ったことは本当だったと実感してもらうのです!

さぁ、勝負ですよ!?」


ドライトはそう叫ぶと扇子を投げ捨て光と闇の神剣、つまりただの鉄の剣を取り出して大上段にかまえたのだった!



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