学園都市編 丘の争奪戦


さてと、とりあえず住むところを優先して造らなきゃだな!


【真理の探求亭はかなり良い宿なんですけど、2週間後には予約のお客さんが来るから出なきゃですもんね】


そーなんだよな、アンディ王太子さんも、こんなに良い宿があるなんて知らなかったって、悔しがってたからな。


【なんにしろ速く造らないと、野宿になっちやいますからね】


ああ、ドライト丸は1度国に帰らせちゃったからな。


【丘が見えてきましたね……おや?あれは?】


誰かいるな、メルクルナとジェード夫妻、トニーさんにゾーランさんか?

メルクルナのやつ気を利かせて呼んでくれたのかな?


【行ってみましょう!】




丘の上の一等地にはメルクルナにジェード達が居た、そしてメルクルナが指示を出すとドワーフのトニーが縄張りをしていく。


そして俺はその後ろからついて行き、決められた縄張りを外していく。


「ふぅ!だいぶ終わったわね!

ユノガンド様のお部屋の場所も、最高の所が確保できたし、一休みしましょおぉぉぉ!?」


メルクルナが驚き奇声を発してジェード達の後ろを見ているので、ジェード達も慌てて振り返るとドライトが縄張りを全部はずしてお茶を飲んでいた。


「ふぅ!良い仕事しましたよ、お茶が美味しいです!」


「何が良い仕事しただぁ!

せっかく縄張りしたのに、全部外しやがって!」


メルクルナが激怒しながらドライトに走りよってくるが、そこにユノガンドが現れたのを見て、方向転換してユノガンドの元に走りよる。


「なんじゃ?縄張りがぜんぜん進んどらんじゃないか、メルクルナはサボっておったのか?」


「ユ、ユノガンド様!あのデブ龍がほとんど終わってたのに、外しちゃったんですよ!」


「なんじゃと!?」


ユノガンドは怒ってドライトに向き合い、説教し始める。


「お主!仮にも原始の神であるわらわの部屋の建築を邪魔するとは何事じゃ、あ……あれ?」


ユノガンドは目をつぶり、腕組をしながらドライトを怒って最後に目を見開き指先を突きつけたが、そこにドライトの姿は無かった。


「ど、どこに行きおった?」


[パタパタ……ガシッ!]


「うむ?誰ぞわらわの後頭部にしがみついておらぬか?」


「は、はい、ドライト様がしがみついています」


メルクルナがその光景に呆然としているので、代わりにジェードが答える。


「あーん!」


「あーん?ドライト、何か食べるのかの?わらわの頭の上で食べるのは勘弁してくれんかの?」


[ガブゥ!]


「おお!食べるのではなく、わらわの頭に噛みつきたかったのか!なるほどのぅ!はっはっはっ……痛いのじゃ!尋常じゃない痛さなのじゃ!だ、誰か助けてたもれ~!」


ユノガンドは噛まれてもたいした事はないだろうと、たかをくくっていたがしっかりと激痛だった。


「こ、このデブ龍!ユノガンド様になんて事してくれてんのよ!」


メルクルナは神剣を取り出すと、ドライトめがけて思いっきり振り下ろした!


[ドゴン!]


「あんぎゃあぁぁぁ!?」


「手応えあり!?オラオラオラァ!」


[ガン ゴン ドガ!]


「い、痛いのじゃ!メルクルナ待て、待つのじゃ!」


「ユノガンド様、お待ちください!今お助けします!」


「ち、違う、本当にやめい!」


[ガキン!]


ユノガンドも神剣を取り出すと、メルクルナの剣を受け止めてメルクルナから距離を取る。


「へ?ユノガンド様どうしてドライトさんをかばうのですか!?」


「こやつどうしてか、お主の攻撃のダメージを全部わらわに流してるのじゃ!ううう……めちゃくちゃ痛かったのじゃ、と言うか現在進行形で痛いのじゃ!ドライト離れてくれんかのぅ!?」


「相変わらず変な術作ったり、器用な事を……ジェード達も手伝って!引っぺがすわよ!」


メルクルナ達はユノガンドからドライトを引き離すために後ろに回り込もうとするが、ユノガンドは後ろを取られない様に移動する。


「……」


[グルグルグルグル……]


「ユノガンド様、なんで逃げるんですか!」


「ん?体が勝手に動いておるのじゃ、なんでかのぅ?」


[グルグルグルグル……]


「あ、あの、ユノガンド様、もしかしてドライト様に体を乗っ取られたんじゃ?」


そうジェードの妻のテレサが言うと、メルクルナとユノガンドは笑いだした。


「テレサ、原始の神であるユノガンド様がそう簡単に体を乗っ取られるものですか、ないない、ないわよ!」


「ハッハッハッ!テレサ、お主はかなり優秀じゃがまだまだ神になって日が浅いからのぅ、わらわ達原始の神が体を乗っ取られる様な事は長い時の中でも無いのじゃ!」


そう言って、テレサの言った事を否定していると……


[ボグゥ!]


ユノガンドが自分で自分の顔を殴った。


「ユ、ユノガンド様!?」


「な、なんじゃ!?」


「乗っ取り完了ですよ!

それいけユノガンド様、メルクルナさんを倒すのです!」


今まで黙ってたドライトが高らかに宣言すると、ユノガンドは持ったままだった神剣を振り上げ、メルクルナに切りかかった。


「うおおぉぉぉ!?」


[キン!]


メルクルナは慌てて剣で受け止め、ジェード達に指示を出す。


「ジェ、ジェード!ユノガンド様を押さえつけて!」


慌てて、ジェード達がユノガンドの四肢に飛び付き拘束しようとするが、簡単に振り払われる。


「アホですね、原始の神であるユノガンド様を押さえつけるには、祖父ちゃん祖母ちゃん達にでも頼まないと無理ですのに。

ユノガンド様、必殺技の自爆で吹き飛ばすのですよ!」


ドライトは噛みついたままそう言うと


「か、体が勝手に!ド、ドライト、わらわを操るでない!」


そう叫びながら、ユノガンドの体が輝きを増し始める。


「ギャー!撤退!撤退よ!」


メルクルナがそう叫んで、逃げるとジェード達もチリヂリに逃げ始める。


「ま、待て!わらわはどうなるのじゃ!」


「私は大丈夫ですので、ご心配なく!」


「本当にわらわはどうなるのじゃー!?」


そうユノガンドが叫ぶと同時に、矢がユノガンドの後頭部に突き刺さった!


「うぎゃああぁぁ?今度はなんなのじゃー!」


「おのれ!何者ですか!?」


ドライトは短距離転移で逃げた様で、メルクルナの頭にしがみついている。


「ちょっと!ユノガンド様の頭に当ったわよ!」


「ね、姉さん、いくらユノガンド様が仕事をほっぽって逃げたからって、矢を撃ち込むのはどうかと思うわ!」


「ち、違うわよ!あの子竜に当てるつもりだったのよ!」


「あの子竜、私のメルクルナ姉様の頭にしがみつくなんて、なんて羨ましいことを!」


そう言いながら、岩の影から現れたのはメルクルナとユノガンドに雰囲気の似た4人の女性だった。




「お、お主等、なんでここに!?」


「げ!エルナルナ姉様に姉妹達!何しに来たのよ!?」


ユノガンドとメルクルナはそう言うと、ドライトの影に隠れる。


「ああ、あなた方が有名なユノガンド様の4神ですか……私は野良子竜のドライトですよ!崇めなさい!」


「こ、こいつ子竜のクセに!」


「ユノガンド様、なんでそっちに隠れてるんですか……」


「原始の神であるユノガンド様に噛みつく愚かな竜め!滅してあげるわ!」


「メルクルナ姉様をユノガンド様の魔の手から救うために来たのです!」


「「「違うわよ!」」」


どうやら、4神はユノガンドを迎えに来たようで、仕事しろ!っと怒っている。


「なんでここに居るのがバレたのじゃ!ドライト丸に気配を残したまま、ジェード王国に向かわせたはずじゃぞ!」


「気配も遮断してるはずなのに!

しかも、無理言ってドライトさんにも隠蔽してもらってたのになんで!」


すると、ユノガンドの筆頭眷属神のエルナルナが呆れて言う。


「ジェード達がユノガンド様に呼ばれたので行ってくると報告してきたんですよ」


「お、おのれ裏切り者め!」


「ジェード、神にしてあげた恩を仇で返すなんて……罰してあげるわ!」


「い、いや、仕事をほっぽって来るわけにはいかなかったので、指揮を執っているアスモデルとエルナルナ様に報告したんですよ」


ユノガンドとメルクルナに睨まれて、ジェード達がそう弁明していると、


「なんにしろユノガンド様、帰って仕事をしてください」


「色々な案件が溜まっちゃってるんですよ」


「そうです、メルクルナのアホと遊んでばかりいないでください、羨ましい!」


「私がメルクルナ姉様と代わりに遊んでいますから、ユノガンド様は帰りましょう!」


「嫌じゃ嫌じゃ!もっと遊ぶんじゃ、ばけーしょんなのじゃ!

あと下の2人はメルクルナと遊びたいだけじゃろ!」


「……私はドライトさんの監視の仕事があるから、残りますので」


「「「ずるい(のじゃ)!」」」


ユノガンド達が揉めている間にドライトは素早く移動すると、あっと言う間に縄張りをしてしまう。

それを目敏く見たメルクルナが縄張りを外そうとして近づくと、縄を引っ張るがビクともしなかった。


「おおお!?ま、また変な術使ってやがるなデブ龍!」


「むむ!メルクルナ、今わらわも行くぞ!縄張りをし直すのじゃ!」


「仕事の邪魔です、あっち行くですよ!ガア!」


2人がかりで縄張りを外そうとしていたユノガンドとメルクルナに向かってドライトが一鳴きすると、酢球に包まれて宙に浮かされてしまった。


「「ガボバ?ガボボボ!」」


「ハァ!」


それを見たエルナルナが、気合と共に矢を放つと酢球に当たり酢球は破裂する、そして4神達が神器を取り出してドライトに向かう。


「ユノガンド様!メルクルナ!おのれ!」


「この子竜!さっきから生意気よ!」


「メルクルナ姉様に酷い事するなんて許さない!」


そう言って、攻撃態勢に入った所でガンジス達が現れた。


「なにしてるんじゃ、お主等」


「エルナルナにメリルルナ、マリルルナ、それにチエナルナだったわね」


「ユノガンドの4神か、働き者で有名じゃったな」


「で?うちの孫に何の用なの?」


「「「「お孫様!?」」」」


「スキありにゃ!」


[ドカドカドカドカーン!]


「「「「きゃー!?」」」」


エルナルナ達はヌーマの言葉に驚き立ち止まった、そこにドライトが猫パンチを放ち吹き飛ばされてしまう。

だが、流石にユノガンドの4神と呼ばれる最上級神達だった、空中で体制を整えるとそのまま浮かんだり地面に着地して神器をかまえなおす。


「にゃにゃ?耐えたにゃ?追撃にゃ!」


「お止めなさい、朝早くから出かけたと思ったら何しているのです」


「母様!」




ドライトはセレナに抱き抱えられてしまい追撃を諦めたが、同時に多重結界を張ってユノガンドとメルクルナが縄張りに近づけない様にしてしまった。


そして何が起きたかを皆に説明したのだった。


「は、はぁ……元々ここはジェード王国の大使館を造る予定だったのですか……」


「それを勝手にユノガンド様とメルクルナに縄張りされてしまったので、やり直していたと」


「それであなたが銀龍のドライトさんですか……」


「なんか、全然強そうじゃないけど」


「それは隠蔽してるし、抑えているからよ。

父様母様、結界を張って力を解放できるようにしましょう、ドライト?本当の姿を見せてあげなさい」


セレナがそう言うと龍神達が結界を丘の周りに張る、するとドライトは言われた通りに力を解放させた。

ドライトが力を解放させ銀龍の姿に戻ると、結界がミシミシ言い始める、慌ててガンジス達は力を込めて結界を安定させた。


4神は唖然としてそれを見ていたが、ユノガンドとメルクルナはなんとかして縄張りに近づこうとドライトの結界に攻撃していたのだった。


「クッソー、ビクともしないわ!」


「ぬ?ガンジス達が結界を張ったぞ?チャンスじゃ!全力で攻撃して結界を破るのじゃ!」


「止めなさい!」


[バシバシン!]


「「うぎゃああぁぁ!?」」


ユノガンドとメルクルナはレムリアに尻尾で叩かれて、やっと大人しくなった。


そして話し合いが始まったが、ユノガンドは中々良い場所だから私の神域を創っると言って引かず、4神達もユノガンド様がそう言うならここは譲るべきだと言い始める。

そこでガンジスが、なら真剣勝負で勝った方が権利を主張できるというのはどうかと言うと、ドライトは即本気モード全開で「そうしましょう!」っと言って戦闘態勢をとるが、それを見たユノガンド以外の神々は真っ青になって「暴力反対!」と、両手を上げてしまった。


「なんじゃお主等!それでもわらわの眷属神か、なさけないぞ!」


すると神々を代表してエルナルナが言った。


「なら、ユノガンド様が先頭に立って「ここは平和的にいくのじゃ!」……」


ユノガンドは逃げ出したがドライトは戦いたいようで、


「やっぱりここは正々堂々と真正面から戦って「絶対嫌なのじゃ!」えー……」


ユノガンドは噛まれたのと酢球がトラウマになっているのか、レムリアの影に隠れて反対している。

するとテレサが平和的な方法を提案して来た。




「フラッグ戦か、ある程度の妨害ありで丘の頂上にフラッグを立てた方の勝ちね」


「それなら面白そうじゃのう!」


「ユノガンド様、頑張りましょう!」


「この勝負なら平和的で良いですね」


「ふん!ドライト、ギャフンと言ってもらうわ!」


「メルクルナ姉様は、私が守ります!」


「じゃあ、神々対龍と言う事で、祖父ちゃん祖母ちゃん作戦を」


「ちょ、ちょっと待てい!ガンジス達はズルいじゃろ、数に差があるぞ!」


「なら父様母様、どうやって殲滅するか話し合いを」


「う、セレナにディアンか……」


ユノガンドはガンジス達がそっちに入ると、同等の力を持つ者がそっちは4人でこっちは私しか居ないと文句を言ってガンジス達は審判になったが、セレナとディアンを入れるのは止められなかった。


「ユノガンド様、数はこちらが有利です、いけますよ!」


「そうね、そっちはユノガンド様に4神とメルクルナ、それにジェード達がいるものね」


「こちらはドライトさんにセレナ様とディアン様」


「それに俺達か、中々良い勝負になりそうだな!」


「ボコボコに……してやんよ……!」


「お、お主等、何時の間に!」


何時の間にかドライトの近くにシリカ達が龍の姿で現れていた、そしてディアンとセレナにシリカ達は1m程の姿になると、早く始めようと息巻いている。


「ユノガンド様、皆頑張って!」


「メルクルナ、あなたも参加するのよ!」


「エルナルナ姉様、ビシビシと嫌な予感がするので私は応援をしています!」


「いいから、とっとと来なさい!」


[ガシ!]


「ん?あ、あんた等!放せえぇぇぇ!」


メルクルナは4神に抱えられて、スタート地点に連れて行かれてしまった。




「それじゃあ良い?妨害は大怪我させなければ良いわよ、キャロちゃん達も見てるみたいだから、気合入れて行きなさい!

あ、ドライトの分身体は流石に使用禁止よ」


「わし等がシッカリと審判を務めるからな?妙な事はせんように!」


「ユノガンド、気合入れるのは良いけどやり過ぎるとドライトも反撃するわよ?」


「セレナ殿とバカ息子も居るからな、戦力的には拮抗しておるはずじゃ」


「「がんばるよー!」」


「あら?ステラちゃんとルチルちゃんも出るの?」


「そうですよ?」


「危なくないんですか?」


「……何事も経験ですよ?」


「ドライトさん、変な物仕込んでるんじゃないでしょうね?」


「失敬な駄神ですね、早く向こうに行きなさい!」


「そうじゃそうじゃ!早くエルナルナ達と合流するのじゃ!」


「「「……」」」


「あんたは向こうでしょうに……」


「ヌ、ヌーマ!嫌じゃ!メルクルナの嫌な予感は当たると有名なのじゃ!

わらわも嫌な予感がするから、わらわはこっちのチームに[ガシ]や、止めるのじゃ、掴むでない!」


ちゃかりとドライトチーム混ざろうとしていたユノガンドは、ヌーマに連れられて行った。


「まったく、ユノガンド様ったら……じゃあ私は外から応援してるわ[ガシ]レ、レムリア様!?」


「ほら、さっさと行くわよ!」


そしてメルクルナはレムリアに連れて行かれたのだった……




「それでは始めるぞ!モリオンが放った魔法弾が炸裂したらスタートじゃ!」


「それぃ!」




[ヒューン……ドゴオォォォン!]




合図の花火にしては凄まじい威力だったが、爆発と同時にセレナ達にユノガンド達は一斉に動きだす。

そんな中、ドライトは動かずにステラとルチルにフラッグを渡しして何かを指示していた。

そして、それが終ると同時にユノガンド達の目の前に酢球が現れる、それを目にしたユノガンド達は慌てて逃げたした。

何故かと言うと酢球のサイズが丘より大きかったからだ、そして酢球は崩れ濁流となってユノガンド達を襲った。


「ぎゃー!審判、反則じゃ!」


「ユノガンド様、それよりも逃げないと!」


「け、結界発動……しない!?」


「あのデブ龍が妨害してるのよ!飛んで逃げるわよ!」


「あー、その程度の濁流に飲まれても神なのじゃから問題無かろう、続行!」


「人でなしなのじゃー!」


ユノガンド達は慌てて空中に浮かび逃げ出したが、ジェード達が逃げ遅れた。


「メルクルナさうぷ!?」


「す、酸っぱいわこれ!」


ジェード達はお酢の濁流に飲み込まれ、流されて行く。


「ジェード!?な、なんで飛ばないの……と、飛びにくい!あのデブ龍か!」


「くぅ!何らかの形で術を妨害しておるのか!」


そうユノガンドが言うと6対12枚の光翼を出す、エルナルナ達もそれぞれ羽を出す事で、安定して飛べるようになった。

だが、メルクルナだけは羽を出さずにフラフラ飛んでいた。


「メルクルナ!羽出して飛びなさいよ!」


「嫌よ!私の自慢の羽にお酢がかかったらどうするのよ!」


「あなたねぇ!ユノガンド様!?」


なんと、ユノガンドは1度出した光翼を仕舞ってしまった。


「お酢なんぞかけられたら、わらわの翼が!」


「わ、私達だって嫌なんですから、我慢してくださいよ!」


「!?き、来たわ!」


マリルルナが真っ先に気がつき指差した先には6頭の龍が飛んでいた、龍達は1m程のサイズになり向かって来ている。


「あれが小型化の術か、的が小さくなってて狙いにくいわ」


「あれで力は落ちてないのですから、反則ですよね!」


「なんにしろ、セレナさんとディアンさんに気をつけるのよ!」


「あれ?デブ龍の奴どこ行きやがった?」


メルクルナがドライトに居ないのに気がつき、そうつぶやくと後ろから声がした。


「さっきからデブ龍デブ龍と失礼な駄馬神ですね、あーん!」


[ガブゥ!]


「ぎえぇぇぇ!?」


何時間にかメルクルナの背後にドライトが忍び寄っていて、メルクルナの尻に噛みついた。


「メルクルナ!そのまま耐えておるのじゃ!厄介なドライトをここに置いて、わらわ達はまずはシリカ達を1人でも多く排除して優位に立つのじゃ!」


「「「「はい!」」」」


「ひ、酷いです!ユノガンド様のアホゥ~!」


迎撃に出たユノガンド達を見てセレナとディアンがニヤリと笑うと、体の輝きが一気に増した。


「な、なんじゃ!?」


「ふふ、ドライトやシリカ達が本気モードで強化出来るのに、何故私達が出来ないと思ったのですか?」


「何度か練習はしていたが、実戦で使うのは初めてだな……

ユノガンド様、いきますぞ!」


「ま、待て!ガンジス、あれはズルいのじゃ戦力が違い過ぎるのじゃ!」


ユノガンドは流石に負けないが、4神は無理だと逃げようとしている。

それを見たガンジスがセレナとディアンに言った。


「流石に差が出てしまうから、どちらか1人が残ってもう1人は出てくるべきじゃな」


すると、セレナとディアンは顔を見合わせてしまう。


「息子と娘が戦っているのです、ここは母の私が戦います」


「そ、それを言うなら父たる私が残って戦うべきだろ?」


「いいから結界の外にサッサと出なさい!」


「い、嫌だ!ユノガンド様と戦うなんてそうそう出来ないのだから、いくらセレナでも譲りたくないぞ!」


セレナとディアンは揉め始めてセレナがディアンを結界の外に押し出そうとしてグイグイ押して、ディアンは必死に耐えている。


「今じゃ!シリカ達を討伐するのじゃ!」


「っち!ユノガンド様に警戒しつつ、エルナルナ達の1人を集中攻撃よ!」


神々はユノガンドを中心にシリカ達に攻撃を仕掛ける、龍達はシリカが防御役になり攻撃を防いでる間に他の3人がエルナルナ達を分断しようと動くが、流石にユノガンドの攻撃はきつくシリカは押され始める。


「おら!食らえ!」


カーネリアはブレスを放ち、エルナルナ達を分断しようとしたがユノガンドが突然立ちはだかると、ブレスを弾き返した。


「あぶね!?」


カーネリアが慌てて回避すると、エルナルナ達は素早く移動してシリカを集中攻撃する。


「ちょ!?アタ!痛いじゃないの!」


「シリカ姉様!ハァ!」


「無駄じゃ!」


[バシン!]


サルファがシリカを援護する為に魔法で魔素砲を放ったが、ユノガンドに弾かれてしまう。

その間にエルナルナ達はさらにシリカ達を攻撃している、流石のシリカも耐えれなくなり結界が薄くなり、カーネリアとアンジュラも慌てて救援に行こうとするが、ユノガンドに妨害されて近づけない。


「きゃあぁぁ!や、やらちゃう、ドライトはどうしたのよ!」


「シリカ姉様!一か八かで皆で突っ込むわよ!」


「おう!」


「シリカ姉様……今行きます……!」


「ふん!無駄じゃ無駄じゃ!よしんばわらわを突破しても、4神はお主等と同等の力があるのじゃから、シリカを救えるものか!」


サルファ達は3人で突撃して、シリカと合流しようとするがユノガンドにスキが無く、中々突破できない。

その間にシリカはさらに攻撃を受けてしまっており、なんとか結界を維持して逃げている状況だった。


「ふははは!シリカを倒したら、一気に残りを片付けるのじゃ!

そうすればドライトなんぞ怖くないわい!どっからでもかかって来いというものじゃ!」




「それじゃあ、失礼して……下から上に行きまーす!」


突然ドライトが下から、物凄い勢いで上がって来た、20mのサイズで


[ドカドカドカドカ、ドガーン!]


「きゃー?」


「いったーい!」


「ど、どこから現れたのよ?」


「てっ、撤退を申請します!」


「ぬおぉぉ?結界が1発で砕かれたのじゃあぁぁ!」


ドライトは10センチほど姿になり、気配を消して真下に来てから一気に上昇しながら大きくなったようでユノガンドも全然気がついていなかった為に、エルナルナ達と一緒に体当たりを食らって盛大に吹っ飛ばされる。


「くぅ!足止めのメルクルナはどうしたのじゃ!やられたのかの?」


足止めのメルクルナが居ないのに気がついたユノガンドはそう言って、周りを見回すと……


「良いぞ、ドライトさん!あいつらをボコボコにするのよ!」


っとドライトの後ろで応援していた。


「メ、メルクルナ!裏切ったの!?」


「な、メルクルナがわらわを裏切る訳がないはすじゃ!嘘じゃよな、メルクルナ!」


「ユノガンド様を裏切る訳ないじゃないですか!

でも、昔散々私をバカにしたエルナルナ姉様達はここでボコボコにして恨みを晴らします!」


「メルクルナ!あなたねぇ!」


「それなら別に良いかの?続きを続けるのじゃ!」


「「「ユノガンド様!?」」」


「あのメルクルナ姉様、私はバカになんかした事ないですが……?」


「……ドライトさん!チエナルナ以外をボコボコにして、ちょ、そっちじゃないわよ、あっちよあっち!」


ドライトはメルクルナの言葉を無視して、ユノガンドに突撃して行く、小さくなりながら突っ込んでくるドライトに嫌な気配を感じたユノガンドは必死に回避する。


「にゃにゃ?これでも食らうにゃ!」


[バチーン!]


「うぎょおぉぉ!?めっちゃくちゃ痛いのじゃ!」


だが、逃げた先にドライトが尻尾を振るい直撃を受ける。


「こ、このデブ龍、ユノガンド様になんて事を!」


「メルクルナ!2人でこやつを抑えるぞ、ドライトよ勝負なのじゃ!」


「猫拳法の前にまた敗れるがいいにゃ!にゃにゃ!」


「よし!ドライトが来たわ!ユノガンド様達はドライトに任せて私達はエルナルナ達を倒すわよ!」


「はい!」


「っち!迎撃よ!シリカさんはダメージが残っているはずよ!そこを狙っていくわよ!」


「了解よ!」


ユノガンドとメルクルナはドライトの猫拳法に翻弄されながらも、なんとか戦っているがエルナルナ達は単純な戦闘力だとシリカ達に及ばないために、連携を取りつつなんとかシリカを狙って撃退しようとしている。


「うぬぬぬぬ!出力だけならわらわの方が高いが、あの隠蔽に短距離転移、それに猫拳法がやっかいじゃ!」


「そりゃあ!ま、また消え、ギャアァァァ!あぶねえー!」


ドライトは短距離転移でユノガンド達の背後に移動したりしてるのだが、転移する瞬間に力を隠蔽したりして気配を掴ませないで、ユノガンドとメルクルナを圧倒している。


「うーむ、拮抗しているのぅ」


「セレナとディアンのどちらかが参加すれば、ドライト達の勝ちなんだけど」


「うむ、まだ揉めているのぅ!」


「しかし流石はドライトだわ!バカだけど力だけは強いあのユノガンドを翻弄しているわ!」


ガンジス達は審判をしながらドライトを撮影しまくっていた、するとドライトが引いてシリカ達と合流する、ユノガンド達も集合する。


「ドライト!こっちが押してたのに何で引いたのよ!」


「ふむ、流石に疲れのかの?何にしろ仕切り直しじゃ、いく「勝利ですよ!私達の勝ちです!」な、なんじゃと!?」


「ちょっとドライトさん、まだ勝負はついてないわよ!」


「何言ってるんですか、あれを見なさい」


そう言って、ドライトが丘の上にあるゴールを指差すと……


モンちゃんに乗ったステラとルチルが旗を振っていた。


「……おろ?」


「……へ?」


「この勝負は丘のゴールに旗をさした方が勝ちですからね!

ステラとルチルがMVPですよ!めでたいです!」


「「「そ、そんなー!」」」




結局、ドライトがステラとルチルにモンちゃんに乗ってこっそりと丘の上を目指す様に指示していたのだった。

ステラとルチルが飛んで向かえばその気配を感じて妨害されるが、モンちゃんに乗って移動したために気づかれる事なく、丘のゴールに旗をさしてドライトチームの勝利に貢献したのだった。




「納得がいかんのじゃ!審判、こんなんありなのかの!」


「気づかなかった、あんたが悪いわ」


「そうじゃのぅ」


「なんにしろこれで丘の権利はドライトのものじゃな」


「さぁ、私達は今の勇敢なドライトの映像を見ましょう!」


「やっぱり納得できんのじゃあぁぁぁ!」


「と言うか、ユノガンド様は何考えているんですか?」


「な、何がじゃ?」


「この丘を神域化してユノガンド様の神界にして、ずっと住むつもりですか?

キャロ達が卒業して国に戻るなりしたら、私達も旅立つんですよ?」


「あ!」


こうして、丘の争奪戦は終わり。

ドライトが神々と龍達の部屋をあっと言う間に作り終えると、トニーと紹介されて来た大工達を残して宿に戻ったのだった。




「「「「わ、私達の苦労は一体……」」」」


ドライトに出会い、いきなり不幸な目にあった4神を残して……

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