学園都市編 学園都市到着
アレクスを出港したドライト丸は、キャロ達に何故かマクルイエ都市長の家族、各国の大使達を乗せて、学園都市が目視できる所まで来ていた。
【途中、どこも寄れませんでしたね……】
な、何故だ!しかもこの10日間、キャロの頭に乗れなかったし!
【お世話にすると言う名目で、抱っこされ続けましたしね】
クッソー!その点シリカ姉達は良いよな!それぞれの祝福者とよろしくできたのだから!
【ですよねー……あれ?】
ん?リュージュさんどした?
【なんか、転移者の反応が有った様な?】
へ?……おおお?本当だ!学園都市に反応が有ったな!
【現在は反応が無くなってますね……早速捜索に入ります!】
いや、待て……これ自分で痕跡とか消してるな。
【……そうですね、自分で消してますし後を残さない様にしてますね?】
見つかりたくないみたいだな、結構隠蔽も上手いし、普通の探索方法だと見つけにくいなこれ、ちょっと他の手を考えるか……
【では、私は独自の探索に入ります】
BLは探すなよ!?
【探索開始!】
待てやこら!
「うーん?」
「ドライト、どうしたのですか?考え込んでいるようですが?」
『母様、ちょっとおもしろい反応が有ったんですよ』
『聞かれてはまずいのかしら?』
『そうですね……私達龍と祖父ちゃん祖母ちゃん達にメルクルナさんとユノガンド様以外には聞かれたくないですね』
『ドライトにしては珍しいな……キャロリン達、祝福者にも秘密か?』
『父様、どうも学園都市に転生者か転移者が居るみたいなんですよ……しかもこちらの探知を警戒して、隠蔽などを使って逃げられました』
『『にーちゃ、にーちゃ!私達も視たい!』』
『こら、ステラ、ルチル、どうも真面目な話みたいだから、大人しくしてなさい!』
『『あーい……』』
『でもドライトさん、そんなのが居るなんて私は聞いてないわよ?』
『うむ、どんな者かや、何処に転移、転生させたかは神が関わってれば報告がいくはずじゃぞ?』
『……私の様な偶然の転移や転生なら良いんですが、今回は邪神や魔神が関わっているようですね』
『なん(ですって、だと、じゃと)!?』
『アレクスで邪神や魔神の気配も感知していたのですが、アサゲ……アサグか、あいつ等だけかと思いましたが、報告の無い転移者か転生者いるならあいつ等以外の者が関わっている可能性が高いですね』
『アサグのみならず他の奴らまで……絶対に許さん!ボコボコにしてやるわよ!』
『その意気じゃ、メルクルナよ!わらわも手を貸すぞ!』
『皆さん、学園都市に着き次第、探索を開始しますので、見つかるまでは隠蔽などで力を隠しててください』
こうして、俺達は力を隠蔽しつつ学園都市に到着したのだった!
そして、俺達は早速、探索を開始……しなかった!
なら、何してるのか?賢者の学園の入学試験を受けている?学園都市や近隣国家の歓迎会?
どれも違います、何しているのかと言うと……家を探しているのだ!
なんでかと言うと、魔導飛行船ドライト丸は確かに快適だ、だが結局は魔導飛行船なので部屋が狭かったり、設備が整ってなかったりする。
そこでジェード王国に、そして我等龍と神々に相応しい家を探しているのだ!
「うん、見つかりませんでしたよ!」
「まぁ、普通に考えたらそうですよね……」
「なんじゃメルクルナとドライトはもう諦めたのか?根性が無いのぅ!」
「いえ、ユノガンド様、実はあんまり期待してなかったのですよ」
「む?どう言う事じゃ?」
「ユノガンド様、ドライト丸から、上から見たじゃないですか、この都市を」
「うむ……それがどうしたのじゃ?」
「実はですね」
そして、ドライトが説明を始める。
学園都市には名前が無い、下手な名前を付けると変な影響が出ると、この都市を造った大賢者が考えて、あえて名前を付けなかったからだと言われる。
そして、この都市は3層の城壁に囲まれており、中心の城壁の中に賢者の学園や様々な学園に役所等があり、2層目の内部には私塾や商家に各国の王族や大貴族などの権力者の豪邸や大使館、それを囲むように小さな家々とマンションや高級アパートが建ち並んでいた。
外周の城壁の内側には、宿や商店に安いアパートが立ち並んでおり、物資の保管所や練兵所などが有るのだ、その結果……
「私達に相応しい家が空いてませんし、土地の空きや売り出されている家もありません!」
「ん?ジェード王国の様な大国なら、中心街に豪華な家を持っとるんじゃないのかの?」
「ユノガンド様、それなんですが……」
今度はアンディ王太子が説明を始める。
ジェード王国にはジェード王立学園があり、その質の高さは賢者の学園に届くとまで言われている。
なので、ジェード王国の貴族や大商人などはジェード王立学園に子供達を通わせるのだ、その理由が距離にある。
賢者の学園には劣るとしても、届くとまで言われる学園が自国に有るのに、祖国から遠く離れた場所に危険な旅をさせて通わせるよりも、楽だしお金もかからないからなのだ。
その結果、学園都市に豪華な別邸を持つ必要性が薄くなり、王族や大貴族の子弟などの一部が留学してくる時は、高級アパートを丸々か、高級マンションの1フロアを貸切っていたのだ。
だが、
「今回はこの人数ですからね……ドライト一家だけとかなら場所はあるんですが、別々に住んだら何のために私がキャロについて来たのか、分からなくなってしまいますからね……」
「なるほどのぅ……」
「でも、それならどうするの?野宿は嫌よ、私は!」
「そうじゃな!キャンプと言うなら良いが、野宿はのぅ?」
「いや、だったら神界に帰れば良いじゃないの」
「「それはもっと嫌 (なのじゃ)!」」
「あんた等……」
「でもドライトさん、ならどうするのかしら?ドライト丸にずっと泊まるのですか?流石にそれも嫌ですわよ?」
「どっか適当に……吹き飛ばして家を造ろう……」
「そんな事をしたら、家を造るどころか住んでられなくなりますよ……ケリドアさん、本当にもう物件は無いのですか?」
そう言ってドライトが声をかけたのは、 ケリドア・ト・オリペン この学園都市の都市長だった。
ジェード王国一行が到着したと聞き歓迎の挨拶に出向いたのだが、物件を探していると聞いてわざわざ案内を買って出てくれたのだ。
「はぁ……実は私達もジェード王国から高貴な方々がこれほど来るとは思っていなかったのと、何故かこの数年は王族や貴族などの方々が多いいのでして」
「抑えてなかったのと、売り家が無いと言う事ですか……」
「はい……ところであなた様は?」
「これは失礼しました、私は人語が解る子竜のドライトです、キャロのペットですよ!」
なんと他の皆は人化したり、髪の色や目の色を変えて普通の人に偽装しているが、ドライトだけは相変わらず子竜に偽装しているだけだった。
「は、はぁ……」
「ケリドアさんも聞いているでしょうが、私はキャロのペットであると共に守護竜です。
キャロの住む家には私が結界を張ったりするので、代表して私が見させてもらってるのですよ!」
「おお!あなた様が龍様の代わりに護衛として仕えていると言う……!」
「よろしくお願いしますね、何にしろこれは困りましたよ?
アンディ王太子さんを始めとする高貴な方々が多く住むのです、手狭だとパーティーなどを開催するのにも支障が出てしまいますよ!」
「うーん、しかしだからと言って、すでに住んでる方々に出ていけとは言えませんし……」
「そうですね……あ!ケリドアさん、壁の外はどうなっているのですか?」
「外でございますか?」
「はい、壁の外のあちらに小さな丘が有るじゃないですか?あそこに家を造ってもかまいませんかね?」
「外の農地以外は誰の所有物でもありませんが……外でよろしいのですか?」
「ええ、もしよければあそこに家を造って、丘の周りに城壁……と言うか壁ですかね?
ある程度のモンスターを入らせない様に壁を造って、囲んでしまおうかと……門からも離れてませんし、学園には馬車か魔導飛行艇で通えば問題ないかと」
「なるほど、外壁でチェックだけさせてもらえれば、そのまま馬車なり魔導飛行艇なりで中心街の学園部分に来てもらって構いませんから、登校時間も問題ないでしょう」
「ドライト丸も当分は停泊しますし、その間にチャチャっと造っちゃいますよ!
何か書類等必要だったら、言ってくださいね?」
「はい、一応住む方々の名前と身分に家の間取り等をチェックさせてください。
それ以外には道ですかね?門に続く道をちゃんと舗装しておいてほしいですね」
「アンディ王太子様、キャロ様にバカ共もそれで良いですか?」
「うむ、それで良いだろう」
「お願いしますね?」
「うむ……バカ共って俺達の事ですか!?」
「あんただけ……共って複数形じゃない!?」
「失礼しました、つい本音が……なんにしろ今日はこの位で良いですかね?
それでどうしますか?ドライト丸に戻るか、都市内に宿をとりますか?」
「ケリドア殿、どこか良い宿が無いですかな?できれば丸々借り切ってしまいたいのですが」
「なら、中心部の宿が良いですな、まだ入学などには早い時期なので空いている宿もあるはずです」
そう言うとケリドアは先導して歩き始め、30分もしないうちに豪華な造りの宿の前に来た。
「ここが真理の探究亭です、この学園都市でも1、2を争う宿ですよ!」
「おお!良さげな宿ですね!空いていれば良いのですが……」
そう言うと、ケリドアが中に入って行き人の好さそうな老夫婦を連れて来た。
「これはこれは、ジェード王国の御一行様だと……私は宿の主でハント・エニドスともうします。
こちらは連れ合いで、宿の切り盛りをしてくれている妻のシニルです、それで宿泊についてなのですが、入学間近は予約でいっぱいですが、今は空きがあるので1棟を丸々お貸しする事も可能ですよ!」
「借ります、2棟は流石に無理ですか?大丈夫ですと!?なら、2棟丸々お願いしますよ!」
ドライトはそう言うと、懐から金塊を取り出してハントに渡した。
「こ、これは……少しお待ちください!お釣りを用意しますので!」
「お釣りは要りませんよ!主夫婦の雰囲気も良いですし、ケリドアさん!本当に良い宿を紹介してくれました、ありがとうございます!」
「こ、この様な大金をいただくわけには……!」
ドライトが金塊を渡して釣りは要らないと言ったので、エニドス夫妻もケリドアも驚いているが、ドライトはそれを気にせずに宿に入って行ってしまう。
アンディ王太子達皆も慌てて、それに続くのだった。
「やはり、当たりの宿です!
隅々まで掃除がいきとどいてますし、夕飯の準備ですかね?良い匂いが漂ってますよ!」
「褒めていただいてありがとうございます、それで何日ほどお泊まりになりますか?」
「うーん、アンディ王太子様、どういたしますか?」
「亭主、何日ほど泊まれるのだろうか?」
「試験の日程と予約を考えますと……2週間ほどかと」
「それでは2週間停まらせていただきたい」
「かしこまりました、お部屋にご案内します」
「それでは、皆様、私は庁舎に帰らせていただきます」
ケリドアはそう言って、明日また朝に来ると言うと護衛と共に庁舎に去って行った。
宿も決まり落ち着いたドライト達は、少し遅めの昼食にする事にして食堂に集まった。
料理も大体出てきて、さぁ食べようかと皆が席に着いた時にドライがエニドス夫妻に視線を向けて見つめると、それに気がついたハントが妻のシニルや給仕係に目配せをして「失礼します」と出ていった。
「流石は一流の宿ですね……
それでは食事をしながら、今後の事を決めたいと思います。
キャロ!膝に乗せて食べさせてください!」
そうドライトは言ってキャロリンの膝の上に乗っかる、それを見ていたシリカ達も人化を解いてそれぞれの祝福者の膝に座ってしまった。
セレナは苦笑して何も言わないので、キャロリン達は嬉しそうにドライト達の口元に食べ物を持っていく。
「モグモグ、ゴックン……それでですね、ケリドアさんから許可も降りましたし、丘に家を建てたいのですが皆さんから希望はありますか?」
そう言われて、皆が顔を見合わすと、アンディ王太子が聞いてきた。
「ドライト様、家の希望と言われますと?」
「前提として2つの事は決まっています、まずジェード王国の大使館としての機能と王族や高位貴族が留学する際の逗留先としての機能がある施設は必須です。
次にその他の留学生達のための施設が必要ですね、留学生のための宿泊施設に勉強の為の図書室や自習室、心身を鍛えるための運動場などです」
ドライトがそう説明すると周りは驚いた、まさかそこまで大がかりな建物を造るとは思わなかったのだ。
「まず先に大使館兼王族用の施設から着工しますが、その造りをどうすか聞きたいのですよ。
キャロ!次はその鹿のローストが食べたいです!」
「は、はい!ドライト様!
あの、それで造りと言うと何があるのですか?」
「モグモグ……おお!鹿の臭みをこのソースは見事に消していますが、旨味は引き立てています!美味しいですよ!
ええっとですね?1人部屋にするか、2人部屋にするかとかです。
ただ2人部屋にすると、1人余っちゃうんですよ……」
そう言われてキャロリン達はお互いに顔を見合わせる。
キャロリンとレイナとリティアは王族だ、アレナムも巨大な都市であるアレクスの都市長の娘である、友達同士で寝た経験などほとんど無いか皆無である。
だからこそ憧れている友達同士でのお泊まりや、同室になると言うこと……だが2人部屋にすると、1人余る。
当たり前だがセイネもそれは嫌だった、だからこそどうすれば良いか考えあぐねてしまいみんな固まってしまっている。
「普段は1人部屋で、皆でお泊まり用の大きな部屋を造っておけば良いじゃないの」
シリカの言葉にキャロリンが反応して言う。
「そ、そうですよ!
その方が皆で一緒に寝る時の楽しみも倍増です!」
そう言ってキャロリンはドライトに「シリカ様の言う通りにお願いします!」っと言うが、ドライトは「シリカ姉のお陰で勘違いに気がつきました!」っと言って話し出す。
「よくよく考えたら、キャロ達は王族や都市長の娘です、なら狭い部屋ではなく、5人も10人もいっぺんに泊まれる大きな部屋じゃないと権威に傷がつきますよ!
大きな部屋を造ってその日の気分で友達同士で泊まれば良いのですよ、これで解決です!」
ドライトはそう言って、アンディ王太子に内装や外観をどうするか決めておいてください。
っとそう言ってキャロリンにあれを食べさせて、これを食べさせてっと食事に集中し始めた。
ある程度食べ終わったところで、キャロリンの姉であるアリーアが聞いてきた。
「あの、ドライト様、大使館などを建築するのは分かったのですが、何故に宿の者を下がらせたのですか?
自分で料理を取るのは新鮮で面白いですが、テーブルマナー的にはあまりよろしくないかと……」
「……なんででしたっけ?
あ!思い出しました!アンディ王太子さん、こっちに来て話を聞くです!マンフレッドさんも!」
ドライトに呼ばれてアンディ王太子と、その後ろに控えてたマンフレッド魔導師長は、何事かと急いでドライトの元にやって来た。
「今回、学園都市に大使館を造ったりするのは、ジェード王国からの人材流失を止めるためでもあるのです!」
そうドライトが言うと、アンディ王太子とマンフレッド魔導師長は驚愕した、ドライトに迷惑かける訳にはいかないと黙っていたからだ。
「マンフレッドさんに留学生のリストを見せてもらって、帰って来てない留学生があまりに多くて不自然に思って調べました。
流石に見過ごせないレベルで増えていますから、大使には優秀な者を任命して……防ぐの……ですよ?」
ドライトが何故宿の者を下がらせたのか、それは学園都市に来たジェード王国の留学生が引き抜かれているのを防止する方策を説明する為だった、そしてその話をし始めて全員を見た所で気がついた。
アレクスのマクルイエ都市長と、その家族に各国の大使や将軍達が居る事に……
「な、なんであなた方が!スパイですか?スパイですね!
スパイは全て逮捕して拷問です!」
そう言って、キャロリンの膝から飛び上がろうとするが、キャロリンに抱き抱えられてしまう。
「ドライト様……ドライト様がアレナムやリティアの入学式を見たいなら、ドライト丸で送ると言って連れて来たのではないですか……」
「あ……ついでに大使や将軍達も本国に急いで戻りたいと言っていたので、連れて来たんでした……仕方がないですね、ちょっと脳外科手術を受けてもらって忘れてもらいますか!」
俺がそう言うと、全員が?っと言う顔をした。
そしてキャロリンが代表して聞いてくる。
「あ、あの、脳外科手術とは何なのですか?」
「ああ、ちょっと頭をカチ割って、脳みそをいじるだけの簡単な医療行為ですよ」
「何が簡単だよ!アホか!
大体ドラ公、お前が連れて来たのになんでマクルイエ都市長達が責任取らなきゃなんだよ!」
「そうね、だいたい今後はアンディ王太子さんが指揮を執って大使館員を決めたりするのでしょう?
なら、もう問題無くなるんじゃない?」
「ドライト?あんまり変な行動ばかりすると、またキャロちゃんに頭に乗るの禁止されるわよ?」
「ドラちゃん……ドラちゃんの頭の中見せて……?」
「ア、アンジェ姉さんに見せると変な発信機着けられそうなので嫌ですよ!
それにキャロがまたそんな事言うわ「2、3日禁止に」軽い冗談です!釘を刺すためにわざと皆が居る所で言ったのですよ!」
「……」
キャロリンが黙ったのをドライトは見て、額の汗をぬぐっているとマクルイエ都市長達が言ってきた。
「ドライト様、人材流失と言われましても、我等の人材もかなりジェード王国に流れているんですが……」
「それはそれ!これはこれです!」
「ドライト様、やっぱり2、3日「あまり私が手を出すべきではないですね!あとはアンディ王太子さんに任せますよ!」……」
ドライトはそう言うと、亜空間からアイスやらなんやら出してキャロリンのご機嫌取りを始めている、それを見た女性陣に強請られて次々と出していると、ドライトが思い出した様にアンディ王太子に言ってきた。
「忘れてました、ケリドアさんに頼んで大工さんを紹介してもらわないとでしたよ」
「ドライト様、ドライト様がお建てになるのではないのですか?」
「私が建てても良いんですが……神域化しちゃう可能性も有りますので、ここは普通の大工さんに造ってもらう方が良いのですよ」
「ちょ、ちょっと待ってよ!私はともかく、ユノガンド様や龍神様方に変な所には住ませられないわよ!」
「私達用や王族用はトニーさんに建ててもらいますよ、室内は私が監督します、てやんでいですよ!」
「ドライト……微妙にちゃんとした話し方だと判断に困るわ」
セレナが叱っても良いのか悩んでいると、ケリドアがやって来た。
明日の予定などを聞くのを忘れてしまったとの事で、明日はジェード王国の大使館を造る予定の丘を見に行くと言い。
ついでに大工の紹介なども頼み、今日は宿でゆっくりしようとセレナが言うと、ドライトが今から観光に行くと言い始めた。
「ドライト?もうすぐ日が暮れてきますよ?
夜に外に出ようとするなんて悪い子です、お仕置きしますよ?」
「母様!違うんですよ!ここ、学園都市の観光の目玉の1つが賢者の学園の夜景なんです。
キャロ達の能力なら合格間違いなしなので、これから通う学園を見ておこうと思いまして!」
「あら、そうなの?でも夜景と言ってもそんなに凄いのかしら?」
「私もあえてまだ見てないんですが、色々な資料やアンディ王太子さん達が是非見るべだと言うので、間違いなく綺麗なはずです!
ついでに屋台で夕飯を済ませましょう!」
そう言ってドライト達は暗くなるのを待ってから、賢者の学園に向かって出発したのだった。
ディアンとセレナがステラとルチルを抱っこして先頭を歩き、ステラとルチルが屋台を見ては「「あれなに?」」っと面白そうな、良い匂いのする屋台で立ち止まって遊具で遊んだり食事をしたりしながら歩いて行く。
「結構色々な屋台が有るのね、こんな都市だとは思わなかったわ」
「ああ、俺達も学園都市と聞いて勉強や研究するだけ都市と思っていて来た事が無かったからな」
「父様、学園都市の名前通りこの都市は学生が多い都市なんですよ、ですから若い人むけの遊具やアパート住まいの学生向けに、屋台や食堂等も豊富にあるのですよ!」
「なるほど、名前だけで決めつけて損していたな!」
「そうね……ステラとルチルも楽しんでいますし、来て良かったわね」
「「にーちゃ、たのしい~!」」
「良かったですよ……あ!あれです!あれが賢者の学園ですよ!」
ドライトがそう言って、指差したのは学園と言うより城だった。
白亜の城が建っており、城の周りには幾つもの塔が立ち並び、地上からの光が城と塔を闇の中から浮かび上がらせている。
城の外壁は大理石で出来ているようで、地上からの光を周囲に反射し、それが塔や城壁を照らしてさらに幻想的な風景をかもし出していた。
「す、凄く綺麗です……!」
「受かったら、あそこに通えるのか……」
「セイネ、絶対に皆で受かるわよ!」
「これが、世界最高峰の学園ですか……入学試験が楽しみです!」
「私達なら問題ないでしょうが、油断は禁物ですわ!」
そう言って学園を見つめる5人にドライトが言う。
「安心してください、もし誰か落とされたら私がブレスで吹き飛ばし、龍の学園を造って皆を通わせてあげますから!」
「「「「「お止めください!」」」」」
キャロリン達は雰囲気だいなしのドライトの発言に怒り、詰め寄っている。
「冗談ですよ、もし落ちても途中編入などもできますので、頑張れば良いのですよ!」
「もう、ドライト様!」
「何にしろキャロ達で見てくると良いですよ!
あ、目にの届く範囲……あそこのベンチに居てくださいね?」
ドライトがそう言うと、キャロリン達は皆で走って行く。
アンディ王太子達は苦笑しながら後を追いかけるのだった。
【ドライト様、直接の探査はしていませんが確実に学園都市に、いえ、賢者の学園内部に転移者が居ます】
『やっぱりそうか……』
【しかも、複数居るようですね】
『ああ、気配の残痕の質が違うな……4人、いや、5人か?1人やたらと気配が薄いが……他にも気配だけは感じる気がする……なんだこれ?』
【これ以上の探索は難しいですね、こちらの存在もバレますよ?】
『キャロ達にくっ付いて中に入れればもっと分かるだろうから……焦る事はないか』
【とりあえず、気づかれない様に警戒システムだけ構築しておきます】
『ああ、気配の探知と邪神の奴等の警戒が出来る様にしとけば良いから頼むわ!』
【かしこまりました】
『ドライト?龍珠と話していたの?』
『はい、母様』
『例の転移者か転生者か……気配だけだと、転移者のようだが』
『『にーちゃ、どうするの?』』
『あの光を見て分かる様に、中々の使い手のようですので、今は大人しくしていますよ』
『ふん!光の投影で陣を構築しているようじゃが、あの程度に気がつかんと思われておるとは我等も舐められたものじゃ!』
『でもユノガンド様、人の身でやってるのに中々の物ですよ?
まぁ、所詮は人での反中ですけどね!』
『ふむ、まぁドライト達だけでも問題なかろう』
『私達やユノガンドの出番は無いでしょうね』
『邪神や魔神の気配も有る様だが?』
『ふふ、アレクスでドライトが全部獲っちゃったから、シリカ達もウズウズしているわ、今回は譲りましょう?』
『ありがとうございます、ドライト1匹も逃がさないんでしょ?』
『シリカ姉様、まだ見つけた訳でもないのに気が早すぎますわ』
『へへ、何にしろ久しぶりに楽しめそうだぜ!』
『全てを破壊して……逆らう者は、皆殺し……!』
『『『フフフ……』』』
龍達と神々は不敵に笑いながら目を光らせ、光に浮かぶ白亜の城を見つめるのだった……!
……………………………
『ちょ、ちょっと待ってください!なんで私達が悪者みたいになってるんですか!?』
『完全に悪者のセリフになってたわね?』
『よく考えたら転移者を見つけてお話しするのが、メインの目的だったはずですわ?』
『どっかで間違えたか?』
『ドラちゃん……もう1度最初から……やる?』
『も、もう良いですよ!キャロ達も呼んでますから行きましょう!』
こうしてドライト一行達は、学園都市の初日をすごしたのだった!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます