27日目・獲得点数
屋上に居たアレナム達は、駐車場に降りてきた。
そしてカーネリアとアレナムは再会を喜んでいる。
「リア様、お戻りにならないので心配しておりました……」
「おお、悪いな?帰りが遅くなったのはダーリンのせいだから、ダーリンに文句を言ってくれ!
それで、怪我は大丈夫なのか?」
「はい、少しヒザをすったぐらいなので、問題ありません」
「な、なんだと!?私のアレナムの肌に傷が……!?」
「カ、カーネリアさま~!?」
アレナムがヒョイっと見せた、ほぼ治っているヒザ小僧の傷を見たカーネリアは、卒倒して倒れてしまったのだった。
「それでリア、なんであの子達をけしかけてきたのよ?
そのせいでレイナ達も怪我をしたんだからね?返答によっては……ね?」
カーネリアが復活すると、早速に尋問をされていた。
「姉御、違うんだって、ダーリンが悪いんだって!
アスモデルを追いかけてたら、急に方向感覚がおかしくなってさ、そのせいでアスモデルには逃げられたし、帰ってくるのも遅れたんだよ!」
「それで?」
「そしたらオクがチエナルナに追いかけられてきてさ?
助けてくれって言うから、チエナルナにコブラツイストかけて助けてやったら、オクがなんであんなことを言ったのか説明しだしてさ?」
「……それで、なんでドライトのせいになるのよ?」
「そんなの、ダーリンが妨害してたからに決まってるだろ!
何をしたいのかは分からないけど、私とチエナルナに変なこと吹き込んで遠ざけてさ?
帰れないように妨害までしやがって!」
「そうなの?ドライト?」
「しっけいな!妨害はしてませんよ!?」
サルファに抱っこされて捕まっていたドライトは、心外だとプンプン怒っている。
「ドライトは、ああ言って……妨害“は”してない?」
「はい、妨害“は”してません」
「……なら、何をしたの?」
「チエナルナさんが方向感覚を狂わそうとしてたんですが、リアがレジストしそうなんで強化してあげましたが、なにか?」
「アタタタタタタタタ!」
「旦那様、あなたのせいでリティアが怪我したんですわよ!?
反省なさいな!」
「……セイネの……仇!」
「あだだだだ!?DVです、家庭内暴力ですよ!?」
ドライトはサルファとアンジュラに押さえられ、カーネリアに殴られている。
「向こうはどうでもいいわ。
これからの事を話し合いましょう?」
シリカは呆れた顔でドライトを見ながら、俺達に向き直りそう言ってくる。
「今後の事ですか?」
俺はドライトの方を見ながら答え、おお!?サルファが逆エビ固め、カーネリアがキャメルクラッチをし始めていた!
ドライトがスゲーV字になってる!?
「ええ、ドライトの事だから、なにか理由があってリアを遠ざけたはずよ?
チエナルナについても……オク、説明してあげて?」
シリカに呼ばれ、竜人族のオクが前に出てくる。
「はい、シリカ様。
チエナルナ様に関してなんですが、アスモデルの謝罪を受け入れたあとは、ロッテンドライヤー女史の研究室にこもって、ハゲ薬の研究に没頭してます。
こもる時に「これで研究が進みまくる!」っと、叫んでいたので当分出てこないかと……」
「と言うことよ?」
しょ、しょーもねえな!?
「つまり、ドライトはリアとチエナルナを遠ざけたかったって事なの。
でも、その理由か分からないのよ……」
そう言いながら、再度ドライトの方に視線を向けるシリカ、それに釣られて俺達も視線を向けると、ドライトは相変わらず逆エビ固めとキャメルクラッチでV字状態だが、その首もとでアンジュラがゴソゴソしていた。
「……姉御……これ」
「アンジェ、リアの真似なんかしないの!……移るわよ?」
「!?」
アンジュラはなにか見つけたようで、紙の束をシリカに差し出してきた。
その時にカーネリアの真似をしたようだが、シリカに移ると言われてショックを受けて、いつも半眼のまぶたをめいいっぱいに開きショックを受けている。
そんなアンジュラを放置して紙の束を受け取ると、サッと目を通していく。
「これって……ああ、そう言うことなのね……」
シリカはそうつぶやきながら眉値を寄せていく。
俺達は不思議に思い、その紙の束な視線を向けていると、シリカは読み終わったようで俺達の方に差し出してきた。
そして受け取った紙の束の表紙に書かれていたのは!
[第一回 ドライト・オブ・ザ・デッド 獲得点数中間報告]
「……なんだこれ?」
「あれ?獲得点数のトップと2位って、カーネリア様とチエナルナ様なんだ?」
「本当だ。
どうやって点数つけてるのか分からないけど、以外だよね?」
俺に続いて見た円と梨花がそう言うと、シリカが説明してくれる。
「仲間や他人への貢献度で点が決まるみたいね?
それで、普段はあんなんだけど、リアもチエナルナも私たちの中では一番に人の事を思いやるのよ?
困ってる人が居ると見逃せない性格なのよね……ただ、だからこそ他人にも厳しいんだけどね……」
そう言いながら、いまだにV字のドライトと技をかけ続けるサルファとカーネリアを見守っていた。
すると!
「秘技、鰻肌!」
ドライトがそう叫び、技をかけていたサルファとカーネリアがツルン、っとすべって手を放す!
「見ましたね!?それは極秘情報なのです、見た人には消えてもらいますよ!?」
「その極秘情報を、あなたはどこから手に入れたのよ……それにしてもなんでこの情報を元にあなたはこんな事をしたの?」
シリカがそう問うと、ドライトはニヤリと笑いながら説明をし始める。
「ふふふ……リアとチエナルナを除けば、私が間違いなくトップにおどりでます。
そしてスパートをかけて皆を一気に突き放すのですよ!」
その言葉を聞いたシリカは、ため息をつきつつ俺に向かって言ってくる。
「灰谷さん、夫の順位と点数を発表してあげて?」
言われた俺は再度、紙の束に視線を送り探しはじめる。
ドライトが「私は3位でしょう、そんなに探す必要は……」っと、言っていたが俺が紙をめくるとギョッとして黙ってしまう、そして俺が何枚もめくっていると、シリカさんが言ってくる。
「灰谷さん、一番最後のページを見てみなさいな?」
言われて最後のページを見てみる、そして―――
「ダントツのドベじゃねぇか!」
ドライトの名前は最後に載っていた。
「おお……-17億ってどうやったら獲得できるんだ!?」
「ぎゃ、逆にすごいよね?」
「トップのリア様が一万点だからな……逆とは言え、本当にどうやってこの点をとったのか理解できないな……」
俺達がそう話ながらドライトを見ると、ドライトは空中に浮かんだまま、固まっていた。
この空気をどうしようと考え始めた俺だったが、その空気は突然の笑い声によってかき乱された。
「ふはははは!無様じゃのう、ドライトよ!
お主のように邪悪な者が、3位なわけがあるまいに!」
現れたのはユノガンドがひきいる愉快な集団だった!
「誰が愉快な集団よ!?」
「愉快なのはユノガンド様だけよ!」
「だいたい間違ってませんね?」
「一緒にしないでください!」
俺の心を読んだのか、メルクルナ様以外が否定してきた。
なんにしろ、ふんぞり返って偉そうなユノガンド様に俺が言う。
「ユノガンド様はブービーですよ?
-12億ですね」
「……うそじゃろ!?」
原始の神も相当な得点数だった。
「お、おかしいですよ!?私がこんな得点のわけありません!」
「そうじゃ!この得点はおかしいじゃろ!
得点係は誰じゃ!現れてちゃんと説明せい!」
「どうかしたか、ドライト?それにユノガンド様も何かあったのですか?」
ドライトとユノガンドが文句を言うと、ディアンが現れて何かあったのかとたずねてきた。
「父様!得点係は誰なのですか!?
この点数はおかしいです、文句を言わせてください!」
「うむ!どういう点のつけ方をすればこんな結果が出るのじゃ!?
得点係に納得のいく説明をさせい!」
するとディアンは顔をしかめて答える。
「その書類は一応極秘で大事に保管してたんですが、どこから手に入れたんですか?
……なんにしろ集計にかんしてなんですが、ドライトは分身体の-の分がおおきいな。
ユノガンド様は家宝のデコトラを盗んだぶんが、-10億になっています」
「「どういうことですか(じゃ)それ!?」」
驚くドライトとユノガンドにディアンが説明をする。
人の物を盗んだり、何かを壊したりすると、減点されるシステムらしいのだが、ドライトは分身体達の分も加算されているらしいのだった。
ちなみにユノガンドのデコトラ分、-10億はただの私怨とのことだった。
「デ、ディアンよ!そんなことを認められるか!
誰じゃ!得点係は誰なのじゃ!?」
「うちのジジイとババア達です」
当たり前だがユノガンドは文句を言ったが、点を決めてるのがガンジス達と聞いて固まってしまう。
「と、父様!私の点はなんでそんな点数なんですか!?」
固まったユノガンドを押し退けて、ドライトが質問をする。
「ドライト、お前の場合は分身体達、詳しく分けるとドライトゾンビやドライトポリス達が-1億、ドライト大将に探検隊長、教授に助手がそれぞれ-1億、ロッテンドライヤーが-5億だな。
分身体達の破壊行為や迷惑行為で-点が増えているようだ」
「そ、そんな!?」
うちわけを聞いて、ドライトもショックを受けている。
だがそれを聞いていたシリカが何かを計算しはじめる。
「ドライトゾンビ達が-1億……特殊個体もそれぞれ-1億でロッテンドライヤーが-5億?……ドライト、あなた1人で-7億点じゃないの!」
「ユノガンド様の私怨の分をひいたら、ダーリンがダントツのドベなのか……」
シリカの言葉にカーネリアがドライトを見ながら言う。
その言葉を聞いて、ドライトは爆発するのだった!
「ま、まだです!まだですよ!
最後まで勝負はわかりせん、最後の最後で逆転してみせますよ!」
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