※クリスマス・スペシャル
このお話は、なろうさんでクリスマスに投稿したものです。
季節外れでごめんなさい(・`ω´・)
俺の名前は灰谷星司、今日はクリスマス……この聖夜の夜を仲間や恋人とすごすために、駅前の集合場所に集まっていた。
そして今は最後の1人、桐澤頼子を待っている最中だった。
「お、来た来た。
桐澤さーん、こっちこっち!」
「あ!お待たせしました!」
「桐澤っち、お父さんの許可はおりたの?」
「はい、母が説得してくれました。
精神的に!」
「「「精神的に!?」」」
今日はクリスマスイブ、俺達もクリスマスを楽しむために駅前で集合していた。
そして最後に桐澤さんが合流したので、予約をしておいた店に向かう。
「しかし今年は色々あったなぁ……」
「ドライト様の関係で酷い目にあった記憶しかないわ……」
弘志と百合ちゃんがそう話をしているのを横で聞きながら、俺達は朝日の後ろを着いていき、住宅街に入り込む。
「善君、住宅街だけどこっちで良いの?」
「ああ、父さんが仕事で泊まりの時とかに使う家が有るんだ、出前で寿司とか色々頼んで有るから、そこでクリスマスを楽しみなさいって言ってくれてさ?」
朝日の言葉に、家を用意したのかと驚きつつも返答をする。
「へー、ならユックリできそうだな?」
「ああ、ネット環境も整ってるから、カラオケとか映画鑑賞もバッチリだぞ!」
「わあ!楽しみだね!」
「星司君、デュエットしようね?」
俺達は和気あいあいと住宅街を歩く、するとニコニコと後ろを着いてきていた香織姉が「あら?」っと、声を出した。
「香織姉、どうかしたのか?」
「あれ……何かしら?」
「……なんだあれ?……ユ、UFO……UFOだ!」
香織姉が星空を指差す、それを見た俺も驚きの声を出す。
そう!クリスマスなのに現れたのはUFOだった!
俺達から距離にして1キロほど離れた所を飛んでいくUFOを、全員が驚きに包まれて見守っていると、突然弘志が声をあげる。
「そ、そうだ!カメラ、スマホ、スマホ!」
そう言いながら弘志はポケットに手を突っ込み、スマホを探し出す。
それを見ていた俺達も慌ててスマホを取り出すと、UFOを撮影し始める、すると!
「ね、ねえ、あのUFOこっちに来てない?」
円の言葉に俺達はハッとする。
先程まで俺達から遠ざかっていたUFOは、こちらに向かってきていたのだ!
そして俺達の直ぐそばまで来ると、近くにあった公園の広場に着陸する!
「う、うそ……」
「未知との遭遇かよ……」
「ってか、アダムスキー型って……」
梨花と朝日が驚愕しつつそう呟き、俺はなんでまたアダムスキー型なんだ?っと、別の意味で驚愕しながら着陸したUFOを見つめる。
そして着陸したUFOから銀色の宇宙服を着た宇宙人が降り立ち、俺達に向かって語りかけながら歩いてくるのだった!
「オラオラオラ!何勝手に撮影しとんじゃい!?」
「おどれら宇宙人を舐めとったら、いてこましたるぞ!?」
「「「えー……」」」
降りてきた宇宙人はチンピラだった。
「おまんら人の船を勝手に撮影しくさりやがって、どう落とし前をつけるんじゃい!」
「おうおうおう、黙ってないでなんとか言わんかい、ごらぁ!?」
宇宙人達は俺達を睨み付けながら「落とし前をつけろ!」と凄んでくる。
そんな宇宙人達を見て俺達は、宇宙の神秘、そして未知との遭遇と言う最高のシチュエーションを粉々にされてしまったショックで、呆然としてしまっていた。
そしてそんな俺達にさらに凄んでくる宇宙人達、そんな時だった、不思議な音が聞こえてきたのわ。
[シャンシャンシャンシャン……]
「鈴の音……ま、まさか?……皆、あれ!」
1人が指差した先に、トナカイに引かれ空を飛ぶソリに乗った、赤い服を着た老人が居た!
「サ、サンタさん?……サンタさんだ!」
「やっぱりサンタさんは本当に居たんだ!」
「メリークリスマス……メリークリスマス!
……そ、そうだ、記念撮影しとかなきゃ!」
「「「!!!」」」
おい、宇宙人共……
嬉しそうに何かしらの撮影機器を取り出して撮影を始める宇宙人達、そしてそれを冷めた目で見つめる俺達。
ってか、別の星にもサンタって居るのか?
何にしろ俺達は嬉しそうにサンタを撮影する宇宙人達を見つめていた。
[……シャンシャンシャンシャン!]
すると遠ざかっていた鈴の音がまた大きくなってくる、慌てて俺達もサンタに向き直ると、ソリは向きを変えて俺達の方を向いていた。
そしてソリはサンタクロースを乗せたまま近くの公園の広場、UFOの隣に着陸すると。
赤い服の老人、サンタクロースが降りてきて俺達の方に向かってくる!
「人のソリを勝手に撮影するとは良い度胸じゃのう!
ぶち殺がすぞ餓鬼共が!?」
「サンタ!お前もか!!」
サンタもチンピラだった。
宇宙人の胸ぐらを掴んで、めっちゃガンを飛ばしている。
胸ぐらを掴まれた宇宙人は何が起きているのか分からずに、オロオロとしているだけだ。
周りの宇宙人達がサンタを宥めにかかるが、逆にサンタは怒りを強くして……おい、トナカイ、二足歩行になってサンタに殴りかかるな!
トナカイ達は口々に「日頃はオモチャ工場で、年末はオモチャ配りにこき使いやがって!」と言いながら、器用に蹄でこん棒を握りしめてサンタに殴りかかる。
だがサンタは襲い掛かるトナカイと、サンタを守ろうとしている宇宙人達をちぎっては投げ、ちぎっては投げで叩きのめしている。
「サ、サンタ、つええな……」
「トナカイも相当強いけど、サンタさんの強さが際だってるね……」
弘志と百合ちゃんがそう呟いた時だった、横合いから声をかけられたのわ。
「兄ちゃん達、巻き込まれないうちに帰りなよ?」
そう言ってきたのは……赤鼻のトナカイだった。
つか、リアルでトナカイが話しかけてくるのを見ると、衝撃の映像でしかないな。
「サンタのジジイさ、クリスマスプレゼントの入った袋をパクられて、カンカンなんだわ?
それに自分が袋の一番近くに居たのに、お前等が気づかなかったのか!って、俺達のせいにしようとしたからさ、俺達にジジイ、お前のせいだろうが!って言われて機嫌が悪いんだわ?
だからさ、巻き込まれる前に帰りなよ?」
そう言ってここから離れるように言ってくる赤鼻のトナカイ、俺は驚きながら聞く。
「プ、プレゼントを盗まれたって、大丈夫なんですか?」
「ああ、天界に報告済みだし、ミカエル様達も捜索に乗り出したしさ。
話は原始の神々にもいってるらしいから、大丈夫……ん?ちょい待ってて?」
赤鼻のトナカイは突然に俺達との話を止めると、「はあ……え!?はい、分かりました!」っと言ってサンタの方を向く。
「ミスターサンタ!……クリス・クリングル!……ジジイ!」
「な、なんじゃルドルフ!?」
赤鼻のトナカイは、石を拾うとサンタの頭に投げつける、石は見事にサンタの頭に当たり、サンタは驚きながら赤鼻のトナカイ、ルドルフの方を向く。
「ジジイ、マジでヤバい。
今、ガブリエル様から連絡がきた、七大天使様達どころか原始の神様も見つけられないそうだわ?
マジでプレゼントを贈るの間に合わないかも!」
「な!?い、いかん!
クズ共、プレゼントを探すのじゃ!急げ!!」
サンタはトナカイ達にそう言うと、慌ててソリに向かう。
トナカイ達は何かしら言いたげだったが、緊急事態と判断したのか慌ててソリに向かう。
「兄ちゃん達、そう言う事だから俺も行くよ、じゃあな!」
赤鼻のトナカイ、ルドルフはそう言うとソリに走っていき先頭に立つと、先導してソリを引っ張って行ってしまった。
「お、おい!俺達も手伝うぞ!」
「ああ、子供達の夢を壊す訳にはいかん!」
「母船に連絡して応援を呼ぶんだ!」
宇宙人達はそう言うと、UFOに乗り込みサンタを追って行った。
「……み、皆?家に行ってクリスマスを楽しもうぜ?」
「あ、ああ、そうだな!」
「そ、そうね、クリスマスなんだから楽しまないとね!」
朝日の言葉に皆がハッとして答え、パーティー会場の家に向かうのだった。
「ここがそうだ、少し狭いが我慢してくれよ?」
「いや、狭くはないだろ?」
朝日の案内で着いたのは、一軒家と言うより屋敷だった。
朝日の父親が仕事で泊まるだけでなく、客や友人に親戚達が泊まるための施設との事だった。
今日は朝日の父親が俺達ために開けておいてくれたらしく、誰も泊まっていないらしい。
何にしろ朝日の案内でパーティー会場の大広間に行くと、そこには綺麗に積まれた寿司桶と、大皿が有った。
「……空だな?」
「……空ね?」
寿司桶と大皿を確認した俺と梨花がそう言うと、朝日が慌ててテーブルの側に来る。
「ほ、本当だ!ジイヤがちゃんと用意してくれてたのに、なんで!?」
っと驚いている、すると桐澤さんが朝日と俺を呼ぶ。
「ちょ、ちょっと善君、灰谷君、あれ……」
桐澤さんが指差した方を見ると、そこには―――
「なかなか美味しいですね、このお寿司にローストチキン!」
「「……あ!ぬいぐるみだ!」」
寿司やローストチキンをバカバカ食う銀色の龍と、この時期に赤い服のジジイと一緒にあるはずの袋から、次々とオモチャを取り出す銀髪の幼女2人が居た。
その光景を呆然と見ている俺達に気がついた銀色の龍、ドライトが俺達をジーッと見てから言ったのだった。
「……メリークリスマス!」
この後、プレゼントを取り返しに来たサンタに宇宙人、天使達をドライトが蹴散らしたり。
ドライト達の母親のセレナが連絡を聞いて慌ててやって来て、オモチャを回収するのを手伝ったり、それを配るのを手伝ったりしてるうちに、俺達の聖夜は終わったのだった。
……メリークリスマス!こん畜生!!
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