卵編 同族

白い、、、



覚醒しつつ、何時もの世界を見回す。

最近見える様になった自分の眼が龍の眼の把握能力によって認識できた時と変わらない、

何時もどうりの白い世界そして、黄色や赤色に青色、そして緑の色が大小2つ見えた。


、、、え?


いや、ちょっと待てよ?白色以外になんか他の色があるんですけど!?

何時もと違ってるよ!

な、なに?ほんとに何なの!?っと混乱していると話し声が聞こえてきた。


「父様この卵がそうなんですか?」


「ああ、この卵が現龍王の初子だ」


「はぁ、、、」


「へぇ〜!」


「おー、、、」


な、何事?姿は人っぽいけど、、、龍珠さん以外に誰か人(?)が居る?

こ、こりゃ非常事態じゃ!?


『龍珠さん!龍珠さん!!』


【おはようございますドライト様どうかなさいましたか?】


『外、外!外になんか居るって!』


【はい、現在緑龍族の長が自分と他の一族の子供達を連れてドライト様に会いに来られています】


『な、なんだ同族さん達か、なら大丈夫だよな、、、?』


っと考えていると皆がこちらに近づいてくるのを感じた。


「おっちゃん、そろそろ孵るんだろ?これ」


「ああ、そろそろ10年になるからな、前に見た時より力を感じるし今すぐ孵るかもしれんな」


「おじ様、今すぐ孵るってディアン様とセレナ様は新婚旅行中では?大丈夫なのですか?」


「ああ、まだ当分は孵る気配が無いからと旅行に行ったのだが、、、急激に育っている様だな、、、」


「へー今すぐ孵るかも、か、、、」


ん?なんか赤いのがさらに近づいてくる、、、なんか嫌な予感が、、、


「ほーら、孵りなー!」ゴンゴン!


いやぁぁぁぁ!何してるのこの人!卵外から割ろうと叩いてるんですが!?

しかも、音が響いてウルセェェェェ!


『緊急防御発動!』


俺がそう念じると白い世界の輝きが少し増し、ヴヴヴゥゥゥゥっと唸るような音がしたと思った瞬間、、、

バチィィ!っと電撃が走った!


「いてぇぇぇぇ!」


っと赤いのが飛びのくそして、、、ゴス!っと鈍い音が聞こえた。


「あ、頭がぁぁぁぁ!両方いてぇ!?な、何するんだよ、シリカの姉御!」


「何するんだ!じゃないでしょう!!」


「今のはリアが悪いわぁ、、、見なさいあのアンジェがドン引きしてるわよ」


「今のは流石に引いた、、、」


「ううう、サルファ姉にアンジェまで、、、ってかおっちゃん!

この卵いきなり雷撃食らわしてきたんだけど!ほんとに寝てるのこれ!?」


しっかり起きてるよ!

お、恐ろしい事しやがって!

防御発動してなかったらどーなってた事か!殻にヒビはいってないだろうな?


「そりゃ割ろうとしたんだもの、、、龍珠が攻撃してくるのも当たり前でしょう?ねぇ、父様」


「あ、ああ、、、?」


攻撃したのは俺だぞ!


「、、、おかしいですわねぇ?」


「サルファどうかしたの?」


「シリカ姉様、あの程度の事で龍珠が攻撃してくるはずないんですけど?」


「へ?だって割ろうとしたんだから卵を守る為に龍珠が攻撃してくるの当然でしょ?」


「あの程度で割れるわけありませよ、ですから龍珠もおとなしいじゃないですか、、、」


「あら?本当だわ、龍珠に変化は無いわね?」


「シリカ姉様、サルファ姉様、今の電撃、卵から出てた、、、」


「いや、だからこの卵に雷撃食らわされたんだって!」


「なに?」「へ?」「うそ?」


リアってのかお前!また近づいて来たらもっと強力なの食らわせるからな!

再度意識を集中させ念じるとヴヴヴゥゥゥゥっとまた低く唸る音が鳴り、卵の表面に雷がまとわり始める。

しかもさっきより明らかに強力な雷撃だと言う事が判る。


「わ、わぁ!」


赤いのが遠のいたので集中を解く、すると音が止まり卵の周りと表面にまとわりついていた雷も霧散する。


「ま、まさか意識が有るのか?」


「父様まだ卵ですよ?そんなまさか、、、」


「おじ様シリカ姉様、今の魔力の動きは明らかにこの卵からです。」


「、、、集中すると少し意識を感じる 、、、何考えてるかまでわからないけど」


「こ、こいつまだ卵なのに魔法使えるのかよ!」


卵だからってなめんなよ!

俺は意識を集中させるとまた魔法を発動させる。


「む!?気をつけろ!」


大きい緑が警戒する様に言うが次の瞬間!

パシャ!っとリアから水の音がする。


「な、なんだカーネリアが水かけられただけか、、、カーネリア大丈夫か?」


「、、、すっぺえぇぇぇ!?しかも目がいてぇぇぇぇ!」


「リ、リア!?」


「こ、これお酢だわ!」


「この子頭良い、、、」


馬鹿め!ただの水だと思い目を閉じないからだ!


「ア、アンジェ落ち着いてないで洗って回復!早く!」


「、、、分かった」


近くで魔力の動きを感じ、ザーっと水の音がする。


「父様、明らかにこの卵が魔法使いましたね、、、」


「ああ、ここまで出来るとなると自我がすでに芽生えているな、、、」


ざまぁ!っと喜んでいると龍珠さんが話しかけてきた。


【ドライト様まずいですよ?】


『ん?なんで?』


【自我が有ると言う事は孵化が近いと言う事です、そうなると確実に緑龍族の長はディアン様とセレナ様をお呼びになるでしょう】


『、、、母様に会えるんだから、良い事じゃん?』


【ディアン様も帰られます、新婚旅行を邪魔されたディアン様がどんな行動にでるか、、、】


『あ、、、存在自体忘れてたわ!ど、どーすんべ!?』


すると周りが騒がしくなってきた。


「おじ様、ディアン様とセレナ様をすぐにお呼びした方が、、、」


「ああ!それでこの子のしつけについて話し合わせろ!」


「リア、貴女の場合は自業自得でしょうに、、、」


「、、、割ろうとしたのセレナ様にバレたら凄い怒られると思う」


「うーむ、二人を呼ぶか、、、」


げ!やばい!

母様に会いたいけど父様は新婚旅行邪魔しやがってっとネチネチ絡んできそうだ!

そんなの面倒くさいから嫌だ!


【私が誤魔化しますか?】


おお、龍珠さんなら誤魔化せるかも!

善は急げと俺はすぐに返事を返した。


『先生、お願いします!』


すると龍珠から全方位に念話が送られた。


【アーゲート様、お嬢様方】


「む?ドライトの龍珠か?」


【はい、このたびは、我が主ドライト様が申し訳ありませんでした】


「ホントだぜ!雷撃はビリって痛いわ、お酢は目に染みる「リア、貴女は黙りなさい」はい、シリカ姉」


「龍珠よドライトの自我が形成されているのに何故親を呼ばない」


『ディアンがめんどいからです』


【ドライト様は自我はある程度形成されていますが、まだお呼びする段階まできておりません】


『そうだ、まだ食っちゃ寝させろ』


「魔法を使うのにか?」


【はい、先ほどのは偶然目を覚まされていて突然外部からの接触が有ったので驚いて魔法が発動してしまったのです】


『いきなり卵割られようとすれば誰でも驚くがな!』


【(ドライト様ちょっと黙っててください)】


『すいません、、、』


「偶然であの様に煉られた魔法を使っと言うのか?」


【ドライト様はセレナ様の御子様です、たやすい事かと】


「むぅ、、、」


「、、、この子、意識が消えた気がする」


「む?アンジュラ本当か?」


「うん、、、たぶん、、、」


お?大人しくしてれば気付かないのか?

ちょっと息を潜めてみるか、、、


【(気配を消して息を潜めて、寝ているフリをしていてください)お眠りになられたようですね】


「ぬぅ、、、」


【それに新婚旅行を邪魔するとディアン様が五月蠅いですよ?】


「う、そ、それは確かにそうだな、、、」


【適当な時期が来れば私がシッカリとご報告します】


「そうだな、本来卵を守護し導くのは龍珠の役目だしな、、、」


【はい、私にお任せください】


「そうだな、、、そうするか、、、」


「受け応えするなんて随分優秀な龍珠ね?」


「シリカ?」


【シリカ様私はディアン様、セレナ様そして御二方のご両親に祖父祖母方達の力で創られた龍珠です、他の物とは能力が違います】


「ふーん、、、まぁ、あなたがドライトに危害を加えるとは思わないけど、、、」


【もちろんです、その様な事をするなど私の存在意味を根底から覆すようなものです】


「、、、そうね、父様、皆帰りましょう?ドライトまたね?」


「ふむ、、、帰るか、、、」


「そうですね、眠られたのなら騒がしくしない方が良いですし、、、」


「くっそー何時かギャフンと言わ「「リア?」」すいませんシリカ姉にサルファ姉分かったから睨まないでよ、、、じゃあな!ドライト!!」


「ドラちゃん、また、会いに来る、、、」


そしてアーガートと彼女達は光り輝くと人形態から龍の姿に戻り、飛び立った。


【ドライト様行ったようですよ?ドライト様?】


寝てますね、お疲れ様でしたドライト様良い夢を、、、


こーして寝落ちした俺は夢の中で何度も卵を割られる夢を見たのだった、、、

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る