学園都市編 ドライトさんのブートキャンプ
まったく!メルクルナとユノガンド様のせいで1日が無駄になっちゃったな!
【そうですね、しかし追い返す事が出来たんで2、3日は帰ってこないでしょうから、その間に出来る事をしちゃいましょう】
そうだな、4神とジェード達にそれは感謝だな!
【ええ、それでキャロリン様達の入試対策をするんですよね?】
ああ、キャロ達は十分優秀だけど、万が一って事が有るからな。
【キャロリン様は亜神としての力もドライト様に返還しちゃいましたね】
うーん、自分の力で俺の眷属神になってみせる!って言って聞かなかったから、しぶしぶ返してもらったけどさぁ……
【全部は回収してないんですよね?】
ああ、少し残してるんだなこれが!ゲヘゲヘ!
【今回のブートキャンプで力も増すはずですし、楽しみですね……あれ?なんかガンジス様から連絡が?】
『ドライト?返事が無いのぅ?』
『スマドの故障かしら?』
『祖父ちゃん祖母ちゃん、どうしたんですか?今ちょっと忙しかったんですよ』
『おお、やっと出たわい』
『忙しいって何かあったの?』
『キャロ達の入試対策で色々やろうと思って、計画を立ててたんですよ』
『むぅ……すまんがそれは後回しにしてくれんか?』
『何かあったんですか?』
『実はユノガンドなんじゃが……』
俺は神都メルクでの話を聞いて呆れてしまった。
ユノガンド様はメルクルナと一緒に眷属神達に連れられて帰ったんだが、俺が連れられて行く時に制御管理室の水晶球に、ユノガンド様の管理システムを入れればユノガンド様が管理している世界が管理できるようになり、かなり労力が減るはずだと教えたのだ。
ただ、現在はメルクルナの管理システムが入っているために、それを取り出して微調整が必要だと言っておいたのだが、早く仕事を終わらせてこっちでレムリア祖母ちゃん達と遊び惚けたいと、メルクルナの管理システムを抜かずに自分のを入れてしまったらしい。
その結果、制御管理室の中央水晶球は砕けてしまい、現在大パニックになっているとの事だった。
『ア、アホなまねを……』
『セレナ達にはもう伝えてあるから、急いでこっちに来てくれない?』
『すまんのぅ、わしもレムリアもちゃんと見張っていたつもりじゃったんじゃが、一瞬のスキを突かれてしまってのぅ』
『祖父ちゃん達のせいじゃないですよ、しかし無駄に原始の神だけありますね。
祖父ちゃん達を出し抜くとは思いませんでしたよ』
『ユノガンドは4神からめちゃくちゃお仕置きされてたけど、たいして効果なさそうだから中止して管理システムと格闘中よ。
とにかく急いで来てね?』
『分かりました、急いでそちらに向かいますよ!』
こうして俺は急きょ神都メルクに戻る事になったのだった。
「ああああああああ!それ違う!オク、それはシステムに直結してるから、今いじれないから!」
「アスモデル、私達は制御管理システムなんて普段触らないから難しい事は解らないのよ、私達には他の仕事に回してよ!」
「マルキダエル、ここはどうすれば良いんだ?システムエラーとしか出ないぞ?」
「アラトロン、そこは俺も分からん!ハナエル見てやってくれ!」
「うわーん!無理だよこんなの!メルクルナ様のだけならともかく、ユノガンド様のも混じっちゃってるんだもん!」
「ハマリエル!喋ってないで手を動かしなさい、手を!」
「オフィエルさん、エルナルナ様からAの17ー54892の現在の状況を報告してって!」
「だあぁぁ!あそこは今無理だって!上位世界だから管理システムの助けなしでは、私達には手も足も出せないわよ!」
「ごめん!戻ったわ!」
「メリルルナ様!エルナルナ様からAの17ー54892状況報告してくれって頼まれたんですけど、私達には手が出せないんです!」
「分かったわ!」『チエナルナ聞こえる?上級神達10人ほど連れて上位世界の監視してて!』
『えええ!?Aクラスの世界の監視を私と上級神10人だけじゃ無理だって!』
『無理でもやる!』
『わ、分かったわよ!』
「だはー!戻ったわ、リヴァイアサン様が居てくれて助かったわ!
邪神に魔神共、今だとばかりにちょっかいかけてきやがって!」
「マリルルナ、そっちは大丈夫なの?」
「今は、ガンジス様にレムリア様、モリオン様とヌーマ様も参加して殲滅してくれてるわ!
私と戦闘組だった上級神達の手が少し空いたけど手伝える事はない!?」
「エルナルナ姉様手伝って来て!あっちはSランクの世界の制御をユノガンド様とメルクルナとでやってるけど、全然手が足りないみたいなのよ!」
「げ!あ、あんたら!疲れてるだろうけど、もうひと踏ん張りよ!行くわよ!」
[ビービービー!重大なシステムエラーが発生しました、制御管理システムの第8システムが凍結されます]
「「「オワタ……」」」
「うわ~ん~、ドライト様~なんとかしてぇ~」
「まったくしょうがないですね、フル、代わるですよ!」
「「「ドライト様!」」」
『リュージュさん、サポートよろしこ!』
【了解しました、私も制御管理システムにサブを投入します】
俺は席に着くと、砕けてしまった中央水晶球に魔素を注ぎ、席の引き出しを開けて自爆装置と書かれた箱の横にある、緊急用と書かれた箱を開けて手を中に突っ込んだ。
[最上級管理者を確認しました、現在登録されている他の管理者コードは一時的に凍結されます。
全てのシステムの管理を司令席に集中させます、主神室は一時的に凍結されます。
最上級管理者による非常コードが発令されました、制御管理システムをサブシステムに移行します。
………システムの移行に失敗しました、サブシステムと予備システムによる制御管理システムの分割稼働に変更します。
………成功しました、現在の制御管理システムの稼働率は81%です]
「制御管理システムが稼働しましたよ、皆で世界を安定されるのです、急ぐのですよ!」
「「「おおお!って早い!?」」」
ドライトが席に着いて、あっと言う間にシステムの再起動に成功すると、凄まじい勢いでキーボードを操作してシステムの再構築などをし始めている。
そして制御管理システムが再起動したが、主神室が使えなくなった為にユノガンドやメルクルナにエルナルナも飛び出してきて呆然とそれを見つめるのだった。
「ん~、たまにはコーヒーも良いですね!フル、美味しいですよ!」
「ありがとうございます~」
「ド、ドライト、確かにわらわはとんでもない失敗をしたが、これは無いんじゃなかろうか?」
「ほら、黙って穴を掘る!」
「レ、レムリア、叩かんでくれ!」
ユノガンドは現在首輪を着けられて、レムリアの指示の元、穴を掘って埋める仕事をさせられていた。
「もっと重いお仕置きがお望みでしたか?」
「ううう……エルナルナ!なんとか言ってくれんか!」
「ドライトさん、もっと罰を重くしましょう」
「そんなあぁぁぁ!」
「まったく、私はユノガンド様に言いませんでしたか?
メルクルナさんの管理システムが入っている状態で、絶対にユノガンド様のを入れない様にと」
「じゃ、じゃが2つでも3つでも入る様にしてあると……」
「それはメルクルナさんのような1つだけ世界を管理しているシステムだと言ったじゃないですか」
「ううう……す、すまんのじゃあ、早くばけーしょんに戻りたかったのじゃあ……!」
とうとう、ユノガンドは泣き始めてしまい、メルクルナが寄り添って言ってくる。
「ドライトさん、ユノガンド様も反省してるのですから許してあげてください」
「まったく、メルクルナさんは甘いですね!
おっと、メインの中央水晶球の修復までの時間が出ましたよ」
[中央水晶球の修復には1ヵ月かかります、他のシステムのエラーの修復なども合わせると最低で1年です]
「ふぅ……私はこれで帰ります、後は皆さん頼みましたよ!」
「ちょっとおぉぉ、ドライトさんめんどくさくなって逃げる気でしょおぉぉぉ!」
メルクルナが逃がさんとばかりに抱き付いて来て、エルナルナ達も周りを包囲している。
「1年もこんな事してたら、キャロ達の入学式とか見れないじゃないですか!」
そう言って何とか逃げようとしていると、エルナルナが言ってくる。
「ドライトさん、あなたは様々な世界の管理とキャロさんの入学式、どっちが大切なんですか!」
「キャロの入学式です、それではこれで」
「あ、あのドライト様、大切と言っていただいて嬉しいのですが、世界の管理の方が大切です、頑張ってください!」
「キャ、キャロ!?なんでここに!」
何時の間にか、キャロリンが神都メルクの管理制御室に居て、祈る様に両手を組みドライトを見つめている。
その背後からシリカ達とセイネ達が揃ってゾロゾロと入って来た。
「ドライト、何かあったんだって?」
「ここが神都ですか、シリカ様凄いです!」
「シリカ姉達も来たんですか……実はですね」
ドライトはしょうがないので、全員に説明して修復には時間がかかると言った。
ちなみにシリカ達はセレナに教えられて、転移陣でここに来たらしい。
「ふーん、じゃあ旦那様は仕事を頑張ってね!」
「そうですわね?私達はリティア達を見守らないとですからね!」
「じゃあ私達は、神都をアレナム達に見せてから学園都市に戻ってるよ!」
「ドラちゃん……来世まで待ってる……」
そう言って逃げようとしたが、振り返った瞬間に凍り付いた、セイネ達の頭にドライトの分身体達がしがみついていたのだ!
「自分達だけ逃げようなんて、許しませんよ!
シリカ姉達も手伝うのです!」
「私達を巻き込まないでよ!」
「そーだーそーだ!」
「リティアさんから離れなさいな!」
「ドラちゃん……セイネの頭から退く……!」
ドライトがシリカ達と揉めていると、セレナとディアンがやってきて制御管理室の惨状を見て顔をしかめている。
そして、完全に直すのに1年かかると聞いてため息をついていた。
「でも、ドライト?1ヶ月で造ったのに直すのにはなんで1年もかかるの?」
「ユノガンド様の管理システムとメルクルナさんの管理システムが混じっちゃったんですよ……それを分離しながらなので、時間がかかるのです」
「そうなの……ねぇドライト、管理システムにあなたの龍珠も入れてるの?質問できる?」
「私とリンクさせて管理システムをコントロールする為に入れてますよ、質問も大丈夫です。
母様も上級管理者の1人に登録していますから、何でも答えられる範囲なら答えてくれますよ!」
すると、セレナは砕けてしまった中央水晶球の近くまで行き、質問した。
「システム、修復までの時間をもう1度教えてちょうだい?」
[中央水晶球の修復に1ヶ月、全ての機能の回復に1年です]
「そう……なら、私達龍や神々も全力で協力したら?」
[中央水晶球の修復に半月、全ての機能の回復に10ヶ月です]
「機能の回復に時間がかかるのね……?」
[異なる管理システムの分離には上位の管理者で、システムに熟知した人物が必要です。
現在その能力と権限が有るのはドライト様だけですので時間がかかります]
「そうなの……じゃあ、ドライトが分身体も使って全力で取り掛かったら、どの位の時間がかかるのかしら?」
[中央水晶球の修復に12時間、全ての機能の回復に2日です]
「あら、それならすぐ終わるわね?ドライト?」
セレナがドライトに呼びかけると、何時間のにか席から逃げ出して廊下に出ようとしていたドライトがビクっとして、走り出そうとしたがガンジスに捕まってしまう。
「キャ、キャロの訓練で私は忙しいのです、放してください!」
「ドライト、やりなさい」
「はい、母様」
こうしてドライトは2日間を無駄に過ごしてしまったのだった……
「いや、管理システム直すのに無駄とか言わないで!」
「エルナルナさんは黙って、ユノガンド様に穴を掘らせ続けるのですよ!」
「掘ったら埋めさせるのです!」
「ご飯なんか1000年抜いても問題ありませんよ!」
「キャロが入試に落ちたらお仕置きを追加しましょう!」
「睡眠?永遠に眠らせますよ!?」
そうドライト達は言ってユノガンドを脅している。
すると、直った管理システムで何かしてたのか、メルクルナが主神室から出て
「あ、ドライトさん、管理システムが変わってたけど、なんかしたの?」
そう聞いてきた。
「もう見てきたのですか?
今回はドライト軍団も動員したので、大幅な改修と強化したのですよ」
「へー、どんなんなったの?」
「複数の管理システム、それも原始の神の管理システムを入れても問題ないように強化しました。
改修の方は、音声返答を常時するように変更しました。
今までは緊急時と自ば、あ、なんでもないです、とにかく使いやすくしておきました」
そんな風にメルクルナと聞き耳を立てているユノガンドに説明していると、ドアがノックされた。
次の瞬間にドライトとドライト軍団が逃げ出して、窓に殺到してハマってしまいジタバタしていた。
「ドライトは居る?何してるのあなた達は……」
部屋の中入ったセレナが見たのは床が外され穴が掘られて、窓にはドライト達がジタバタしている光景だった。
「おお、セレナよ!わらわを助けてたも!」
「セレナさん、ユノガンド様は罰として、穴を掘って埋める作業を繰り返しているのです、止めないでください!」
「なんで部屋の中でやらしてるの……」
「外だと雨が降ったらユノガンド様が濡れてしまうじゃないですか!」
エルナルナは胸を張って言うが、セレナは呆れ果てていた。
「なんにしろドライト、逃げないであれの事を説明なさい」
そう言われてドライトは制御管制室のフルの机の前に連れてこられた。
ユノガンドも、関係有ることだからと連れてこられてる。
そして机まで来るとフルが机にしがみつき、その周りをメリルルナと天使族に竜人族の幹部達が取り囲んでいた。
「おのれ!よってたかってフルをいじめるとは許さん!お仕置きです!」
ドライトはそう叫んで3節根を取り出すと、振り回しながら突撃しようとしてセレナに捕まった。
「か、母様!なんで止めるのですか!?」
「アスモデル、教えてあげなさい」
ドライトが怒って突撃しようとして来たので、慌てて逃げようとしていた天使族と竜人族の中から、女性天使のアスモデルがおずおずと前に出ると事の次第を説明しだした。
実は前から、天使達も竜人達もフルの机に興味があったのだと言う。
この机は以前から頑張り屋のフルにドライトが何か欲しい物が無いかと聞くとフルが、
「制御管制室に~机と椅子が欲しいです~、ハマリエルの隣が良いなぁ~」
以前から制御管制室には天使達の幹部用と、非常時のために竜人の幹部用の席が有ったのだがまだ幼いフルには用意されておらず、それが不満だったのだそうだ。
そこでドライトがハマリエルの隣に席を作ったのだが、他の席と違い引き出しやモニターの数が多く、不思議に思っているとドライトが、
「この席は非常時に私が座る司令席です、フルは私の不在中に座ってて良いですよ」
そしてアレクスでの戦闘訓練で頑張ったフルにさらにご褒美に何が欲しいか聞くと、
「美味しいお茶と~、お菓子がい~っぱい食べたいな~」
そう言ったので席を改造したのだが、嬉しそうに席に着いているフルを見ていてアスモデル達だけではなくオク達も不思議に思ったのだそうだ。
引き出しからフルはドンドンお菓子を出して食べている、もちろんフルは皆にも分けている。
別の引き出しからは様々なお茶器やティーセットを取り出して飲んでいる、こちらはドライト様のお気に入りだから別けられないと言い別けてくれなかったが、それよりも気になるのが出てくる量である。
お茶のセットに数十人分のお菓子、明らかに小さな引き出しに入る量ではない。
魔法袋の様になっているのだろうが、毎日毎日ドンドンだしては皆に配って自分もハマリエルと食べている。
たまに帰ってくるメルクルナや目敏く見つけたユノガンド達も加わって食べているが、補充している気配が無いのにドンドン出てくる、しかもユノガンドが、
「しかしこの引き出し、魔法袋になっているようでも無いし、不思議じゃのう?」
そう言ったので更に興味を持ってしまった、そして決定的だったのがマルキダエル達とアラトロン達の行動だった。
このアホ共は、フルとハマリエルがムリエルと出かけている間に「フルばかり美味い菓子を好きなだけ食べてズルい」や「俺達にも茶を飲ませろ」と、そう言って周りが止めるのを聞かずに引き出しを開けようとしたのだ、アスモデルとオクも引き出しの中を見てみたかったがドライト様の事だからなんか仕込んでいるだろうと傍観していたが……
結果はアスモデルとオクの予想通りで引き出しには鍵がかかっており開かない、しかも引き出しに手をかけた瞬間に中央水晶球の周りを回っていた小さな水晶球10数個がアホ共に急接近して雷撃を放ったのだ、そんなこんなでアスモデル達は中を見るのを諦めていたのだが、今回の1件でハマリエルが何かを見た様でフルに見せて見せてとせがんでいた。
そして折れたフルが鍵を取り出してドライトが開けていた引き出しを開けると、ハマリエルは何かを見て、「おお!凄いわ、これなら万が一の時も安心ね!」っと言っているので、アスモデルが後ろから覗き込んだ、何時の間にか居たメリルルナと共に……
そして慌ててセレナに報告したのだった、自爆装置が有ると。
「な、なんだ自爆装置の事で怒っていたのですか、逃げようとして損しましたよ」
「ドライト、なんで自爆装置なんか設置しているの、撤去なさい」
「母様、万が一にでも邪神や魔神に占拠された時の事を考えて設置したのですよ。
それに以前ステラとルチルの孵化のお祝い用に用意した花火を流用したので、低コストですよ!」
「そう言う事では無くてですね……ところで威力はどの位なの?」
「メルク山脈が消滅する程度です」
「すぐに撤去なさい!」
「そ、そんな!自爆はロマンなんですよ!どう自爆するかで、様々なロマンを演出出来るのですよ!?」
「セレナさん、自爆装置は必要だと思うわ!ロマンのために!」
「うむ、自爆は浪漫じゃかろのぅ!良いものじゃぞ?」
横で聞いていたメルクルナとユノガンドが擁護したが、4神とレムリア、ヌーマに連れて行かれてしまう。
「とにかく、そんな危険な物は撤去なさい!」
「ううう、しょうがないですね、撤去します……ついでにマスターコアを設置しちゃいますかね」
「マスターコア?それはなんなの?」
「自爆用花火の置いてある場所は元々キャロが眷属神になった時に、便利に管理システムを使える様にマスターコア設置場所だったのですよ、これが設置されると制御管理システムの能力などが飛躍的に向上するのです!」
「あのドライト様、なんで今まで設置していなかったのですか?」
「自爆装置の方が大事だったからです」
そう言うと、皆は呆れてドライトを見るがドライトはフルに近づいて頭を撫でてあげていた。
「フルは自爆装置を守っていてくれたんですね、良い子ですよ~!」
天使達も竜人達も羨ましそうに見ていたが、ムリエルがでかい胸を揺らしてチクってきた。
「ドライト様、フルちゃんは自爆装置も守っていたんですが、マルキダエル達アホ共が他の引き出しを開けさせろって、鍵を奪い取ったからしがみついて守っていたんです!」
マルキダエル達とアラトロン達が逃げ出そうとするが、ドライトが足止めをして言う。
「そんなに開けたいなら開けて良いですよ?
どこでも好きな場所開けてみてください」
そう言って、フルを促して席から退く。
マルキダエル達は鍵を差し込んで開けようとしていると、ドライトがフルを引っ張ってさらに下がったのを全員が見て、一斉に下がると共にフルの机が大爆発した。
「鍵はフルが持って開けないと、認証されない様になっているんですよ、アホですね」
爆発と同時にドライトが結界を張っていたようで、周りには被害は無いがマルキダエル達は黒焦げになってしまっていた……
しかも机と椅子には被害がない、ドライト軍団が現れると黒焦げになって気絶しているマルキダエル達を連れ去って行く、そしてドライトは席に座るとフルに
「フル、お茶をください、緑茶が良いですよ!」
「は~い、今いれま~す」
っとお茶を始めてしまうのだった。
その後、マルキダエル達は穴を掘って埋める作業の罰が与えられていた、ユノガンドとメルクルナにドライト共に。
「け、結構きついぞこれ!?」
「と言うか、シャベルもツルハシも歯が立たないだが、なんなんだこの地面!」
「ユノガンド様やメルクルナ様にドライト様用なので、レムリア様が硬化をかけてました」
「それ、掘るの無理だろ!?」
「あっちを御覧なさい」
「ぬおぉぉぉ!掘れ、掘るのじゃ!」
「ドライトさん、爆破しちゃわない?その方が楽よ!」
「駄神、サイズじゃなく回数でしょうが!掘ったら埋めて埋めて埋めまくるのですよ!」
マルキダエル達は全員で縦横深さが10メートル穴を掘って埋めたら罰が終了で、ドライト達は同じサイズの穴を3人で100万回掘って埋めれば終了だった。
数を数えているエルナルナとメリルルナの横にある表示板には、既に20万回を超えている数字が表示されていた。
「あの方達はすでに20万回も出来ているのにあなた方は1回で良いのですよ?
セレナ様の慈悲に感謝してさっさと掘りなさいな」
そうマルキダエル達の監視役のアスモデルとオクに言われるが、
「「「いや、俺達には無理だから!」」」
そう言って抗議するがもちろん無視されてしまう。
「ハァハァ……あの、ドライト様、質問しても良いですか?」
一人黙々と地面にツルハシを叩きつけていたアドナキエルがドライトに言ってきた。
「ここ掘れにゃんにゃん!なんですか?」
「あの引き出しから、お菓子が途切れる事無く出てくるのは何故なのでしょうか?」
「ああ、あそこは奥の方で私の亜空間にあるステラとルチル用のお菓子工場に繋がっているんですよ、だからです」
「「「なるほど……お菓子工場!?」」」
そう聞いて全員が驚き固まるがドライトは、
「ユノガンド様、メルクルナさん!手が止まってますよ!」
そう言ってにゃんにゃん言いながら穴を掘っている。
また穴を掘りながらメルクルナが言い出した。
「1度ドライトさんの亜空間の中見てみたいわ」
「メルクルナよ、行く時はわらわも連れて行ってたもれ」
「な、なんか見ない方が良い気もしますが……」
こうしてブートキャンプ3日目は終わりを告げたのだった。
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