卵編 孵化
やあ!白く輝く卵の中から、転生龍のドライトさんが今の状況を、お送りするよ!
『出れねえよ!』
いや、同族が来てさらに3ヶ月、龍の自我に目覚めてから半年ほど経ったんだけど、
その間にさらに色んな知識や情報、能力を龍珠さんにインストールしてもらったり、
報告受けて心配した母様が様子を見に来たり(ディアンは早く旅行先に戻りたくて上空を飛んでた)、
また、同族さん達が押しかけてワアワア騒いでたり(俺寝てたけど)色々あったんだけどさ、
もう孵化していいって龍珠さんが言うから孵化しようとしたんだよ。
孵化できないのよ、、、
何故かって?君達は、卵の孵化見た事有る?
卵が孵化する時って当たり前だけど中から殻を割って出てくるんだよね、
で、その時大抵は嘴くちばしや角などの硬い部分を使って殻を割るんだよ!
つまり、硬い部分を動かし叩きつけるんですよ殻に、
んで、叩きつけて割れた部分から無理矢理出る!ね?簡単でしょ?
え?だったらその簡単な事してさっさと孵化しろ?
いやいやいや、皆さんも何か叩いてみれば私が何故出れないのか分かりますから、
では、皆さんお近くの何かを手で叩いてみましょう!
では、せーのっ!バン!
解りましたか?解りましたよね?え!?まだ解らない!?
じゃあ、私の言う通り動いてみましょう!
右手を上げる右手を勢い良く降ろす!
バン!
良いですよ~
手上げて降ろす、本当に簡単ですよね?
タダですね?上げて降ろすと言う動作をする為には動かすスペースが無いと動作ができないんですよ!
まぁつまり何が言いたいかと言うとですね?
『育ちすぎて卵の中にミッチリと詰まってるんだよ!ちくしょう!』
やべぇ、育ち過ぎた、、、
【いや、ドライト様太り過ぎですよ、、、】
『おろろーん、龍珠さんだってドンドン食べて育ちましょうって言ってたやん!』
【いや、限度は考えましょうよ、、、】
『ううう、この前リアに割られそうになった時にヒビでも入れといてもらえば良かった、、、』
【何言ってるんですか、、、】
事の起こりは今考えると1ヶ月ほど前の龍珠さんの言葉からだった、、、
【ドライト様そろそろ、エネルギーの吸収方法を切り替えましょう】
『へ?どー言う事?食べ物を別にするって事?ってか、食べ物全然口にしてないんだけど?』
【卵ですから直接口から摂取している訳ではございません】
『そーいや、俺ってば何食って生きてんだろ?卵に居るから、
何か栄養的な物も一緒に卵の中に入ってると思ってたけど違うの?』
【最初期はそうですがドライト様が自我を取り戻した辺りから、
魔力を摂取して生命の維持と強化育成、様々な情報等のインストールの時の代償にしてました】
『へー、んじゃ今まで魔力で生きてきたけど、これからは他の物にするって事か』
【はい、これから魔力の元でもある魔素を吸収しましょう。
今から魔力と魔素の違い、魔素の吸収方法等々インストールしますのでそれを元にしてください】
おお、キタキタキタ、、、
フムフム、魔素ってのは魔力の元なのか、んで魔素の元は混沌と秩序の塊ってやつなのか、、、
それでこの混沌と秩序の塊ってのは原始の神々と龍神達が世界を構築した時に使ったらしいんだけどその時大量の混沌と秩序の塊が砕けて、魔素になったっと、、、
その後構築した世界に魔素が入り込んだ事が有って、神々と龍神達は慌てて処理しようとしたら更に砕けて魔力になったっと、、、
そしたら妖精や精霊達が魔力を精霊魔法の代償に使える事に気がつきそれをエルフ達に教え、
さらにハイエルフ達が魔力で魔法が仕える様にして、
人の賢者が魔素を研究して魔術や魔道具に使える様にし、皆が神々と龍神達の贈り物だと感謝した。
神々も龍神達も勝手に信仰心と貢物が増えて「ラッキー!」っと混沌と秩序の塊を砕いて魔素と魔力を世界に流入させるシステムを創ったと、、、
『ラッキーって、、、』
ま、まぁ気にしたら負けだな、、、
んで龍族とこの三つの関係は元々龍達は混沌と秩序の塊をも、そのままエネルギーに変えてたらしい、
ただ卵や幼龍にはあまりよろしく無い様で親の体を通してあげてたみたい。
それが卵には魔力が幼龍には魔素が良いと気付き、本来混沌と秩序の塊の中で卵や幼龍を守らせる為の龍珠に混乱と秩序の塊を魔素や魔力に変換して与える機能をつけて楽が出来る様になったっと言う事らしい。
んで、なんでふと、育ったかと言うと単純に魔力より魔素を吸収した方が美味いって言うか、体が喜ぶって言うか、、、
つまり調子のって吸収しすぎた結果が今の体って事です。
(龍珠っていろんな機能が有ってパソコンみたいだな、、、俺のはウィルスに感染してるけど!w)
【、、、ドライト様、今何か失礼なこと考えてませんでしたか?】
『ハッハッハッ、ナニヲコンキョニ!』
【、、、ドライト様】
『おう!何かな?』
【ソーセージ見たいで笑えますよ?w】
『ウオオォォォォ!いい度胸してるやんけ!?』
【ドライト様こそウィルスに感染したパソコンってどー言う意味ですか!?】
『そんなのぶっ壊れてるって意味に決まってるやろー!』
ワーワー!ギャーギャー!、、、
『い、今はそんな事で揉めてる場合じゃなかったな、、、ハァハァ、、、どうやって孵化するかだったわ、、、ハァハァ、、、』
【そうですね、一番簡単なのが放置する事です】
『それってもっと大きく育って自然に卵が割れるの待つとか言わないよな?』
【よく解りましたね?1ヶ月も有ればできますよ?】
『却下!』
【何故ですか?】
『時間かかりすぎだし、その間動けないだろうが!さっきから背中が痒いんだよ!』
【はぁ?】
『すぐに出られないって思ったら急に痒くなっちゃって、あー痒い!』
【性格だけじゃなく体まで難儀なんですね】
『いやぁ、それほどでも、、、』
【、、、】
『とにかく何とかして孵化するぞ!』
【はぁ、、、なら、とにかく動いてスペースを見つけるしかないですね】
『それしか、ないか、、、』
こうして俺の卵からの孵化作戦が始まったのだった、、、!
『とりゃあぁぁぁぁ!』
『でやぁぁぁぁ!』
『あちょぉぉぉぉ!』
『ふんがぁぁぁぁ!』
『ディダラボッチー!』
【ディダラボッチ!?】
『あっはーん!』
【真面目にやらないなら諦めたらどうですか?】
『いや、卵にヒビが入るどころか動く事もできないんでつい、、、』
【もー諦めて1ヶ月寝てればどうですか?】
『育ったせいかそんなに寝れなくなったし、ギューギューで動けない体制のままでいるのは辛すぎる!
ってか龍珠さん外から割ってくれない?』
【私はドライト様に攻撃できない様になっていますので、、、セレナ様をお呼びするのはどうですか?】
『母様呼んだらアホ(ディアン)がセットで付いてくるやんか!この前来た時だってウザいどころか新婚旅行を邪魔しやがってと俺に殺気向けて来たんだぞ!?』
【そー言えばそうでしたね、では、なんとか動けるスペースを見つけるしかないですね】
『それしかないか、、、ってか少し肌寒くなってきたな、、、龍珠さんサボってる?』
【何言ってるんですか、ドライト様が孵化した後に困らない様に体を慣らしとくため、
起きてる時はエアコン機能止める様におっしゃったのではないですか】
『そー言やそうだった、、、龍珠ってパソコンって言うより超便利な家電って気がしてきた、、、』
【ドライト様?】
『い、いや、エアコン機能とか食事の用意とか色々機能有るからさ、ってかマジでさっきまでポカポカしてたのに急に肌寒くなってきたな』
【もう、夕方ですからね薄暗くなってきましたし】
『あーもうそんな時間なのか、、、結構頑張ったんだけど今日は無理そうだし、もう休むか、、、』
【結構遊んでた気もしますが】
『とにかくもー寝、ね、ね、、、ハックション!』パキン!
『お?』【おや?】
割れてる、、、
そっと割れてる部分に向けて体を動かすと、あっさりと卵にますますヒビが入り割れていくのだった、、、
そして、割れた部分から美しい夕焼けが見えると共に新鮮で澄んだ空気が入り込んでくる、、、
こうして俺は誕生し異世界に飛び出したのだった、、、
【クシャミで飛び出すとか、体型見てるとハクション大魔王みたいですねw】
「うぉぉぉぉ!マジ切れたでー!!」
俺の誕生1日目は不毛な言い争いで終わったのだった。
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