幼龍編 キャロリン

やあ!ドライトさんだよ!

森を探索してたら、とてつもない美幼女に出くわ【ちょっとお待ちください!】




『ふぁ!?な、なんだよリュージュさん!』


【彼女の場合美少女と呼ぶべきではないでしょうか?】


『はぁ?、、、どこからどう見ても幼女だろうが!』


【いやですね、抜けてるのは頭だけにしてください、龍の眼が泣きますよ?】


『いい度胸してるやんけ!この外れ珠が!!』


【誰が外れ珠ですって!?】


ギャー!ギャー!




俺達は重要な議題で揉めているとピリッとした感覚が体に走る。




『か、鑑定!?』


【受けましたね、、、】




龍達や神々はホイホイ使っているが人族などではかなり珍しいスキルだし、先ほど見た時はこの子は持っていなかったはずだ。

魔道具などでもある事はあるが、かなり高価だとリュージュさんが伝えてくる、俺は先程から感じているレムリア祖母ちゃんの気配も相まって注意深く幼女を観察したのだった、、、


ん?幼女で落ち着いたのかって?

主人権限で決めましたとも!




私の名前はキャロリン、ジェード・ レムリア ・キャロリン、名前を聞けば別の大陸の方でも大抵は私が何者か分かるほど有名な名を受け継いだ者です。


建国王ジ ェード、私の御先祖様で平民から国を立ち上げた英雄です。

平民だった為に名字が無くその名がそのまま私達の名字に、そして国名となりました。

以来300年以上続く大国としてジェード王国は存在しています。




そんな、歴史と栄誉ある国の第4子、第2王女として生まれたのが私、キャロリンです。

母は側妃のエレイン、王妃のアンナ様と共にジェード王国に嫁いで来たのですが、元々嫁いで来る予定ではなく、アンナ様が嫁いで来るさいに


「私だけなら絶対に嫌!親友のエレインと一緒じゃないなら死んでやる!」


と、ゴネて無理矢理連れて来て側妃になった経歴があります。

最初は問題なく、、、いえ結婚後は問題なく幸せにすごして居ました。

そして、アンナ王妃様に第1子で王太子のアンディお兄様が生まれ、8年後には双子のアリーア姉様、ライアン兄様が生まれその3年後に私が生まれました。


そう言えば以前に父である王様は、長い間エレイン母様に子供が出来なかった事について、


「決してお前の母を愛していなかった訳ではないのだからな!

ちゃんと頑張ったのだからな!」


っと言い王妃様も


「そうよ!たまに3人で頑張ったんだから間違いないわ!」


っと言われ、エレイン母様に叩かれて、


「子供達に何言ってるんですか!」


と連行されて行きました。

あれはどういう意味だったのでしょうか?

いまだに教えてもらえてません。




話がそれましたね、とにかく私は末っ子と言う事もあり、家族皆に愛され幸せに暮らしていました。




2年前までは、、、




私の国では5歳になると子供達は皆鑑定を受ける事になっています。

その理由がこの大陸の特性にあるのです、それは龍が産卵地に選ぶほどに魔力と魔素に満ちているから。


一説には、この世界の創造時に龍達が関与して産卵に適したように創られたからだと言う賢者まで居たそうです。

この説は他の賢者や大魔導師にバカらしいっと認められなかったそうですが、、、


なんにしろ、この大陸は魔素と魔力が満ちていると言うこと、そしてそれは魔素と魔力を食料やエネルギーにしている者、つまり魔物や魔獣が多くそして強いと言う事でもあるのです。


つまりこの大陸で生きていく為に私達人族も強くならなければいけないのです。


5歳で鑑定を受け、その結果を見て両親は子供達をどう育てるか考える。

そして特に才能が有る者は国の元で育てられる時もある程です、そうして私の国は大国になりこの生存競争の激しい大陸で生き残ってきたのです。




そして、私にとってこの鑑定で重要だったのが“称号”でした。




ジェード王国の王家とジェードの仲間達が祖となった公爵家には必ずと言って良いほどレムリア様の守護か加護がつく、、、


その血が濃ければ濃いほどに中枢に近ければ近いほどにだ。

そして、私には何もつかなかった、、、


別にレムリア様以外に加護を与えてくれる存在が居ないわけでわない、数々の精霊や時に神様が授けてくれる事もある。

だが、ジェード王家と公爵家にレムリア様以外の加護や守護がついた例は1度もない、ただの1度もです。


そして現王の家族にレムリア様の加護も守護もつかなかった事は私以外に1度しかないと言われています。


その方は10数代前の国王陛下で5歳の時まではとても傲慢な性格だったそうです。

しかし、加護がつかなかった事で反省し後に名君と呼ばれる程になった方でしたし、6歳の時にはちゃんと加護がついたそうです。




そして私は6歳でもつきませんでした、、、




何が悪いのか?必死になり勉強をしても武芸を習ってもつきませんでした、そして7歳になった今年の鑑定は行われませんでした。

母、エレインが心労で先月に倒れた今、万が一にでも今年もついていなかったら、、、

そう考えた父王の決定で行われなかったのです。


しかし私は今年から王立学院に通います、王家と上級貴族、、、そしてそれ以外の貴族や民達から才能が有るか、努力が認められた者のみが通える国の為に民の為に成す事を学ぶ学校。




では、私に行く資格が有るのか?




武芸はダメ、魔術と魔法は才能が有るとは言われましたが芽が出ませんし、勉強だけはある程度出来ましたが優れているとはとても思えません。

そして、加護がついていない王族、、、そんな私が選ばれた者しか行く事のできない王立学院に行く?

限られたものしか行けない場所に王族だからと言う理由で行く?

貴族や民達はどう思いますでしょうか、、、私だけならかまいません、しかし王家にまで批判が向けられたら?


【栄誉と歴史ある学院に役立たずを入れるのか!】


っと、、、


だからこそ私は、ある方にお会いする為に王家の家宝で国宝でも有るレムリア様が御造りになった、ジェード建国王の妻、セレナ様が身に着けてた装備と龍の眼までも持ち出してまでこの聖地に1人で来たのです。

そして、もう1つも持ち出したのが、、、




竜の毒




竜ですら殺すと言われる毒薬で王族や高位の貴族が自害する時に使う毒薬です。

上級の解毒薬や解毒の魔法ですら解毒できずに苦しまずに死ねると言われる毒薬、あの方に鑑定してもらいそれでも加護や守護が無かった時、私は王家の、、、家族の迷惑にならない様に覚悟を決めてお会いしに来ました。




このジェード王国の聖地に棲む飛竜族の長、エドワード。


ジェード建国王と共にドラゴンロードを討伐した偉大な方。




かの方にこの龍の眼で私を見てもらい、もしそれでもダメだった時は、この毒で、、、

そう思い聖地である始まりの地に着いた私が見たのはグレイドラゴンの子供のベビードラゴンでした。


『飛竜達はここを守る為に、そして飛竜達にとっても大切なパートナーの竜騎士と出会う為に必ず居るはずなのに、私は飛竜に出会う事もできないのか』


そう思い、絶望しアホそうなベビードラゴンを見つめるのでした。

しかし私はある事を思い出します、【狂ったドラゴンロードは元々頭の良いグレイドラゴンだった】っと、、、


そして私は竜の眼による鑑定をしてみる事にしました、すると、、、




ゾクリ!




今までアホそうだったベビードラゴンが目を細め私を注視した瞬間、とてつもなく強大な者の前に立っていると感じ、灰色の体に灰色の眼だったベビードラゴンが一瞬、銀色で光り輝く体に青の右目と金の左目のオッドアイを持つ姿が見えたのです、、、


その姿を見た瞬間私は覚悟を決め、腰にさげていたレムリアの短剣に手を伸ばしたのでした。




『レムリア祖母ちゃんの造った装備と龍の眼かぁ、、、』


【この2つに反応したんですね】


『うーん、、、?』


【ドライト様どうかなさったのですか?】


『この2つ、ジェード王国の国宝だった気が、、、』


【そう言えばそうですね何故この子が持ってるんでしょうか?】


『持ちだせるって事は王族のはずだけど王族なら祖母ちゃんの加護か守護がつくはずだぞ?』


【しかしどちらもついてませんよ?】


『もう少し詳しく見てみるか、、、』


俺は少し強く“視る”事にして龍の眼を発動させた、すると幼女はビク!っと震え怯えた様に下がろうとするが、その場にとどまり何かを決意した表情で腰のショートソードに手をかけ抜くと俺に向かって降り落してきたのだった。


『小癪な!真剣白羽取り!』


ところで俺ってば幼龍なんだよね、何言ってるのこのアホ?ってリュージュさん辺りなら言うんだろうけど、幼龍って卵にの中に居た時の名残で手足や首が短いんだよね。

つまり頭の上を掻いたりする事はできても、両の掌を頭の上で合わせる事なんか出来ないのよ、つまりその結果俺の真剣白羽取りはどうなったかと言うと、、、




ガン!




『いてぇ!』


【真正のアホですか貴方は!ディアン様に似てきましたよ!?、、、って痛い?】


『え、HPが減ったぞ!?』


【ま、まさか!いくらレムリア様が造ったショートソードとはいえドライト様にダメージを与えるとなるとこの少女はかなりの使い手と言う事ですか?剣のスキルも持っていないのにあり得ません!】


『いや、間違いなく120万有るHPが3ほど減ったぞ!もう治ったけど、、、あと幼女な!』


ここに居た飛竜ですら俺のHPを削る事すらできなかったのに、目の前の美幼女は俺にダメージを与えた。

そして俺にたいしたダメージを与えていない事にショックを受けつつ、油断なくこちらを見据えてショートソードをかまえている。


『うーん、しかし可愛いのぅ、剣をかまえてる姿も凛々しく可憐だわ』


【そうですね、龍になったドライト様ですら可愛いと感じるのですから相当な者ですね】


『だよなぁ、もし前世の星山龍太で会ってたらハイ○ースを購入する為の貯金を始めようと銀行口座を開設しに走っているクラスの可愛さだぞ!』


【お巡りさんこのデブ幼龍です!】


『バカめ!この世界に警察は無いわ!あとシリカ姉達のご飯で太ったのは言わないで!』


そう、隣に住み始めたシリカ姉達がご飯を作ってくれるのだが結構美味いんだわこれが、調味料なんか殆ど使ってないんだけど、んで食い過ぎてまたポッチャリしてきてしまったのだ、、、


【、、、セレナ様レムリア様こっちです!】


『止めろおぉぉぉ!母様達呼んで何を言うつもりだあぁぁぁ!』


【それは先程の発言を】


『お仕置されるだろうが!ってかその時はリュージュもお仕置「ゴン!」痛いですって!』


ま、また殴られたぞ!

HPがまた2減って一瞬で回復した、やっぱダメージ受けてるな、、、


【ど、どうしますか?】


『う、うーんまさか反撃する訳にはいかないしなぁ、、、』


【何故ですか?無礼にもドライト様を殴ったのですよ?魂ごとブレスで消滅させちゃえば良いじゃないですか】


『アホか!?レムリア祖母ちゃんの関係者かもだぞ!?それに美幼女は世界の宝だ!あと、、、』


【あと何ですか?】


『あいつ等がなぁ、、、』


美幼女の後ろで建国王ジェードとその妻のテレサだろうか?綺麗と言うよりやんちゃで可愛いって感じの女性がジェードと共に必死に土下座している。


【ジェードさん慌てて出てきたのですね、テレサさんなんか実体化できちゃってますよ】


先程まで実体化できなかったテレサさんはなんかの力に目覚めたのか慌てて力が増したのかジェードと共に実体化して泣きながら土下座してる。

ストーンサークルの中に気配は感じていたけど実体化できるのはジェードだけだったみたいで他は気配だけしか感じなかったんだけど、、、他の気配も慌ててるなこれ。




うーんどうすんべ?美幼女は諦めなさそうだし、でも反撃する訳にはいかないし、、、

ああ、、、空が赤くなってきた、早くキャンプ地に行かないと母様に怒られる!


そんな事を考えていると俺に念話らしきものが送られてくる。


[従属せよ]


『はぁ?』


[従属せよ、我が名はジェード・レムリア・キャロリン、我に従属せよ]


『なんだこれ?』


【従属魔法ですね、ドライト様を支配下に置こうとしています】


『美幼女の支配下に、、、よし!従属す【セレナ様達に報告しますよ?】る訳ないよな!俺ってば誇り高い龍なんだから!』


な、なんて恐ろしい魔法だ思わず従属してしまうところだった、、、


【自分から進んで従属しようとしていた様にしか見えませんでしたが?】


『そんな事実は欠片もない!それよりもマジでどーするよこれ?』


【レムリア様をお呼びしますか?そうすれば加護がついてない理由も分かるでしょうし】


『それしかないかぁ、、、ん?』


レムリア祖母ちゃんを呼ぼうと考えていると目の前の美幼女はゴソゴソっと腰の辺りをまさぐっていた、そしてその瞬間、俺は何かを嗅ぎ取り一声吠えると美幼女に襲いかかり押し倒していたのだった。




私がレムリアの短剣、レムリア様がご自分の牙で御造りになられたというショートソードで斬りつけると防御しようとしたのかベビードラゴンは頭を抱える様に手を頭に回したが、長さが足りなかったので頭に短剣がヒットしたけど、、、


ガン!


切れない!?

レムリア様の短剣でも傷すらつかないなんて?

ダメージは与えた気がするが鱗には傷が無いって事はやはり特殊個体なんだ!

特殊な個体は特別な力を持ってたり、数倍、時には10数倍の力を持つ者もいると言う。


私はもし、このドラゴンを従属化してペットとして連れ帰れば皆も認めてくれるかもしれないと思い油断なく剣をかまえ直した。

だが次の瞬間 ゾクリ! っと感じたが今度は何故か悪寒だった、、、このベビードラゴン変な事考えてないかな?

とにかく従属化する為にもう一度ショートソードで斬りつける。


ゴン!


また当たったけど切った音じゃない、ダメージは与えてるんだけどやはり傷ついてない、もう一度かまえ直し相手を見つめていると、背後から何かの力を2つ感じる、、、もしかしてご先祖様、ジェード様とテレサ様!?


背後からの力は私に勇気を与えてくれている!

そしてベビードラゴンも何かを感じた様にこちらの後ろに注意をそらした、チャンスだ!

私は従属魔法を使いベビードラゴンを従属化させようした、一瞬だが従属化に成功した気がしたが跳ね返される。


失敗した!?やはり特殊個体だ!あそこから跳ね返すなんて!


そう感じた私はベビードラゴンを逃がさない様に何かないかと腰に括り付けてあった魔法袋に手を伸ばし口を開けた。

次の瞬間ベビードラゴンは咆哮をあげ私に襲いかかって来た、今までと比べ物にならない速度で襲いかかってきたベビードラゴンに私は呆気なく押し倒されてしまったのだった、、、

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