幼龍編 父様
やあ!森林浴中のドライトさんだよ!
同族のシリカ姉、サルファ姉、リア姉、アンジェ姉さん達が来てから1ヶ月、ま、まぁ平和だよ!
アーゲートさんは里に帰っちゃったんだけど4頭は何故か残って隣の枝に巣を作って生活し始めたんだ。
呼び方は皆がこう呼びなさいって言われたから呼んでるんだけど、一番幼いアンジェだけがさん付で違和感が半端がないよ!
そして俺は北東の森で、1人でぼーっと森の中に立ってるのさ!
なんで1人で世界樹じゃない北東の森の中に立ってるのかだって?
それはこういう事さ!
『振り落とされた、どーすんべ、、、』
話しは今朝にさかのぼる、母様が湖に水浴びに出かけると言うと女子勢がわれもわれも、っと皆が行ってしまい残った父様が俺に話しかけてきたのだった。
「ドライト、珠遊びも良いが本格的な狩の訓練もした方が良いのではないか?」
「ほんきゃくてきでしゅか?」
「うむ、我ら龍族は基本は空から獲物に襲いかかる、外に出て空中からの襲撃方法も学んだ方が良いだろう」
「はぁ、、、」
「よし、我が狩りに連れていってやろう!」
「おことわりしましゅ!」
「何を軟弱な!」
「いえ、かりゅにはいきたいでしゅ、でもとうちゃとだといやでしゅ」
「、、、おろろーん」
すると、ガンジス祖父ちゃんが来て、
「ドライト一緒に行ってあげなさい」
っと言い出した。
「で、でもでしゅね?」
「ディアンは力の強い龍じゃぞ?ディアンと一緒なら心配あるまい?」
うーん、ディアンと一緒だから心配なんだけどなぁ、、、
「たまには父に甘えてやりなさいドライトや」
ガンジス祖父ちゃんが言うならしょうがない、、、
不安でいっぱいだけど行ってみるか。
「わかるましゅたとうちゃ、かりゅのやりかたおしぇてくだしゃい」
「おお!息子よ!さぁ、父に掴まるのだ!」
こうして、狩場の平原に向かったのだが、、、
「とうちゃ!とうちゃ!」
「ハハハ!速かろう!」
い、いや速いけど、風圧で体が!
「と、とうちゃあぁぁ!?」
「ハハハハハハ!」
やたらと硬くてツルツルする父様の龍鱗に手をかける所が無い、今までなんとかしがみついていたが、、、
ツルン!
「ああぁぁぁぁ!」
こうして、俺は途中下車してしまったのだ。
『うーむ、こんな森の中に1人とは、、、どーしようかなぁ〜♪』
【待てこら、何故平原の上で落ちたドライト様が森の中に居るんですか!】
『偶然って怖いな!』
【飛んでディアン様を追いかけ始めるかと思ったら、真っ直ぐにこの森に向かってきといて何言ってるんですか!】
『実は羽を痛めていてだな』
【森に向かって、めっちゃ速く飛んでましたよね!?】
『振り落とされてしまったものはしょうがないだろ!』
【それはそうですが、、、しかしなぜ森に?】
『良い素材が有りそうな森だから見た瞬間来たくなって手を放したんだよ』
【わざとじゃないですか!】
『どっちにしろ父様のあの勢いじゃ、もって後1分だったからな』
【は、はぁ、、、とりあえずセレナ様に連絡しますね】
『待った!母様にはまだ連絡しなくて良い!』
【セレナ様が心配なされますよ?】
『森の探索が終わるか、向こうから連絡が有ったら居場所を知らせれば良いよ、夕方には探索も終わるだろうし、そしたら帰るわ』
【はぁ、、、良いんですかね?】
『なんなら、俺が母様に伝言残しとくから』
【はぁ、、、(大丈夫でしょうか?)】
『さてと!探索探索!』
【お待ちください、一応偽装しといた方がよろしいでしょう】
『ん?なんで?』
【龍とは言え、ドライト様は幼龍です幼龍が居ると分かれば愚か者が捕まえようとしてドライト様に危害を加えるかも知れません】
『んー、そこまで心配する事かな?防御力だけなら一人前だし危害があるとしても、かすり傷程度だろ?』
【かすり傷でセレナ様や祖父祖母の龍神様達が大陸を沈めると言う歴史が生れるかも知れませんね】
『偽装は異世界転生でデフォだよな!しっかりやらないとだな!』
こうして俺は灰色のベビードラゴンに偽装して採集を始めたのだった。
その頃、黒龍ディアンはと言うと、、、
「フハハハハ!ドライトよ、父の勇姿をよく見ておくのだぞ!」
息子を落としてしまった事に気がつかずに狩りをしていたのである。
そして一方白龍セレナ達は、、、
「ド、ドライトが居ません!どう言う事ですか!?」
「落ち着けセレナ、ディアンが狩りを教えると北の平原に行ったのじゃ」
「な、なんて事を!心配です私もすぐに行きます!」
「セ、セレナ殿、バカ息子も父としての自覚が出てきたのじゃ、堪えてくれんか?」
「セレナ?あまり縛り付ける様な事は慎みなさい!」
「いいえ!危険です!すぐに探しに行きます!!」
シリカ達はセレナの勢いに唖然としていたが、そこにディアンの母であるヌーマがセレナに賛成した。
「、、、皆!北に向かいましょう!今からなら間に合うかもしれません!」
「ヌ、ヌーマまで何を、、、」
「アホとは言えディアンがついてるのじゃ、問題なかろう」
「ヌーマ、父の狩りの姿を見せるのもドライトには必要なのですよ?」
「いいえ、皆分かっていないわ!」
「何をじゃ?」
「息子はアホよ、、、それも並大抵アホじゃなく特大のよ!?その息子しか一緒に居ないのだからこそ心配なんじゃないの!」
この発言によって第2次ドライト捜索隊は結成されたのであった。
そして皆飛び出すが、最年少のアンジュラは卵を守る為に残るのであったが
「皆、、、ドラちゃんから伝言が有るみたい、、、行っちゃった、、、」
伝言に気がついたアンジュラが残ってしまった為に捜索隊も迷走するのであった、、、
「フハハハハ!ハァハハハハ!ドライトどうした!黙ってないで褒めても良いのだぞ!?ドライト?あれ、、、?」
こうしてアホもやっと気がつき慌てて探し始めるのであったが慌てすぎてセレナに連絡するのも忘れてしまっていた。
父の自覚に目覚めドライトを可愛がり始めたディアン、若手最強と言われ前龍王ガンジスから龍王の座を譲ってもらった現龍王。
だが、実に残念なアホであった。
『ヌハハハハ!素材がザクザク採れて笑いが止まらんがな!』
【ドライト様向こうにも反応が!】
そしてこっちはこっちで様々な自然の恵や魔物の素材に夢中になり、母からの連絡に気づきもせずとんでもない勢いで森を飛び回る。
ディアンとドライト、、、実に似た者親子であった。
「ド、ドライトォォ〜!何処だぁ〜?隠れてないで出てきなさい!」
必死になりドライトを探すディアンの元にセレナ達がやってくる。
「貴方!ドライトはどこ?どうして通信にでないの!?」
「セ、セレナ!ドライトが居ないのだ!俺の背中に居たはずなのに!ドライト〜出てきてくれぇぇぇ〜!」
ヌーマの予想したとうり、事態は緊急を要すると感じ皆が飛び出そうとしたがそこにシリカとサルファが立ち塞がる。
「「お待ちください!皆様方!」」
「おろろーん、、、ドライトードライトー!」
ディアンの狼狽ぶりにセレナはディアンが本気でドライトを心配してると知って、父としての自覚がやっと芽生えてくれたのだと、嬉しくなるが同時にまたも行方不明になったドライトが心配でたまらなかった。
「ディ、ディアン様は落ち着いてください」
「ディアン様ドライトが居なくなったのに気がついたのは何時頃なのですか?」
「昼前にある程度狩りをしたのでドライトの反応を見ようとしたら、、、ドライトォォ、おろろーん!」
「は、早く捜索に出なければ!」
「そうよ!不埒者がドライトに危害を加えるかも知れないわ!」
「な、なんじゃと!」
「グガァァァァ!その様な者この龍王ディアンが魂ごと噛み砕いてくれるわ!」
「すべてを滅ぼしても探しだします!ドライト待っててくださいね!」
「お、落ち着きなさい!シリカ、サルファ何か意見が有るんじゃないの?言いなさい早く!」
今にも辺り一面をブレスで破壊しかねない面々を止めながら落ち着かせる為にシリカとサイファを促すレムリア。
「は、はい、この様な平原でディアン様がドライトを見逃すとは思えません、別の場所に居るのでわ?」
ドン引きしながらもシリカが答えサルファも続く。
「ディアン様ここまで飛んで来られた時は異常はなかったのですよね?」
「う、うむ、と言うよりかなりの速度で飛んできたから異常が起こる時間も無かったはずだ!」
「あ、貴方?」
「な、なんだセレナ?早くドライトを探しに行こう!」
「かなりの速度なら結界を張っていたのでしょ?ドライトは結界の中に居たのでは?」
「、、、あ!結界張り忘れてた!」
1時間後
「ハァハァ、、、け、結界が無かったせいで途中でドライトは落ちたのね、、、」
「ハァハァ、、、だ、だとするとかなりの広範囲になるな、、、」
「ハァハァ、、、み、皆手分けして探しましょう、、、」
「ハァハァ、、、う、うむ、じゃがどこかの方角を重点的に捜索した方がよかろう、、、」
ボロボロになり打ち捨てられたディアンの周りで捜索する場所の担当を決めようとした時になり、ますますドン引きしたシリカがアンジュラからの通信に気がついた。
「ア、アンジェどうしたの?、、、へ?ドライトからの伝言が届いてる!?」
「ドライトの事!?「何だとぉぉぉ!」あ、貴方!?」
「は、早く聞かせてくれ!」
「は、はい、えっと、、、」
『母様、祖父ちゃん祖母ちゃんに姉様達元気ですか?私はとてつもなく元気です!
父様は大怪我してるかもしれませんが元気に生きてください、話は変わりますが私はある森で森林浴を楽しみながら森を散策中です。
この森は色んな素材が有り勉強にもなりま、、、ヌハアァァァ!こ、こんな貴重な物まで!あ、、、も、もー楽しすぎて当分採集をしてようかと思います。
それでは最近また暑くなり始めましたがお元気で。
PS:1ヶ月ほどで帰りますからご心配なく ドライトより。』
「「「「「」」」」」
「、、、シ、シリカ姉様、そ、それ本当にドライトからなの?」
「うん、、、間違いないわ、、、みんな心配してると言うのにドライトったら」
「素材が豊富って北東の森かな?」
「多分そうね、、、み、皆様方、北東の森に居るようですし迎えに行きましょう?」
「そ、そうね、、、」
「ドライト、1ヶ月も離れ離れなど許しませんよ!」
「ドライト今すぐに父が迎えに行くから待ってるのだぞぉぉぉ!」
こうして俺を追って皆も北東に向かうのであった。
そして、皆もこちらに向かってるとは知らずに探索と採集に夢中な俺は大陸の東にある大国ジェード王国に近づいていくのだった。
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