ドライトマジック




名前を言い当てられたジュリーナや、ヒデトとマユは驚いている、それを見みるとドライトは不敵に笑いながら言ってくる。


「ふふふのふ!私の辞書には不可能の文字はあんまりありませんよ!?」


「……それは有るって事じゃないの?

なんにしろ名前を言い当てたからってなんなのよ?」


「……ビックリしましたよね?」


「したわよ?」「したな?」「しました!」


「ならよかったです!」


「意味が分からないわ!」


ドライトの言葉にマユは地団駄踏み、ヒデトは訳が分からないと呆然としている。

そんな中でジュリーナがミートアップルパイを両手に持ち、差し出してくる。


「ど、どうぞ……それで私達の願いを聞いていただけますか?」


「あーーーん、パク!モグモグ……美味しいですよ!

それでお願いですが、このミートアップルパイに見合うお願いですと、こんなところですかね?」


そう言うとドライトは3人にそれぞれ紙を渡す。




「……両手をサイコガンに出来る?片手は不可って、なんだこれ?」


「光と闇の神剣が貰える?2つの相反する属性がお互いを打ち消して、普通の剣になってますがってこれ、意味が無いでしょ?」


「神々も邪神も追い出してこの世界の管理神になれる?……冗談ですよね?」


ヒデト、マユのリストには役に立つんだかよく分からないものが載っていて、ジュリーナのリストには、叶ったら叶ったでヤバイものが載っていた。


「おや?信じられませんか?なら、ちょっと呼んでみましょう!」


ジュリーナの言葉を聞いてドライトは何かを呼ぶと言うと、特大のクラッカーを取り出して紐をおもいっきり引っ張る!


[ポヘ]


2メートル近い特大クラッカーに、近くの者は慌てて耳をふさいだが、なった音はショボかった。

そしてヒデト、マユ、ジュリーナは呆然として立ちつくしている、音がショボかったからではなく、ヒデト達を見て笑い転げているドライトの隣に、いつの間にか立つ少年に気がついたからだった。


「誰かが来たかと思ったら、あなたか……!」


「む!?私は来たのではありません!無理矢理召喚されたのです!」


「全然信じられないよ?

それよりも今、僕は邪神との戦いが忙しいんだけど?」


「邪神との戦いですか?でもその邪神は最近は暇だ暇だと暇をもて余してる、リヴィアサンさんの所に送ってしまいましたが?強制的に!」


「なら、もう殺られたかな?」


「……ぐちゃぐちゃになってます!エグいですよ!?ミートアップルパイをください!」


「……うっぷ!?

よく今のを見てミートアップルパイを食べれるね?」


「美味しいですよ?

ジュリーナさん、もっとください!出来ればジュリーナさんに食べさせて欲しいです!あーーーん!」


2人は何かを見たようで、ドライトはミートアップルパイを食べにジュリーナの目の前に行くと椅子を取り出して座り、大口を開けて食べさせてくれとねだっている。

そしてそれを見ながら少年は吐き気に口を押さえてから、ため息をついて皆に向かって挨拶をする。




「久しぶりの人も初めましての人もこんにちわ、ツィオーラの管理神、ツィオスです」




「ツィオス様!お久しぶりです!」


「ツィオス様、珍妙なベビードラゴンをなんとか……あ、分かりました」


ヒデトは挨拶を返し、マユはドライトを何とかしてもらおうとしたが、ツィオスの顔を見て色々察したようだった。


「なんにしろこの事は早く片付けたい、弟と妹達がまだ戦っているからね?」


「ツィオス様、邪神の王はすでに滅んでますけど?」


ツィオスの言葉にマユが不思議そうにそう言うと、ツィオスはミートアップルパイをほおばっているドライトを見ながら言う。


「あんなの小者だよ?邪神の王なんて言って騙してたんだね。

そこの龍、ドライト様じゃ暇潰しにもならなかったんじゃないかな?」


「そ、そうなんですか……」


ツィオスが小者と言ったのと、この龍にとって暇潰しにもならないとの言葉に、ヒデトも唖然として返事をする。


「正直、ドライト様と僕では神としての格が違いすぎるんだよ?

さっきまで僕が相手をしていた邪神達も、僕ではほぼ互角だったんだけどね、ドライト様はそれを遊び半分で龍神様の所に送り込んじゃったしね?」


そう言ってからツィオスは再度、ドライトを見る。

ヒデト達も釣られて見る、するとジュリーナがドライトをひざの上に乗せ、ミートアップルパイと口がサッパリするようにレモン水を交互に口に運んでいた。

そしてドライトが口の中の物をゴックンっと飲み込むと、ジュリーナは絶妙なタイミングで願いを言った。


「ドライト様、どうやら他にも邪神がいて戦っている神々がいるようなのです……邪神をドライト様のお力で倒してもらえませんか?」


「……ドライトマジック!

この技は気味の悪い黄色いピエロを思い浮かべては成功しない技です!

なんにしろ邪神は滅びました、もっとミートアップルパイをください、レモン水もです!あーーーん!」


ドライトは何かしらしたようで、一瞬銀色に輝くともっとクレとジュリーナにねだり始める。

ジュリーナは目をバチクリとさせていたが、ツィオスがうなずくと慌てて望み通りに口に運び始める。




「やはり恐ろしい方だ……」


「な、何かあったんですか?」


ドライトがドライトマジック!っと叫ぶと、ツィオスが目を見開き驚いてつぶやく。

それを聞いたヒデトが聞くと、ヒデト達に向き直り教えてくれる。


「弟と妹達が戦っていた邪神達が……全員消滅したんだよね……」


それを聞いたヒデト達は、驚いてミートアップルパイを口いっぱいに入れてモゴモゴ言っているドライトを見るのだった。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る