幼龍編 祝福
やあ!ドライトさんだよ!
今ちょっと忙しいんだ、ちょっと待っててね!
『うおぉぉぉ!』
ガシィ!ドタン!
【ドライト様何してるんですか!?】
「クンクンクンクン!」
【本当にセレナ様に通報しますよ!?】
『ええぃ五月蠅いわい!今マジで忙しいんだって!』
【何に忙しいんですか!?】
「クンカクンカクンカクンカ!」
俺は現在森で出会った幼女の腰に抱き付き押し倒して必死に匂いを嗅いでいた。
「へ、変態さん!?」
美幼女は今の俺の現状を的確な言葉で示したがそんな事はお構いなく、必死で匂いの元を探す。
『ここかぁ!?』
【何がここですかぁ!?】
そして俺は美幼女の腰に手を伸ばしたのだった。
咆哮と共に一瞬で私の眼前に迫り襲いかかってきたベビードラゴン。
あまりのスピードに反応できず私は思わず目をつぶってしまった、そして腰に衝撃が来ると共に押し倒されベビードラゴンにのしかかられる。
『し、しまった!』
隙は見せてなかった筈なのに、、、それだけこのベビードラゴンは強いと言う事なのでしょう。
私は相手の力を見誤ってしまった、アホそうで小太りな見た目だったので特殊個体でもたいして強くないだろうと、思い込んでしまっていました。
それにレムリア様の装備一式が有った事が慢心につながったのでしょう、しかし今更反省しても後の祭りです、ベビードラゴンといえどその牙は驚異的な破壊力を持つ、レムリア様の皮膜で造られたと言われる革の鎧は恐ろしく頑強だがどこまでもってくれるのか、、、
まして顔や関節の部分などむき出しの部分もある。
そして口を広げ牙を見せつける様にベビードラゴンが顔を近づけてくる。
お父様にエレインお母様、アンナお母様、そしてお兄様達にお姉様、、、バカな私を許してください、、、そう考えながら、せめて大事な装備一式と龍の眼だけでもなんとか守ろうとしようとした瞬間ベビードラゴンが更に顔を近づけてきたのを見て思わずまた目をつぶってしまい、次の瞬間耳に聞こえてきたのは、、、
「クンクンクンクン!」
「へ?」
私は目を開け腰にしがみつきのしかかっているベビードラゴンを見ると必死になって私の腰辺りの匂いを嗅いでいる。
「クンカクンカクンカクンカ!」
「へ、変態さん!?」
以前にアリーアお姉様に抱っこしてもらった時に同じような事をされて、
「キャロは本当に良い匂いね!」
っと褒めてもらったのですが、すぐにアンディお兄様に叩かれて、
「この変態止めんか!」
っと注意されていました。
変態の意味が解らずにエレインお母様とアンナお母様に聞いてみたら、アンナお母様は
「ずるいわアリーアったら!私も嗅ぎたい!」
っとおっしゃられて、エレインお母様に叩かれてました、その後エレインお母様に人に抱き付いて匂いを嗅いだりするのは変態っと言う危険人物なので注意なさいっと言われ、
「アンナお母様とアリーアお姉様も変態なんですか?優しいですよ?」
っと言うと
「変態です、確かに優しいかもしれませんが1人であの2人とは会わないように」
っと言われましたがこのベビードラゴンも変態さんなのだと思っているとベビードラゴンは手を私の腰に伸ばしてきて、、、
口の開いたポーチ型の魔法袋を取ってしまいました。
俺は匂いの元が腰に括り付けてあるポーチだと気づくと素早く奪い取り美幼女から離れて中を確認しようとする。
【ドライト様、人の物に手を出すなどセレナ様に叱られますよ?】
リュージュさんが注意してくるが俺はそれを無視してポーチを調べる、魔法袋か使用者権限ついてるな、、、よし解除っと、魔法袋に手を突っ込むと目的の物を探し中を漁り始める、どこだどこだ?
『見つけた!』
そして俺が魔法袋から取り出したのは、、、塩と胡椒にハーブもタップリと使われたベーコンのブロックだった。
【その様な物を探していたのですか?食べる物ならいっぱい有りますし、シリカ様達が食事の準備もしているのにそんなに必死にならずとも良いではないですか】
『いや、シリカ姉達のご飯は美味しいし色々と食材有るよ?でも、こーいうのは無いんだよ!特に胡椒はこの大陸にないのか1度も見た事が無いしさぁ、、、』
【胡椒なら有りますよ?大陸の南方で少ないですが採れるはずです】
『でも1度も見た事ないぞ!ベーコンだって初めて見たし!』
【ああ、それはセレナ様がまだ幼龍のドライト様に濃い物は体に悪いと与えない様にしているからですよ】
『え!?龍でも幼いと毒なのか!?』
【いえ、全く問題有りません。セレナ様は初の子育てなので人族の育児本を参考になされたからでしょう】
『なら、食べても問題ないな!いただきま【ドライト様!】な、なんだよ!?』
【人の物を奪って食べてしまえば本当にセレナ様に怒られますよ?本当に良いのですか?】
『バレなければ問題無い!』
【私がバラしますが?】
『俺に対する忠誠心が無いのか!』
【有りますよ?なんと今100です!ちなみにセレナ様に対しては1万超えてますが】
『上限幾つなんだよ!?』
【それよりも龍として少じ『幼女な』幼女から物を奪ってしまうのは龍としての威厳にも係わりますし、本当に皆様に怒られますよ?】
『なら、貰えば良いんだな?』
【それなら良いでしょうがどうやって貰うのですか?】
『それはこうやってさ!』
ベビードラゴンは魔法袋を私から奪うと抱き付いていた腕を放して少し距離を取り魔法袋を調べ始めました、これが目的だったのかと思い、ベビードラゴンが離れた事で安堵しましたが魔法袋には使用者権限がつけられているので王族か造った宮廷魔術師でないと、、、
「え!?」
ベビードラゴンはあっさりと魔法を解除して中を漁りだしました!
そ、そんな王家用に宮廷魔術師長や精鋭の方達がかけた使用者権限をこんなにもあっさりと解除してしまうなんて!
私はやはりこのベビードラゴンはドラゴンではないと思いました、宮廷魔術師達がかけた魔法をあっさりと解除するなど、とてもドラゴンにはできない芸当です。
やはり一瞬だけ見えた銀色に輝く姿が本来の姿なのでしょう、だとするとまさか幼龍なのでは?
そんなふうに考えていると目的の物を見つけたのか手を引き出しました。
ベ、ベーコン?私が食料として入れていたベーコンを取り出すと幸せそうに見つめています。
その姿を私が見つめているとベビードラゴン?はこちらに向きそして、、、
『ちょうだい?』
「え、、、?」
ベビードラゴン?は取り出したベーコンをこちらに差し出し、また
『ベーコンちょうだい!』
っと念話を送ってきたのでした。
や、やっぱりだわ!念話まで使うなんて間違いなくこの子は幼龍です!
私はそう確信し神様とレムリア様に感謝した、幼龍とは言え龍だ飛竜の長よりも力が有るだろう、そんな存在に会えたのだ、この幼龍に私を視てもらい私に何故加護がつかないのか調べてもらえれば!
そう考えてまずは正体をちゃんと見せてもらいたく頼んでみる事にした、、、
『ふふふ、、、リュージュさんよ!俺が念話をマスターしてるとは思わなかっただろう!』
【いやまぁ、予想外でしたがなんでまた?共通語もマスターしてたはずでは?】
『いや、聞けるんだけど喋れないのよ?たぶん発声器官がまだ未発達だからじゃないかな?』
【しかし何時の間にマスターしたのですか?私も気づきませんでしたよ】
『あなたがマンガに夢中になってた時です』
【油断もスキも無いですね】
『ふふふ、、、これでこのベーコンは、我の物である!』
【カッコ良く言っていますけど、単に食い意地が張っているだけですよね?】
『フハハハハ!ベーコンさえ手に入ればこちらの物よ!』
【なんか悪い物でも食べたのですか?】
そんな事を話していると美幼女さんから反応があった。
「あ、あの?」
『なんですか?早く「ハイ」っと言ってください』
「差し上げてもかまわないのですがあなた様の真の姿をお見せしてくれませんか?」
『、、、はい?わ、私の真の姿って言われても、こ、これが真の姿なのですよ!?』
「銀色に輝く青と金のオッドアイが真の姿ですよね?」
『な、何故その事を!?』
「先ほど私に鑑定をかけた時に一瞬見えましたが、、、」
『なんですとぉ!?』
ショックを受けていると
【本気で龍の眼を発動したので偽装が一瞬解けたのですね、、、】
と、リュージュさんが伝えてきた、正体がバレてるならっと偽装を解く。
「や、やはり龍様なのですね!」
美幼女さんは跪き、平伏しはじめたのでもう一度ベビードラゴンに偽装すると止める様に言った。
幼女に平伏されても嬉しいが他の人とかに見られたらドン引きされてしまうからな。
「龍様お願いがあるのです!」
と美幼女さんが言ってくる、俺は美幼女の願い道理に正体を見せたのだからこのベーコンはもはや俺の物だ!っと喜んでいたがあまりの勢いに聞き返してしまった。
『な、なんですか?ベーコンなら返しませんよ?』
「違います!お気づきかも知れませんが私の名はジェード・レムリア・キャロリン、ジェード王国第4子で第2王女です」
『これはご丁寧に私の名前はドライトです、幼龍をしています』
「は、はぁ、、、」
【なに名前を教えているのですか、龍族が名前を教えるのは相手を信用した証ですから龍族以外にホイホイ教えるなと言ったじゃないですか】
『ええぃ、だまらっしゃい!これだけの美幼女なのだ教えても良いではないか!』
リュージュさんと揉めながらとりあえず願い事を聞いてあげる事にした。
『それでお願い事は何ですか?この世界を支配して女帝になりたいとか位しか聞けませんよ?』
【ドライト様、真正のアホですか貴方は!】
「ち、違います!ドライト様にお願いしたいのは私にレムリア様の加護か守護がついていないかと言う事です、もしついていないのならばつかない理由もできれば知りたいのですが、、、」
『はぁ、、、』
何だそんな事かっと思っていると美幼女さん改めキャロリンちゃんは俺が気が乗らないっと思ったのかとんでもない事を言ってきた。
「も、もし何かしら代償が欲しいと言うのなら、え、えっと、、、私の初めてを差し上げます!」
『ブフゥゥゥゥ!』
【とんでもない事言いだしましたよこの子!?】
『い、いえ結構ですよ!っと言うか誰にそんな事を教わったのですか!』
「アンナお母様です」
【王妃ですね実の母ではないですがこの子を溺愛してるそうです】
「大事な物なので本来は愛した相手に渡すそうですが交渉にも使えると、、、ただどんな物なのかは教えてもらってないので、、、ドライト様はご存知ですか?」
『その話はエレインさんに言ってよく相談する様にお勧めします』
「母の名をご存じなんですか!?」
『多少の知識はありますからね、なんにしろ何かくれると言うのなら食べ物が良いですね』
「そ、それなら、、、チーズ!チーズも有るのでそれも差し上げます!他にもパンとか色々と王宮のキッチンから持ってきましたので、よろしかったら何か作ります!」
『ありがとうございます!人間の食べ物を食べたかったんですよ!それに実は装備とかで王族とは考えていたのですが祖母ゲフンゲフン!レムリア様が何故キャロリンさんに加護をつけていないのか気になってたんですよ』
「お、お願いします!あと親しい者はキャロと言いますのでよろしければそう御呼びください」
『ちょっと強く視ますので、もし体調が悪くなったら言ってくださいね?』
「は、はい!」
こうして俺は龍の眼を発動して少し強めに視てみる、ついてないね、、、
何故ついてないのかについては祖母ちゃん連絡してすぐに分かった。
『忘れてたわ、、、って言うか第4子?何時産まれたのかしら?』
『祖母ちゃん、、、今色々と調べたんだけど結構深刻みたいだよ?魔法袋に竜の毒も持ってるし、もしついてなかったら自害するつもりじゃ、、、』
『あ、あらぁ〜』
『歳は7歳だから産まれたのは7年前かなんかあったっけ?その頃』
『あーあれだわ世界樹に巣作りしてた頃だわそれ、セレナが初産みで巣の作り方に不安が有るからって事で手伝ってた頃だわ』
『おおぅ、、、俺がある意味原因なのか?どーすんべ、、、』
『なら、ドライトあなたがつけてあげれば良いじゃない?』
『へ?お、俺が?』
『ええ、何事も経験ですしあなたも悩む必要なくなるでしょ?』
『で、でも俺じゃ意味が無いんじゃ?祖母ちゃんを崇めてるんだし』
『なら孫だってバラしちゃえば良いじゃない、龍だって言うのはバレてるんでしょ?』
『う、うんでも良いのかなぁ?』
『あなたが加護をつける為に今までつけられなかったって事にしちゃえば大丈夫よ!』
『まぁ、キャロに聞いて良いならつけてみるかな』
『それよりいつこっちに来るの?セレナがそわそわしてるわよ?』
『んじゃ、加護なり守護なりつけてあげてキャロを送ったらそっちに向かうよ』
『王都まで送るの?時間がかかるでしょ』
『いや、近くに転移陣が有るみたいだし、迎えって言うか捜索隊がこっちに近づいてるからすぐだよ』
『分かったわ、皆も待ってるから早くね!』
『はーい』
【どうしようもない話でしたね】
『それを言うな!』
っという訳でキャロの方を見つめる。
キャロも何かを感じ取ったのか真剣な表情でこちらを見返してくる。
『キャロよ、、、』
「は、はい!」
『お前には加護も守護もついていない、、、』
「! そ、そうですか、あ、ありがとうございます、、、」
キャロは真っ青になりながらも気丈にも礼を言ってくる、そして自分の魔法袋の中の竜の毒を確認しはじめる。
『探し物はこれか?』
「ド、ドライト様お返しください!」
『キャロ、もしお前さえよければ私がつけてもかまわないのだよ?』
「あ、ありがとうございます、、、しかしレムリア様のでなければ、、、」
『、、、今まで黙っていたが私は、龍神であるガンジス、レムリア、モリオン、ヌーマの孫にして龍王ディアン、そして白龍姫セレナの子である』
そう言って俺は演出のためにも偽装を解き本気モードになる、この本気モードは俺が開発した技で一時的に成龍に近い状態になれると言うものだ。
俺の体がグングン大きくなり15mほどにもなり、幼龍の時とは比べ物にならない程の輝きにあふれる、それを見ていたキャロリンは驚きひざまづき平伏する。
「ドライト様!知らぬ事とは言え失礼しました!どの様にも罰してください!」
おおう!逆効果だったか?
と、とにかくこの本気モード時間にしてまだ10分しか持たないのだ、早くつけちゃえ!
『ならば、我の力を受け入れよ!』
そして許可取る前に俺はキャロに加護をつける為に力を集中させた。
【ちょ!ドライト様力を込め過ぎでは!?】
『いいやんか!間接的にだけど俺のせいで悩んじゃったみたいだし!』
【それにしても力を込め過ぎですよ!?】
『フハハハハ!美幼女は世界の宝なのだ!そーれ付与〜!』
【ちょ!】
俺が付与をすると輝く光の玉が俺から出てキャロの体に入っていった。
キャロは呆然としていたが、自分に何かが付与されたのを感じたのだろう泣き出していた。
「私にもとうとう加護が、、、ありがとうございますドライト様!」
って言っているから俺なんかにつけられて泣き出した訳じゃないぞ?
そして確認のためにキャロを龍の眼で鑑定すると、、、
名前 ジェード・レムリア・キャロリン
種族 人族(ほぼ亜神)
状態 健康
ステータス
HP 700+15000
MP 1200+30000
STR 300+10000
DEX 500+12000
VIT 350+25000
INT 1000+20000
AGI 700+18000
MND 1200+30000
LUK 1500+100000
スキル
剣術 体術 魔法 魔術 再生 状態異常完全無効 物理魔法耐性UP ステータスUP
称号
ジェード王国第2王女 ドライトの祝福 龍の祝福を受けし者
【】
『』
【ど、どうするんですかこれ!?】
『よし!黙っとこう!』
【鑑定したらバレますって!】
『ぎ、偽装しとくか?』
【い、いや無理でしょう、ドライト様が離れれば効果消えますから】
そんな事を話していると、、、
「あ、あのぅ?」
『な、なにかな!?』
「慌てているようですが、もしかして何もつかなかったのですか?」
っとウルウルしながら聞いてくる。
『い、いやバッチリついたぞよ!』
【ぞよ!?】
「そ、そうですか、、、私にも加護が!」
俺は本来の幼龍の姿に戻りながら、どう答えるか迷ったがとにかく加護ではない事を言う事にした。
『い、いや、加護とちょっと違う物がついてですね』
「しゅ、守護ですか?いえ、それでも十分です!」
『い、いえですね?』
「ド、ドライト様な、何か問題でも?」
そう聞いてくる彼女見ながら俺は考えたこの美幼女、キャロリンに祝福がついてて問題があるのか?
ほぼ亜神になってても、それに何の問題が?
美幼女は世界の宝、守られるべきである、そして今の彼女は自分で自分を守れる力を手に入れた、つまり問題ナッシング!
『何も問題ありません、ついでにこれも差し上げましょう』
「こ、これは、、、笛、ですか?」
『はい、世界樹の枝から削り出した物でそれを吹けば私が気が向いたら行きます』
「気、気が向いた時だけですか?」
『はい、ただし何か美味しい物を用意してあると確率が上がります』
「は、はぁ、、、」
『なんにしろこれであなたの願いもかなったのです、夜の森は危険ですよ?迎えも近くまで来ているようですし、お送りしましょう』
「は、はいドライト様色々とありがとうございます!」
『いえいえ、礼には及びませんよ』
こうして俺はキャロを迎えの近くまで送り届け、キャンプ地へと向かったのだった。
『ジェード、、、』
『い、いやテレサ言わなくても良いから』
『あの子、、、キャロリン私達より神格高くなってない?』
『言わないでってば!』
色々問題を残して、、、
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