入試に行こう!
俺のブートキャンプは続いた、そして何故か真理の探究亭から追い出され、日が進み入試の日が明日へと迫っていたのだった!
【結構色々教えられましたね、気功法もマスターできましたし】
うむうむ、メルクルナ達にも覚えられちゃったけどな!
【あと、追い出されたんじゃなくって予約の人達が来たのと大使館が出来たから出たんじゃないですか】
まあ、そうなんだけど、あと来週にはドライト丸が戻ってくるんだよな。
【ええ、トリア大司教様にステファンス国王陛下にアンナ正妃様とエレイン側妃様も来るそうです】
やっぱジェード王国の王族はアホだと俺は思うんだよ……国外の1ヶ所に集まるなんて何考えてるんだろ?
【ケビン大公さんが泣いてたそうですよ、私だけ行けないって】
よし、考えないようにしよう!
【精神衛生上、それが良いかと】
俺達は大使館に移り住み、キャロリン達の入試対策などしていたが、明日が入試なので体を休める為にまったりとしていた。
「いよいよ明日は入試です、やれる事は全部しました。
素晴らしい教師もゲットできましたし、後は合格するだけです、明日のために今日は1日お休みですよ!」
「ドライト様、ドキドキして休めないので対人戦の訓練を……」
「ダメですよ!そうだ、映画でも観てゆっくりするのですよ!」
「ドライト様、映画ってこの間言っていたやつですか?
メルクルナ様達がハマって食事も睡眠も取らずに見てますよね?」
「そうですよ、セイネは何かリクエストがありますか?」
「なら、テスト関係の映画とかないですか?」
「セイネ、良い案じゃない!」
「そうですね、休んでいた方が良いですし、映画とやらを見ましょう!」
「異界の映画……高度に科学文明が進んだ世界の劇ですか、興味あります!」
そう言ってキャロリン達とワイワイと食堂に行くと、シリカ達も一緒に見るとついて来た。
そしてリクエスト通り俺はテストに関係する名作映画 ザ・カンニング[IQ=0] を上映し、見終わった全員を脱力させる事に成功したのだった!
そして、俺は大使館の大広間の天井から吊るされて朝を迎えた。
「ドラ公!反省したか!」
「あなたはなんて映画を入試の前日に見せるのですか!」
「ドラちゃん……セイネが落ちたら……絶対許さない!」
「ドライト、やって良い事と悪い事が有るってセレナ様も言ってたでしょ!」
だが、俺は天井から吊るされたまま不敵に笑うのだった。
「フフフ……シリカ姉達は分かっていませんね、元々ブートキャンプは必要でも、入試なんてどうでもよかったのですよ!」
「どういう事よ?」
「ブートキャンプはキャロ達を強化するのが主目的だったのです、キャロ達には早く神に到ってもらい眷属神になってもらうのですよ!」
「それはそれで良い事だけど、誰かが落ちたらキャロちゃん達は悲しむわよ?」
「フフフ……ハハハハハ!愚かですね!キャロ達が落ちる?そんな事はあり得ないのですよ!」
「でも、ケアレスミスとか色々あって落ちるかも知れないじゃない!」
「ふぅ……だから愚かだと言うのです。
良いですか?今日入試が行われて、即日採点されて結果は明日でます、そして私は夜に賢者の学園に侵入して入試の結果を確認し、万が一にでも誰かが落ちていたら……改ざんして合格にしときます。
つまり落ちようが無いのですよ!ファハハハハ!」
「さ、流石ドライトだわ!」
「なるほど、その手がありましたわね!」
「流石は俺達のダーリンだぜ!頭が良いな!」
「……合格の前祝の準備……しとくべき!」
シリカ姉達も納得すると、皆で喜びを分かち合うのだった!
「全員そこに並びなさい、お仕置きです」
そしてセレナに即効バレてお仕置きされたのだった。
「母様、なんとしてもでも合格させるのですよ、多少の不正行為は目をつぶるのです!」
「あなたがやろうとした事は、多少じゃないでしょう」
俺は母様に抱っこされたまま、キャロリン達とその傍らで尻を抱えているシリカ姉達と賢者の学園に向かっていた。
「ドライト様、テスト結果の改ざんはさすがに……」
「いや、実はですね?ちょっとみんな近くに来るのです」
そう言うと、俺は小声で皆に説明する。
「どうも、他の国の王族などは資金援助などで合格が決まっている様なのですよ」
俺がそう言うと、皆が驚くが俺は続ける。
「それでジェード王国も資金援助をしてるんですが、どうも一部の国の王族がジェード王国の関係者が入学するのが面白くないようなのですよ、完全な妨害工作等はしていませんがテストの結果が悪ければ落とそうとしているようでして……
ジェード王国だけダメなんてズルいですから、夜に侵入してチェックしようと思ったのですよ」
「そう言う理由なら良いわ、おやりなさい」
セレナが許可を出すと、シリカ達は小躍りして喜んでいる。
そんな中セイネがつまらなそうに言う。
「なんだ、それなら白紙で提出しても合格しちゃうじゃん……つまんないの!」
「セイネ、流石に白紙で出したらまずいわよ?」
「いや、本当には出さないけどさ……」
「なら、面白くしてあげますよ?」
「ドライト、何かまた変な事考えているんじゃないでしょうね?」
「母様、違いますよ、テストの結果を改ざんする為に学園に侵入しますが……結果はシッカリと記録してくるんですよ!」
俺がそう言うと、キャロリン達もシリカ達もそれの何が面白いのか分かっていないようだが、俺の発言で一気に殺気立つ。
「ふふふ……誰が何位で入学するんですかね?
ああ、キャロが主席入学するのは当たり前ですから2位以下は、ですね?
ウソの結果なんて母様と父様に誓って言いませんよ?」
俺がキャロリンが首席で合格だと言うと、シリカが俺を睨みつけて言ってくる。
「ドライト?私のレイナに気功法を教えたのを後悔すればいいわ?
レイナはもう完全にマスターして、斬撃を飛ばせるようになったのですからね?」
「シリカ姉様、その程度で主席を取れるとでも?
リティアは完全に魔力と魔素のコントロールが出来るようになったのですわよ?
もちろん気功法もバッチリですわ?」
「はぁ~、サルファ姉も何言ってるんだか、アレナムが1番だろ?
前衛も後衛もこなせて魔法も使えるんだぜ?」
「リア姉……それは器用貧乏って言う……勉強だけでなく、色々な知識を持つ……セイネが1番だから!」
「うんうん、シリカ姉達で次席争いを頑張ってくださいね?
さぁキャロ、リラックスしてテストに挑むのです、何の問題もありませんからね?」
「「「「いい度胸して(るわね、ますわね、じゃねえか、る……)!」」」」
ドライトとシリカ達が睨みあっていると、キャロリン達もお互いに顔を見合わせる。
「……私の祝福者は銀龍ドライト様ですから、負ける訳にはいきません!」
「あはは……そう言えば私達はある意味ライバルなんだよね?
なんにしろ1位を取ったらアンジェ様に褒めてもらお!」
「ええ、そうですね……合格は間違いなくします。
そして、私が首席を取ってリア様に捧げます!」
「ふふ……シリカ様、心配なさらなくても私にお任せください、キャロさん達は何も心配せずに伸び伸びと試験を受けてくださいね?
ちゃんと私が龍の祝福を受けた者として主席を取りますので……」
「ふぅ……学力がナンバーワンの私が居るのに、皆様は夢ばかり見て……
サルファ様、サルファ様は何も心配せずにお待ちくださいませ、結果は決まっているのですから!」
そう言ってこちらでも睨み合いが始まる、そして異様な雰囲気の中でドライト一行は賢者の学園の前に到着したのだった。
賢者の学園の門前には、様々な国の王族や貴族に豪商の子供や、才能があり国などの行政機関から支援を受けて来た子弟達で混雑していた。
そんな中に武装した兵士達に囲まれた集団が現れる、兵士達を見てほとんどの者達がジェード王国の近衛兵だと気がつくが、それよりも問題なのは異様な雰囲気をまとった9人の少女達と1匹の子竜だった。
「着きました、ここが学園の門前ですよ。
今日は馬車で来なかったのは試験日は混雑するので馬車が禁止だからですよ!
なんにしろ今日は散歩がてらちょっと試験を受けて主席を取って帰るだけですね、キャロにはその程度の事ですよ!」
「お任せくださいドライト様……何の問題もありません!」
「レイナ、私は何の応援もしません、何故か?あなた以外に主席を取る人なんて居ないからです、つまり当たり前の事なのですから応援なんて必要ないわよね?」
「もちろんでございます、キャロさん達には悪いですが主席を誰が取るかなど、決まった未来の事なのですから」
「あらあら、リティア、見てみなさい?決まった未来だとか散歩だとか、そうやって慢心してると足元をすくわれるのですわ、頭の良いリティアなら油断などしないでしょうが……フフフ……」
「サルファ様の言う通りですわね、まったく、頭の悪い方々の為にも油断などせずにシッカリと私が主席を取ってきますわ!」
「あーあー、サルファ姉も酷な事だよな、頭でっかちのリティアじゃ無理だって!
その点、アレナムは優秀な神官戦士でもあるし、油断もしない、弱点らしい弱点が無いからなぁ……
優秀すぎて困っちゃうよ!」
「リア様、その様に褒められると照れてしまいます……でもそうですね、この5人、いえ試験を受ける者達の中でも私以上に優秀な者は見当たりませんね、なんと言っても私にはリア様の祝福が有るのですから!」
「セイネ……他の人は無視する……セイネが首席で間違いない……!」
「アンジェ様、試験には社会問題や雑学なども有るそうです、お嬢様やお姫様に解けるんですかね?
まぁ、彼女達が解けても解けなくても私がアンジェ様に褒めてもらうのは、間違いないんですけどね!」
そう言って門の前に来た9人と1匹は殺気だっている、特に凄まじい程に美しい4人の少女と子竜は周りの空間が歪んで見えるほどの殺気をぶつけ合っていた。
「と言うか空間が歪んじゃいましたよ!?
急いで直すのです!」
こうして、シリカ達とキャロリン達は別れてシリカ達は真理の探究亭に、キャロリン達は門をくぐって賢者の学園に入ったのだった。
「はぁ~、ここが賢者の学園ですか」
「凄いですね、アサセルム同盟1の学園を持つと言われている、アレクスと比べ物にならないわ!」
「ん?アサセルム同盟1って、ここじゃないんですか?」
「ああ、レイナちゃんは、帝国の出身ですから知らないんでしたわね」
「学園都市って、アサセルム同盟に加入はしてるんだけど、正式にじゃないのよ」
「そうなんですか?」
「それにウアスやダラムアデ、メルクルナ教国とも独自の同盟を結んでますわ」
「教育の独自性を保つため。
でしたっけ?」
「そう言えば兄達と父が、学園都市と同盟を結びたいと言ってました。
何故かジェード王国とは疎遠なんですよ」
「へー帝国とも同盟を結んでるのに、変ね?」
「その事も含めてキャロさんのお父様、陛下とお妃様達も来るんじゃないんですか?」
「そうかもしれません」
「ってか、セイネ、あなたも喋りなさいよ」
「……政治の話は難しいから分からないし、孤児院の小さい教室とは比べ物にならない!」
「潔いですわね……」
「そう言えば、ジェード王国の学園は匹敵するって聞いてるけど、どうなの?」
「……匹敵します!」
「つまり負けてるわけですね」
「レイナちゃん、はっきりと言わないでくださいよ……
そう言う帝国はどうなんですか?」
「うん、帝国の方が勝ってるわ!」
「「「おお~!」」」
「まぁ、帝国はお貴族様御用達なんですけどね、オホホホ……」
「「「ああ~……」」」
ジェード王国はもちろん、各国家の学園は成績の良い者は貴族籍でなくても、入学できるのがスタンダードなのだが、どうやら帝国は違うようだった。
そんな事を話していると、受付があり入試受付と書かれていた。
「おおお、いっぱい居るわ!」
「セイネ、驚きすぎだって」
「い、いや、でも多すぎませんか?」
「キャロちゃん、合格者って何人だったかしら?」
「えっとね……300人だって!」
「うん、ここだけで1000人はいるわね!」
「やべ、緊張してきたわ」
「他にも会場有るんでしょ?」
「いったい、何人が入試を受けるのですか……?」
「学園都市だけで5000人は受けます、他の国の希望者も合わせると10000人は越えますね」
「「「「なるほど~……って誰?」」」」
「失礼しました私の名前はクリスティーナ、クリスティーナ・アン・シャープと言います。
当学園の学園長をさせていただいております」
キャロリン達の背後には膝まで有りそうな白銀の髪をした美女、賢者の学園の学園長にして大賢者の称号を持つクリスティーナ・アン・シャープが立っていて、キャロリン達を睨むように見詰めていたのだった!
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