実技試験も受けちゃえ!
よし、これで終わりだな
【ドライト様、結界が持ちません、まずいです】
ッチ!もう持たないか、急いで撤収する!
【校舎内のチェック等はどうなさいますか?】
結界は切れるだろうけど隠蔽と気配遮断でなんとかいけるか……?
何か発見が有るかもしれないし行くか!
【了解いたしました……ドライト様、作業中に動いた者が居ますね】
ん?……まったく……呼び戻せ!
【かしこまりました】
キャロリン達はテストも終わりくつろいでいた、とりあえずドライトやシリカ達が来るのを待つと言う事にしたからだ。
ちなみに実技試験は免除だった。
『ちょっと、どうするのよ?』
『サルファ様達、来ませんわね……』
『ドライト様とも連絡がとれないですし』
『うーん……ん?セイネさん、どうしたんですか?』
キャロリンとアレナムにリティアとレイナがどうするか話し合っていると、セイネが立ち上がって窓の側に行く、そしてテストの結果を持って出ていったマサミ――副学園長が居ないので学園長のクリスティーナに話しかけた。
「学園長様、学園の見学って出来ないんですか?」
「……ファ!?
け、見学ですか?そうですね、あなた達は合格しているでしょうし学園の設備など見るのも良いかもしれませんね」
キャロリン達はこいつ静かだと思ったら寝てたな、っと考えると同時にセイネに非難の目を向ける。
ドライトやシリカ達が間違いなくこちらに向かっているのだ、あまり動くのは得策ではないはずなのはセイネも分かっているはずなのに、何故見学などと言っているのかと。
「うん、迎えが来るまで暇でしょうし、そうしましょう!
私が案内してあげますね!」
学園長がそう言いだしたのを聞いてセイネは顔をしかめる、どうやらセイネは部屋から出てさっさと学園から出ようと考えていたようだ。
キャロリン達はそれに気がついたが学園長は気がつかなかったようで、学園長は勢いよく立ち上がり先導しようとしていると、ドアがノックされて返事をしないうちにドアが開けられる。
キャロリン達は身構えた、入って来たのがかなり腕の立ちそうな身長が2m以上はある、赤い髪をした男だったからだ。
「あなた……返事も無しにドアをあけるなんてマナー違反ですよ?
キャロリンさん達も驚いているじゃないですか!」
「すまんクリス、緊急の用事でな、急いで学園長室に来てくれ」
「何かあったの?」
「……急いでくれ」
「分かったわ……皆さん申し訳ありませんがそう言う事で案内が出来なくなりました、お帰りになるなら誰かを呼んで案内させますよ?」
「ん?何処かに行く予定だったのか?」
「学園内を案内しようかと、入学したら使うのですし……でもこの子達だけだと迷っちゃうかもしれませんしね」
「すまんが、これで自分達で学内を見て回ってくれ」
「あなた、私の言葉を聞いてなかったのですか?迷ったらどうするのですか!」
「普通は地図が無くても迷わん、クリス迷うのはお前だけだ……行くぞ!」
「!?ちょ、自分で歩けますから!お姫様抱っこは誰も居ない時とか夜にお願いしますうぅぅぅ……」
突然現れた男に学園長は連れさらわれてしまった。
それを呆然と見ながらキャロリン達は男に手渡された小冊子、賢者の学園の歩き方を見るのだった。
キャロリン達は特別来賓室から出ると、中庭出て辺りを見回していた。
校舎は静まり返っており、別の棟からはテストに関する声が聞こえてきている、運動場が有るのだろうか?建物の向こうからは大きな声が聞こえてくる。
「普通の学園ですね」
「でも、アンジェ様達は入ってこれないみたいね」
「学園都市に着いた日の、皆で学園の夜景を見に来た時にサルファ様が、人が構築した割には中々の結界が有るって教えてくれましたわ?」
「でも、ドライト様が龍には無いも同然って言ってたよ」
「とりあえず、正門を目指しましょう」
アレナムの言葉に皆が頷くと、地図を頼りに正門に向かう。
すると建物の向こうにあった運動場が見えて来た。
そこでは多くの人達が的に向けて遠距離から魔法や弓矢で攻撃していたり、剣や槍などで1対1で戦う者に複数人同士で戦う者達が居た。
「ああ、あれが実技試験か」
「あれ?実技って4つじゃないの?」
「もう1つは魔力測定を兼ねた魔法攻撃ですわね、高威力の魔法を使う人もいるので別の場所でやっているのでしょう」
「なんにしろ、早く門に向かいましょう」
実技試験を見ていたいがシリカ達と早く合流しなければと、立ち去ろうとした瞬間声をかけられた。
「お前ら、どこに行くんだ?」
そこには黒髪黒目の20歳ほどの男が立っていた。
「受験生か、実技試験は受けたのか?」
「え、えっと」
「受けた受けた、受けました!さぁ、帰ろう帰ろう!」
キャロリンが言いよどむがセイネが割って入り、受けたので帰ると言うが
「ウソをつくな、お前らが試験を受けているところは見ていないぞ、今なら丁度遠距離攻撃の試験がすき始めたからそれから受けろ」
「遠距離攻撃!」
その男の言葉に反応したのはレイナだった、ドライトに気功法を学び、シリカと共に猛特訓して自分の物にしたのだが、実技試験が免除になりガッカリしていたのだ!
「ちょ、ちょっと、こんな事している暇は……」
「ああ、アレナムさん、すぐに後を追いますから先に行ってて良いですよ?……主席が取れればシリカ様も喜ばれるはず!」
レイナは主席の部分は小声で言ったのだが、他の皆にはシッカリ聞こえていた、そしてキャロリン達の顔から表情が消える。
「ふぅん……そう言う事かぁ……」
「実技試験の優秀者には加点があるんだっけぇ?」
「忘れていましたわぁ、ここに居るのが……蹴落とすライバルだったと言う事に!」
「コロス!」
5人が殺気を放って睨み合いを始めると周りの皆は慌てて逃げ出す、それを見た先程の黒髪黒目の男が慌てて声を出した。
「お、お前らなにしている!先頭の!早く試験を開始しろ!……こ、怖えぇぇ」
「じゃあ、私から、フン![ドスゥ!]……まぁこんな物ですね」
言われたレイナは抜刀すると共に剣を突き出し、突き出された剣先から斬撃が飛んで的の中心を打ち抜いた。
「さっさと終わらせて下さいね?次席候補さ[ビュン!]うわぁ!」
「ッチ!避けたか……ホイっと[トス]まぁ、こんなものね」
セイネは退かないレイナをショートソードで斬りつけて退かしてから、矢を放った。
矢は的の中心を見事に打ち抜いている。
「さぁーて、アンジェ様に褒めてもら[ブン!]あぶねえぇぇ!?」
「さっさと退け!チビが![バシィ!]まぁ、当然よね?」
アレナムも退かないセイネをメイスによる薙ぎ払いで退かすと、気弾を放って見事に中心を打ち抜く。
「リア様、早く来てください、私の首席パー[ドガアァン!]うおぉぉ!?」
「デブが!何時までも面積を取ってるんじゃないですわよ![ビシュ!]はぁ、動いてない的なんて面白くないですわ」
リティアはアレナムを爆破系の魔法で吹き飛ばして、場所を取るとレーザーの様な光線を指先から撃ちだして的を射貫く、ちなみにアレナムはピンピンしてて怒っている。
「さて、これで終わり[フン!]いぃぃぃ!?」
「魔法で打ち抜くなんて簡単な事だし、ハァ![ビシ!ドス!バシ!]武技なら3連撃位してもらいたいわ!」
キャロリンは素早くリティアに近づくと、襟を掴んで放り投げて場所を空けてから槍を取り出して3連撃を放って3つの的の中心を撃ちぬいた。
「ふぅ……やっぱりドライト様の祝福が1番ね!」
「シリカ様の事をバカにしているの?良い度胸してるじゃないの……!」
「あなた達、1度決着つけないとダメみたいですわね?サルファ様の祝福の力を見せてあげるわ!」
「魔物は汚いですからメイスで戦っていましたが、本気の小手でなら圧倒できますよ?リア様の様にね!」
「全員並べ、ナイフの1突きで勘弁してやる!アンジェ様、見ていてください!」
キャロリン達はそれぞれ得意の武具を取り出して身に着けると、お互いに少しづつ距離を取ってけん制し始める、凄まじい殺気が膨れ上がると同時に先程の黒髪黒目の男が大声を張り上げる。
「や、やめろお前ら!なんて殺気出しやがる……本当に子供か?
俺はこの学園の教師で実技試験の監視員のヒロだ!ここで揉めるなら不合格にするぞ!」
教師の監視員であるヒロにそう言われて、キャロリン達はシブシブ武器を収めてヒロの前に来る。
「お、お前ら何者だ?遠距離の試験は結構難しいんだぞ?」
「先生、それよりも次の試験を!」
「個人戦の試験が良いです!」
「ぶっ殺してやる!」
「フン、魔法で殲滅してあげますわ!」
「シリカ様にいただいた宝剣でその首落としてあげるわ!」
実技試験の試験官をしているヒロはキャロリン達に近づきたくないと思っていたが、周りの別の試験官に促されてシブシブ近くに来ると話しかける。
「お前ら親の敵同士かなにかが?怖すぎるんだよ!」
「「「「「大の親友です!」」」」」
「「「ウソつけ!」」」
思わず周りの皆が叫んび、キャロリン達は「普段は仲が良いんですよ?」っと言っているが中々信じてもらえなかった。
「はあ……それぞれの師匠の様な大事な人達に主席を捧げるねぇ?」
「はい、それで誰が1番なのか決まりますので!まぁ、ドライト様なんですが!」
「ははは、ワロス!アンジェ様にまた面白い話ができるわ!」
「勝手に笑ってなさい、なんならアゴを外してあげようか?リア様が1番ですよ!」
「アゴを外す前にその胸のデカいの外せ。サルファ様の素晴らしさを語りましょうか?」
「ふう……なんにしろ次の試験を受けたいのですが?シリカ様に主席を捧げる為に!」
ヒロはキャロリン達から、さらに何歩か遠くに移動して声をかける。
「個人戦は冒険者の方としていただく。
ランクはCランクの方々だからな、怪我はしない様にしてくれるだろ、準備しろ!」
こうして始まった個人戦の実技試験は始まると同時に冒険者5人が宙に舞う結果となった。
「こ、こいつら本当に子供か?歳を誤魔化しているんじゃないだろうな?」
「お、おい先生よ」
「ん?なんだ?」
「俺たちゃ彼女達と集団戦の試験をしたくないぜ?」
「お前らCランクのパーティーだろ?ビビったのかよ!」
「バカ、そりゃ絶対やれってんならやるけどよ?
あの嬢ちゃんたちゃ、深緑の鐘とも互角に近い戦いが出来るんだぜ?試験の参考になんかならねぇよ!」
「な!ほ、本当か!?」
どうやら、集団戦の相手役の冒険者達はジェード王国大使館の建設中の護衛クエストを受けていたようで、キャロリン達が最近では深緑の鐘とも30分は互角に戦える程の腕を持っていると知っているようだった。
それを聞いたヒロは、少し考えてキャロリン達に声をかけた。
「試験官を連れてくるのですか?」
「ああ、勝ち負けがどうではなく実力を見るのが試験だからな、実力に差がありすぎると集団戦の試験にならんからな、手の空いてる教師を連れてくるから待っててくれ」
「はぁ……皆もそれで良い?」
キャロリンがセイネ達に声をかけると皆が頷いた、それを見たヒロは早速、校舎の方に走って行ったのだった。
そして―――
「悪い待たせたな!」
10分程でヒロが戻ってくると、ヒロの背後に男女がそれぞれ2人づつ立っていたのだった。
「ふうん?この子達が手練れねぇ?
ああ、私は教師のクミよ、壁役兼回復役ね」
「俺の名はバイアーだ、アタッカーだな」
「私の名前はストスです、よろしくお願いします。
魔法専門ですね、ああ杖術も多少はできますよ?」
「ええっと、アイラです、後衛型のメイス使いです」
「んで、俺がさっきも言ったがヒロ、前衛の剣士だ!」
5人の教師達がそれぞれ自己紹介したので、キャロリン達も慌てて自己紹介しようとするが、
「ああ、お前らは必要ないぞ?これでも俺達は賢者の学園の中でも10本の指に入る様な使い手だ、俺達のタイプを言ったのはハンデみたいなものだからな!」
っと言ってきたので、円陣を組んで相談する。
「どうする?言う?」
「言わなくて良いよ!」
「ドライトハートマン曹長も言ってたじゃないですか、無駄に情報を渡すのはバカのやる事だって」
「そうでしたわね?あとレイナさん、ドライトハートマン最上級曹長殿ですわ」
「それに負けたら減点されちゃんうじゃない?この中の誰かが主席になるならともかく、他の誰かかなったら祝福を返還しちゃうぐらいの事態よ?不味いわ!」
キャロリンの言葉にセイネ達の顔色が変わると、同時に気合が入るそして――
「はじめ!」
冒険者の合図で教師対キャロリン達の戦いが始まった!
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