幼龍編 王都

おいっす!ドライトさんだよ!


メルクルナ達に力を授けて、実験にも成功して(すぐに解除しちゃったけど)ホクホクしながらキャンプに戻り、お昼の準備を始めているとメルクルナがジェード達を引き連れてキャンプまで来た。


そして今後の事を言ってきた。

とりあえずストーンサークルの中に亜空間を創って神殿を建設して住む事にしたんだそうだ、でも世界樹に近いんで祖父ちゃん祖母ちゃん達に挨拶しにきたんだって!




「モグモグ、それでですねとりあえずの宿としてストーンサークルにモグモグ、亜空間を創って住むんですけどあくまで仮住まいですのでゴクン、すぐに出ていきますから!」


「きようでしゅね、たべながりゃしゃべってましゅよ!」


「き、汚ねーだろ!」


「メルクルナさんお行儀が悪いですわよ?」


「ドラちゃんの教育に悪い、、、」


「下級神だからお行儀が悪いのかしら?」


「シ、シリカさん私はもう下級神ではありません!上級神です!」


「なら上級神らしくお行儀良くしなければいけませんね、そう思いますせんか?セレナ様レムリア様」


「そうねぇ、、、」


「アンジュラの言う通りドライトの教育に悪いですし、メルクルナさんに今日は行儀作法を教えてあげましょう!」


「あらセレナ良い考えね!」


「、、、へ?」


「シリカ、サルファあなた達も手伝いなさい」


「「はい、セレナ様!」」


「、、、」


ダッ!ガシ!


「何処に行こうと言うのですか?」


メルクルナは逃げ出そうとしたが何時の間にかすぐ側に居たレムリア祖母ちゃん捕まっていた。


「い、いや仕事を思い出してですね!すぐに帰らないと!」


「ストーンサークルの中に神殿を造るのでしょう?それまで時間はありまね?」


「い、いや、ちょ!引っ張らないでください~!」


こうしてメルクルナは祖母ちゃんに連れていかれたのだが、、、


「本当にアホだよなメルクルナってw」


「駄神、、、」


っと笑っていたリア姉とアンジェ姉さんも


「さぁ私達も行ましょう!」


「「はいセレナ様!」」


ガシ!ガシ!


「「え?」」


「ちょうど良いからリア」


「そうね?アンジェ」


「「あなた達も一緒にお勉強よ!」」


「「、、、い、いやぁぁぁ!」」


「あなた達は喋り方のマナーがなっていません」


「今日はそれを徹底的に直します」


「ま、待ってくれ、ならドラ公だって!、、、居ねぇ!?」


「ドライトだったら蝶々を追って飛んで行ったぞ?」


「、、、ドラちゃん、、、逃げた」


「ち、ちくしょぉぉぉ!」


「「さぁ!行きますよ!」」




『いやー逃げ切れたぜ!』


【危ないところでしたね?】


『リア姉の事だから俺を巻き込むの目に見えていたからな』


【そうですね、しかし暇になってしまいましたね】


『ああ、素材は大体集めたしジェード達もメルクルナについて行っちゃったしな』


【暇ですね、私は異界にアクセスしてマンガの続き見てますね】


『、、、なんか探すかぁ』


暇つぶしで俺はあっちこっち飛び回る、そしてストーンサークルの近くに何時の間にか来ていた、昨日の駄神実験そして一昨日のキャロの祝福を思い出す。


濃い2日間だったなぁ、、、

キャロに出会い、報酬を貰い加護を与えた事、ちょっと別の物が付いたがグレードはそっちの方が高かったので問題ないだろう。

そして、駄神に報酬のベーコンを横取りされた事、これもあとで駄神が良い実験材料になったのでプラマイだと+だろう、だがやはりベーコンは惜しかったな良い物だったのでチーズと一緒に焼いてパンにはさんで食べればさぞ美味しかっただろう。




、、、ん?チーズ?あれ?ちょっと待てよ!?キャロに祝福与える前の事思い出せ!キャロが何くれるって言ってた!?


[も、もし何かしら代償が欲しいと言うのなら、え、えっと、、、私の初めてを差し上げます!]


『ありがとうございます!、、、ち、違う!その後だ、その後!』


[そ、それなら、、、チーズ!チーズも有るのでそれも差し上げます!他にもパンとか色々と王宮のキッチンから持ってきましたので、よろしかったら 何か作ります!]


『、、、チ、チーズとか色々もらい忘れた!』


そうあの後にキャロを王都につながる転移陣の側まで送っていくと、転移陣のある砦は蜂の巣を突いたような騒ぎになっており、キャロの兄達と姉も捜索のため来ていたようだった。

慌てて砦に向かう彼女が無事に捜索隊に保護されるのを見守ってから、ベーコンを抱きしめて俺はキャンプ地に帰ったのだがチーズや他の食材の事をすっかり忘れてしまっていたのだ。




こうして、俺は王都が見渡せる丘にまで来ていた。


【ちょ!ドライト様!人が少し目を離した隙に何してるんですか!?】


『良いやんか!ちょっと俺が王都に来たって良いやんか!』


【ア、アホですか!?幼龍とは言え龍が現れれば大騒ぎになるんですよ!?】


『大丈夫だ、問題ない』


【人化できるんですか?それならなんとかなりますかね、、、】


『いや、偽装で誤魔化す!』


【無理ですよ!何かあったらセレナ様に怒られますって!】


『リュージュさんよ、、、』


【な、なんですか?】


『王都にまだ見ぬ物が有るかも知れませんぞ?』


【なにをチンタラしてるんですか!?全力で飛べば夕方には帰えれます!急ぎましょう!】


『フハハハハ!突撃じゃー!』


【邪魔者は皆殺しですよ!】




王都に有る4つの正門は常に行列ができている場所だ、正門は王と王家の方々が通る時や軍が出陣する以外は閉まっているが側門が両隣に有り外から向かって左が王都に入る者が、右が出る者達が順番待ちで列をつくっている。


大国の王都だけあって警備やチェックも厳しい、衛兵が多数配置されており、騎兵もかなりの数が列の周りを見廻っている。


ギルドカードや王国国民証が有れば見せるだけで通れるような、甘いチェックではない。

ここではたとえ上級貴族であろうがメルクルナ教の司祭や龍神教の巫女であっても、馬車から降り鑑定の魔道具で調べられる。


そしてそんな門の外では揉め事もおきる。

血の気の多い冒険者や傭兵達がケンカを始めたり、商人が無許可で商売を始めてしまうのだ。


そして、今日も何かが起きた。


列の最後尾の方から騒ぎ声が聞こえ見廻りの衛兵や騎兵が向かって行く、彼等はまたケンカかと思いゆっくりと向かって行くが先頭の衛兵が違和感を覚えた。

何時ものどこか楽しむ様な声ではない、、、


悲鳴だ!


彼は一瞬の判断の後に胸元の笛を手に取ると一気に鳴らす。


「ピイイィィィ!」


その瞬間、今までゆっくりと向かっていた兵達は1度立ち止まり、周りの兵士同士が顔を見合わせそして、今までと違う緊張感に満ちた顔で隊列を組み、列の最後尾を包囲するように歩き進み始めた。


そして彼等が見たのは1頭のベビードラゴンだった。




『な、なんだこれ、、、!?』


【凄い人の列ですね、、、】


『こ、こんなんまともに待ってたら入れる頃には夕方になっちゃうぞ!?』


【どうなさいますか?出直しますか?】


『せっかくここまで来たのに手ぶらで帰ってたまるか!』


【しかし、ここで人々と普通に並んで待ってたら帰りは夜になりますよ?】


『うーん、、、ん?人々と普通に、、、?』


【どうかなさいましたか?】


『今の俺は偽装してドラゴンだよな?』


【はぁ、、、そうですが?】


『なら野性動物と言うことだ、野性動物が列待ちするか?』


【、、、しませんね、あれ兵士が集まってきましたよ?】


『なんかあったのかな?まぁ良いや、失礼しま~す!』


俺はそう言うと一気に加速し門に向かったのだった。




ベビードラゴンが一瞬で消えた。

兵士達が隙を見せた訳ではない、ベビードラゴンが羽を広げ羽ばたいたと思った瞬間に目の前から消えたのだ。


「あっちだ!」


ベビードラゴンが移動したのに気がついた兵士の1人が叫ぶ、兵士達はその兵士が指差す方を見るとすでに門のそばにベビードラゴンが居た、そして衛兵達も騎兵達もボーゼンとして門に入り込むベビードラゴンの背中を見送るのだった。




こうして俺は王都に入り込んだ。


そして、俺は中央の方にそびえ立つ城と宮殿を見つけそちらに向かっていた。


『はーい、ちょっと通りますよ~』


【野性動物ですから仕方ありませんね!】


『そうそう!俺ってば野性にみちちゃってるからね!』


【ぜい肉にもみちてますからね!】


『黙れ腐珠!』


【ふ?腐珠!?】


『良いネーミングセンスだろ?』


【このブタ龍、誰か討伐してください!】


『言ったな!とうとう言ってはいけない事を言ったな!?』


【人を腐珠だなんて、、、?センサーに反応有り!大広場でなんかのバザーだか特売会してます、出店も多数ですよ!】


『フハハハハ!慣性ドリフト発動!空飛んでるからドリフトの意味は無いけどな!』


宮殿に向かっていた俺は急きょ方向転換をし、まったくの別方向に向かうのだった。




ここは王都最大の広場、中心には噴水とジェードとレムリアが最初に出会ったシーンが美化された石像が置かれている。


しかし商人達には、その出会いより出会いの日が重要だった、王国では昔からその出会いの日は神聖な日とされていて王国全土でお祭りが行われるのだ、そして祭りとなれば商人の出番である。


商人達は思い思いの商品を持ち集まり、商売に精を出した。

今日のこの日に為に用意した、外の大陸の装飾品を、、、

秘蔵の魔法、魔道書を、、、

冒険者や傭兵達には最高の装備を、、、

そしてさまざなま料理が売られている。


もちろん、偽物や二束三文の商品を売り付ける愚か者もいた。

だがこの大陸の、そしてこの王国の民達にとって英雄にして建国王ジェードが龍神レムリアと出会い、大陸を荒らし回っていたドラゴンロードを討伐に挑んだ始まりの日である。

そんな神聖な日に偽物などを売る愚か者の話は瞬く間に広まり、次から商売すらできなくなるのだ。


そうしてこの日に偽物や二束三文の品を売るのはタブーとなった、だからこそ商人達はより高く売れる物を、買う側は良い物を安く買うために交渉に力が入り、掘り出し物探しに力が入る、、、


こうしてこの日はお祭り騒ぎに成ったのだが、1年に1度では足りなくなり毎月の開催となった。

だが今日は1年に1度の本祭り、つまりジェードとレムリアが出会った日そのものである。


そんな日だからこそ、多くの人が集まり楽しんでいた。

そして、そんな日に暗い顔をした2つの露店があった。




1つは田舎から出てきた男で、農家の五男だった。

追い出された様な者だが幸い幼なじみが一緒についてきてくれて、一緒に王都で串焼きの露店を始めた。

田舎で狩人から教わった方法で様々な動植物に魔物を捕え、肉などを串焼きにする小さな露店でなんとか家族で暮していける生活だったが幸せだった、その幼なじみと結婚し子供も産まれ2男3女を授かった。


しかし、その末の子が問題だった。

一番下の男の子はある病気に悩まされていた、世界樹病、、、

ある植物に子供の頃に触れたために起こる病気なのだがその植物が問題だった、世界樹とよく似た別のウルンと言う木なのだが、この木や葉に幼い子が触れると魔力のコントロールができずに様々な病気になってしまう。


末の子が間違えて触れてしまい、今では寝たきりになってしまっている。


男は自分の後ろを見る、病気のために目が離せず連れてきた末の子が簡易ベッドに寝ているまだまだ幼い子だ、、、

家族の皆は治療費を稼ぐために露店の小間使いや、長男長女は危険な森に入り食材探しをしていた。


子供達が帰ってきたが成果が無かったのか暗い表情をしている、そして黙ったまま露店の手伝いを始めた、嫁が追加の串焼きを持ってくるが誰もが店の前を素通りし見向きもしない。

食材は珍しい物もあり美味いのだが夫妻の顔があまりに青ざめ、悲壮な顔をしているために皆買わないのだ、そして隣には老婆と何人もの小さな子供が森で採れる珍しい果実で作ったジュースを販売していた。


こちらがもう1つの暗い顔をした露店、隣の串焼き屋とは顔なじみの孤児院の院長と子供達だった。


男はそちらを見る、よく串焼きを買いに来たり店じまいに余った串焼きをあげた子の顔もある。


孤児院は突然国からの援助を打ち切られ、土地からも出ていくように通達されていた。

土地は老婆の物で死んだ主人が1代限りの貴族になった時に購入した物だ、子供ができずに孤児や捨てられた子を面倒見ている間に孤児院になった。


だが土地からも退去を突然命じられ、国の命令には逆らえず、なんとか移り住める場所を確保するためにお金を集めていたのだ。

しかしこちらも薄汚く痩せた子供や手足が無い子供が売り子をしているために全く売れていない。


この老婆と生前の主人は自分達もカツカツの生活なのに私達家族の為に何時もお金を工面してくれていた。

その事を思い出し男は天を仰ぎ天を呪った、なぜ自分達だけが、、、




そんな時に広場に悲鳴が起きる、何事かと慌てて自分もそちらを見ると自分達の露店の前に灰色のベビードラゴンがフヨフヨと浮いていたのだ、男と老婆は慌てて家族や子供達を逃がそうとしてベビードラゴンの前に立ち塞がろうとした。


しかし、小太りのベビードラゴンは素早く露店の前に来ると、串焼きとジュースの入った器を手に取り、、、食べ始めたのだった。


周りの皆が呆然としてそれを見ている、誰かが衛兵を呼べ!っと叫んでいるがベビードラゴンはバクバクと次々に串焼きを食べジュースを飲んでいる。

すると子供達がベビードラゴンに近づき、叫んだ!


「あ、あっちに行け!それは弟の治療費のための商品だぞ!」


「そ、それに住む所を探すためのジュースだ!」


夫妻と老婆は慌てて、子供達を抱き抱えて逃げようとするとベビードラゴンが病気で寝ている子供に近づこうとした、周りに居た男や商人達は子供達を守ろうとその辺にある棒切れなどを手にするが素早く子供に近づいたベビードラゴンが目を細め子供を見る。


そして


「ガア!」


っと一声鳴くと、男の末の子が光に包まれる。


それは男の子だけではなく手足を失い捨てられた孤児院の子供達も同様だった、そして子供達が!

っと呆然と見守っいた周りの人達は光が消えると同時に驚愕した。

手足が無い子には手足が生え、目が見えかった子は自分の手を見て驚いている。


その光景を見た男と妻は慌てて自分の末の子を見る、すると今まで寝ていた子が身を起こし両親を見てパパ?ママ?っと語り掛けてきた、その顔は赤みを帯び今まで病気だったとは思えないほど健康な顔をしている。


その姿を見た妻は泣き崩れ喜んでいる、そして呆然として見ていた男と老婆の元にベビードラゴンが近づいてくると、ゴソゴソし始めた。


そして2人の手を取るとその手のひらにダイヤモンドやエメラルドなどの宝石を代金だと言わんばかりに置いた、男と老婆はそれを驚き見ているとベビードラゴンは足りなかったのかと更に何かを取り出した。

それは黒い石の様な塊だった、ソフトボール程の大きさの物を2人に1つづつ渡すとベビードラゴンは飛び去ってしまったのだった、両手いっぱいに串焼きを抱えて、、、




「まったく騒がしい!」


上級官吏であるその男は祭りを楽しみもせず中央広場に向け衛兵の姿をした自分の私兵に囲まれ、馬車に揺られていた。

普通なら祭りのこの日に馬車に乗るなどと言うマネは上級貴族でもしないが、男は上級貴族である伯爵家の長男で上級官吏だった。

その為傲慢になり、祭りの日に馬車に乗って移動するなどと言う非常識なマネもするのだった、そして男と私兵達が中央広場に着くと突然歓声が広がった。


俺を出迎える為のものか?

などと的外れな事を考えながら、馬車から降り目的の場所まで進む。


汚い露店が2つ並び建つ所まで行くと、人だかりが出来ていた。

チンピラを雇い人を近づかせない様にしていたのに、何故?っと思いながら私兵に人だかりを追い散らさせ店の前まで行く。


すると信じられないものを見る、病気で今にも死にそうだった男の子供が元気に兄弟達と走りまわっている、そして隣では孤児院のガキ共が自分の腕や足をさすっていた。


あのガキ腕が無かったはずじゃ?隣のガキも足が無かったはずだ?っと考えながら近づいていくと、男と孤児院のババアが手の中に何かを持ちそれを周りの商人達が見て


「凄い!」「素晴らしい物だ!」「言い値で買うぞ?」「公平にオークションかけるべきだろ!」


などと言っている、上級官吏は近づき見ると見事な宝石を男とババアが持っているではないか!

あれが有ると今までの苦労が水の泡だ!




実は男の子が病気になる様にウルンの葉に触らせたのも、孤児院が突然援助を打ち切られ退去勧告を受けたのもこの男の差し金だった。

露店の男の妻を見て、この美しい女を手に入れる為に間者にウルンの木を事故にみせかけ触らせた。

孤児院の子供達は孤児院から追い出した後ババアを始末して亜人の子供達を奴隷として海外に売ってしまう算段だった。


しかし、それもすべてが水泡になってしまう、、、いや、まてよ?

あの貧乏人共があんな宝石を持ってるのはおかしい、子供達が元気になってしまったが売る時に治す手間が省けたと思い直し、私兵を引き連れて男とババアに近づいて行く、そして。


「おい!貴様ら何をしている!」


「お、お役人様!」


「ん?貴様ら何を持って、、、それは盗まれた宝石ではないか!」


「ええ!?」


「衛兵!捕えよ!」


「「ハッ!」」


しかし、そこに商人や周りの人達が間に割って入る。

今までのこの上級官吏の行いを見ていた人達はこの官吏が男と老婆の不幸に関わっているのではないかと疑っていたのだ、そして宝石を取り上げようとしたのを見てもはや我慢がならないとばかりに抵抗し始めたのだ。


そして騒ぎが大きくなり始めた時、、、


「ピイイィィィ!」


「静まれ!」


「この騒ぎは何だ!」


「ベビードラゴンは何処に行った!?」


と聞こえてきた、皆がそちらに目を向けると多数の衛兵が広場に集結し始めていた、さらに影が通り過ぎたのを見て上を見ると飛竜に乗った竜騎士までいる。


そして衛兵達が事情を聴き始める、そのスキに上級官吏は宝石を奪い取ると衛兵に命じた。


「この者達を捕えよ!宝石泥棒だ!周りの者は反乱者だぞ!」


っと、すると孤児院の老婆に話を聞いていた、魔導士が


「援助が打ち切り?退去命令?孤児院の援助は王家が直接行っているものだ、国王陛下がその様な命令を出したなどと聞いていないぞ?」


などと声をあげ、その隣では衛兵よりも立派な鎧を着た騎士らしき者が


「ウルンの葉に触れて病気に?あの木は葉も薬草になるが幼い子供が触れると世界樹病になり世界樹の葉か高位の回復魔法が使える者でなくては治せないので国で厳重に管理されている、どこで触れたのだ?」


などと話している、まずいと考えた官吏は


「そこの騎士と魔導士!何をしている、さっさと命令に従わんか!」


っと大声で言い放った。

それを受けて騎士と魔導士がふり返る、騎士の鎧には大きく薄いピンクの龍の絵が、魔導士の胸元にはやはり薄いピンクのクリスタルで作られた龍が有った。


周りからどよめきが起きる、近衛騎士達と宮廷魔導士達。

ジェード王国の3つある最高戦力部隊の内の2つ、そして竜から竜騎士達が飛び降りてきた、これで国の最高戦力が広場に居る事になる。

竜騎士は官吏の私兵の隊長格を見て眉をひそめる


「貴様!衛兵の鎧を着ているが何者だ!衛兵隊の隊長に貴様の様な者を見た事が無いぞ!」


その声聞き、衛兵達と近衛兵に近衛騎士、宮廷魔導士達も上級官吏と私兵を取り囲む上空では竜騎士と竜達が旋回し始めた。




あれから上級官吏と私兵は逮捕され、近衛騎士様と竜騎士様、宮廷魔導士様が事情を聴き謝罪してくれた、宮廷魔導士の1人は生前の夫の部下の1人だった。

その宮廷魔導士は国王陛下に報告すると確約し賠償の話まで出たが、それは露店の男と共に懸命に断った、子供達が元気になり高額な宝石まで手に入ったのだこれ以上望んではレムリア様の罰が当たる、、、


あのベビードラゴンはなんだったのだろうか?レムリア様が使わせた守護者だったのだろうか?

そう老婆が考えていると、先程まで話していた宮廷魔導士が子供達が持っている黒い石に目を向け驚愕してその石を取り上げた、子供達は驚き周りの近衛騎士達や竜騎士達が何してるんだ返してやれと非難すると他の宮廷魔導士達もこちらを向き黒い石を見て驚愕する。


子供達はドラゴンさんに貰ったんだよ!粘土みたいにグニグニしてるんだ!返してよ!っと取り上げた宮廷魔導士に話している、するとその宮廷魔導士がかすれた声で、、、


「け、賢者の石だ、、、」


っとつぶやいた。

そして私は亡き夫の言葉を思い出す。


「そう言えば生前に夫がドラゴンは賢者の石を創り出す事が出来る、と言っていたような、、、竜だったかしら?」


「お、奥様、賢者の石を創り出せるのは神様か龍様しか居ません!」


「では、あのベビードラゴンは龍様だったのですか?」


すると老婆の足にしがみついていた子が突然大きな声で言った。


「私見たよ!私の目に光が届いた時にあのドラゴンが銀色に輝く綺麗な龍だったの見たよ!」


っとつい先ほどまで両目が全く見えずに常に老婆に掴まって歩いていた子が両目を輝かせて大きな声で言ったのだ、そして周囲からは、、、


「銀色の龍様、、、?」


「たしかキャロリン様がお会いしたとか、、、」


「始まりの森でだろ?たしかレムリア様に代わり加護を頂いたとか、、、」


「バカ!レムリア様のお孫様だそうだぞ!」


「4体の龍神様の孫で龍王ディアン様と白龍姫セレナ様のお子様、、、」


「な、なあ?近衛騎士様なんで急にこの広場に?」


「あ、ああ、、、ベビードラゴンを追いかけていて、宮廷魔導士が急に魔法の発動を感じたからと、、、」


「ええ、、、今まで何にも感知できなかったのが急に、、、」


「な、なあ?確か銀龍様、、、ドライト様は灰色のベビードラゴンに擬態していたって話じゃ、、、?」




シーン、、、




「す、すぐに国王陛下にお知らせしろ!」


「龍様が!ドライト様がいらっしゃられている!」


「あの上級官吏を罰するために来れたのか!?」


「あの親子や孤児院の現状を知って宝石や賢者の石をお渡しになられたんだ!」


「レムリア様バンザイ!ドライト様バンザイ!」


この話は瞬く間に王都にいや国中に知れ渡るのだった、、、

そして救われた男は家族と老婆は孤児院の子供達と共にひざまづき、祈りを捧げていた。




そして、、、


「あ、あれ?私に流れてくるはずの信仰の力の一部がレムリア様以外、、、ドライトさんに流れている様な気が!?」


「メルクルナさん、集中なさい!」


「あれ?あれ?あれぇぇぇ?」




この時俺はと言うと、、、


【ドライト様どうかなさいましたか?】


『きゅ、急に尻がかゆく、、、かゆ!なにこれかゆ!?』


いまだに王宮に向かわずに他の広場を回りながら、空中で身動ぎしていた、、、

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る