4話「偏差値10の俺が《半月》の四天王に勝てたワケ」

 とりあえず縛り上げた《最速》の四天王を《王都から出て右の村》に預けた龍一とミシェルは、あらためて《魔王城》への道を進んだ。

 

「ミシェル、今度はちょうちょを追いかけたりしちゃダメだぜ」

「リュウ!もう!」


 二人は幸いにも道に迷うこともなく林を抜けることが出来た。

 林の先にあったのは小さな村だ。まばらに家が立っており、外を歩いている人の姿もいくつか見かけられる。

 だが、どうにも活気がない。

 よく見れば、何件かの家の壁には何かで斬りつけたような傷がついている。

 村を囲う柵も、ところどころ壊れていて意味を成していない。人々の表情も、どことなく沈んでいるように見える。


「どうしたのかしら……みんな、元気がないけど」

「わかんないから聞いてみようぜ!あ、そこの人、ちょっといいか?」


 龍一は切り株に腰掛けてうなだれている老人に声をかけた。

 声をかけられて初めて龍一とミシェルの存在に気づいたのか、老人はビクリと身体を震わせて顔を上げた。

 怯えた目で龍一とミシェルの姿を確認すると、緊張の糸が切れたように脱力し笑顔を浮かべた。


「ええっと……申し訳ありません、どなたでしたっけ?」

「俺は龍一、こっちはミシェル。さっきこの村に来たんだ。なんだかみんな元気がないみたいだけど、どうしたんだ?」


 龍一の言葉を聞くと、老人は深くため息を吐いた。


「ああ、それはそれは……。今この 《林を出てちょっと先の村》に来てしまうとはお二人とも運が悪い。悪いことはいいません、今すぐ引き返しなされ。今から戻れば、たぶん夜辺りには《王都から出て右の村》につくことができるでしょう」

「戻れって、そういうわけにはいかないぜ!俺はこの先に行って《四天王》を倒さなきゃならないんだからな!」

「《四天王》を……倒す……?お若い方、悪いことは言わない。そんな夢物語を語るのはよしなさい。《四天王》の恐ろしさを知らないわけではないでしょう?とても強くて、我々には想像もできないほどたくさんの数を数えられる……挑むだけ、無謀なことです……」


 半ば諦めをにじませながら、老人はたしなめるように龍一に告げた。

 龍一は反論しようとしたが、それよりも先に言葉を挟む者があった。ミシェルだ。

 

「無理なんかじゃないわ!リュウなら、絶対できる!《最速》も《無双》も倒せたんだもの!残りの……えっと……」


 ミシェルは少し悩んでから指を四本立て、二本折った。


「残りの二人も、倒せるに決まってる!」

「四天王を二人も倒したですと……!?ほ、本当ですか!?」


 老人は驚愕の目で龍一を見た。先ほどまでの諦めに満ちた目とは違う、光の戻った目だった。

 龍一は自信有りげに頷いた。


「おう、倒したぜ!だから爺さん、教えてくれよ。一体、この村に何があったんだ?」


 龍一の言葉が終わるか終わらないかのところで、老人はすがるように叫び出していいた。

 

「お願いします、この村を助けてください!この村は……《半月》の四天王に狙われているのです……!」

「四天王か!任せてくれ!で、《半月》ってどんなやつなんだ?」


 龍一の問いかけに、ミシェルは首を傾げた。


「ええっと、すごく強くて賢いけど、自分の領地から出てこない。って聞いてるけど……」

「この村の先の森が《半月》の領地なのです……。普段は森の奥に引きこもっているのですが、気まぐれに姿を表しては村を荒らしていきます……。村の外に貢ぎ物みつぎものを置いておけば荒らされないこともあるのですが、荒らされることもあって……我々はもう、限界なのです」


 老人はそう言って、力なく切り株に腰をおろした。

 龍一は老人の手を強く握った。


「わかった。後は任せてくれ!」

「おお……おお!ありがとうございます!」


 老人は龍一の手を握り、涙を流しながら礼を告げた。

 

「リュウ、気をつけて。《半月》は本当に凄いって聞くわ……あなたが負けるとは思わないけど……」

「大丈夫だぜ、ミシェル。俺は絶対、負けないぜ!」


――――


 半分の月が、村を照らしていた。

 《半月》が現れるのは大抵夜だということで、龍一とミシェルは村の入口で寝ずの番をしていた。

 

「それにしてもミシェル、昼間は驚いたぜ。まさか引き算ができるなんて」

「《ひきざん》?」

 

 耳慣れない言葉にミシェルはきょとんとした。


「ほら、あれ。残りの四天王を数える時、四本指を立てて二本倒して、ってやってたろ?あれを引き算っていうんだぜ」

「そんな名前があるんだ!私はただ、リュウが指で足し算をやったみたいに、こうやったら数えられるかな、って思って……」

「そりゃ凄いぜ!自分で引き算を思いつけたなんて、普通は出来ないぜ!」


 龍一に褒められて、ミシェルは頬を赤くした。

 とりとめのない会話をしていた二人だったが、突然、龍一がピタリと喋るのを止めた。


「リュウ?」

「しっ……ミシェル、何か聞こえないか?」


 ミシェルが耳を澄ませてみると、たしかに何か、さっきまで聞こえていなかった音が聞こえた。

 それは草木を踏み潰すような音に、シャーっと、まるで何かがこすれるような音。そして荒い息遣いだ。


「リュウ……」

「ミシェル、下がっててくれ。来るぜ」


 龍一に促されて、ミシェルは家の影に隠れた。その直後、それは現れた。


 チリンチリーン


 と音を響かせながら森の中から現れたのは、二つの丸いものが縦に並んだ鉄の固まり――自転車と、それに乗る巨大な影だ。

 人間よりもずっとずっと大きいそれは、全身が黒い毛皮に覆われ胸にはまるで半月のような白い半円形の模様が合った。

 そして頭は熊だ。

 というか、全身がどう見ても熊、ツキノワグマだった。

 自転車を漕ぐ熊は、村の前でぐるり、と円を描いてから止まると、器用に自転車を止めてのしのしと村の中に向かって歩いてきた。


「あれは……あれが、《半月》の四天王!?見ているだけで震えが止まらないわ……」

「すげえ!自転車に乗る熊なんてサーカスでしか見たことねえぜ!」

 

 龍一には知るよしもないことだが、この熊――《半月》の四天王はまさにその《サーカスの熊》であった。

 どこにでも居る平凡なサーカスの熊だった《半月》は、所属していたサーカスの解散が決まったため、薬物による安楽死をされるはずだった。

 だが、目を覚ました《半月》は愛用の自転車と共にこの世界に飛ばされていたのだ。

 その後、《半月》はその圧倒的なパワーと熊の域を越えた知力を駆使して森の主として君臨していた。

 長い間、この熊は人間にも魔族にも協力していなかったが、魔王が餌付けすることで魔族と和解。《半月》の四天王となったのだ!

 ということを説明する言語能力は《半月》にはなかったので、龍一もミシェルもそんなことはわからなかったが。仕方ない。《半月》はただの賢い熊なのだ。喋れない。

 のし、のしとゆっくり四肢を動かしながら《半月》は龍一に向かっていく。龍一は《聖剣》を抜きもしない。


(どうして動かないの、リュウ……まさか……あの四天王が怖くて動けないの……!?ど、どうしよう、助けなきゃ……)


 龍一と《半月》の姿を見てミシェルは混乱していた。

 当然である。今までの四天王は頭が牛だったり耳が尖っていたりしたが、それでもどこか人間に近い姿をしていた。

 だが《半月》は熊なのだ!怖くなっても当然であった。


(どうしよう…………そうだ!『あれ』なら!)


 《半月》は龍一まで後数歩の距離に近づいてきていた。

 猶予はない。ミシェルは意を決して家の影から姿を現した。

 ミシェルは思いっきり息を吸い込んだ。そして


「『あっ!』」


 と、《半月》の背後を指差しながら叫んだのだ!これは《最速》の四天王の技だ!

 確かにこの方法なら、相手が後ろを向いている隙に龍一を助けることができる。今までの経験を活かした、ミシェル渾身の頭脳プレーであった。


――だが、それが通じるのは並の相手の場合のみ。

――そして、今の相手は《半月》であった。


「グルルルル……」


 唸り声を上げながら、《半月》はミシェルに視線を向けた。後ろなどちらりとも見もしない。

 当然である、《半月》は熊なのだ!いくら賢いとはいえ、誰かが「あっ!」と言って指を差したらそっちの方向に何かがあるとか、そういう認識がそもそもないのだ!

 《半月》にあるのは、ただ大きな音を出した方を見るという認識だけだった。


「ひっ!」

 

 《半月》は龍一から興味を失い、ミシェルへと向かってきた。

 ミシェルは逃げようとした、だが、尻もちをついてしまい、立ち上がれない。


「ミシェル!」


 龍一はとっさに、ミシェルと《半月》の間に割り込み《聖剣》を抜いた。

 月の光を反射し銀色に輝く《聖剣》の刃はいかにも良く切れそうだ。普通の人間であればこれを向けられれば歩みを止めるだろう。

 

――だが、それが通じるのは並の相手の場合のみ。


 《半月》は軽く前足を振った。べしっ!と音を立てて《聖剣》は叩き落され、地面にめり込んだ。

 人間であれば恐怖する刃の煌めきも、熊にはそんな認識はない!恐るべきは熊、恐るべきは《半月》の四天王であった。

 だが、いかな《半月》の四天王といえど全く隙がないわけではない。

 地面に落ちてキラキラと輝く《聖剣》を見て、《半月》はふんふんと鼻を鳴らして匂いを嗅ぎ、前足でいじくった。

 多くの野生動物はキラキラするものに興味を惹かれる。そしていかに賢いといえど《半月》も例外ではない。

 その隙に龍一はミシェルの手を取り、駆け出した。

 

「ご、ごめんなさい、リュウ……私、リュウを助けなきゃって思って……」

「なあに、大丈夫さミシェル。まだ終わったわけじゃない。一回リセットだぜ!」

「ありがとう……でも、あんな怖い奴を、どうやって倒すの……?」

「ううん、倒すってのとはちょっと違うけど……」

 

 龍一はキョロキョロと辺りを見回し、壁の崩れた倉庫から何かを見つけるとそれを手に取った。


「たぶん、これでなんとかできると思うぜ!」

「え、だってリュウ。それって……」

「グルルルルルルル……!!」


 二人の背後から唸り声が聞こえてきた。《半月》が《聖剣》から興味をなくし、二人を追いかけてきたのだ。

 

「ミシェル、下がっててくれ。今度こそ大丈夫だぜ」

「リュウ……分かった。信じるわ」


 龍一は拾ったものを持って《半月》の前に立ちはだかった。

 《半月》は龍一の姿を見て速度を上げていく。

 龍一は、手に持ったものをかかげた。

 《半月》は止まらない。更に速度をあげて龍一へと向かっていく。


「リュウ……!」


 しかし、龍一と衝突する直前、《半月》はジャンプした。そして龍一のかかげたもの――《木の輪っか》を器用にくぐって着地したのだ。


「え……?何が、起こったの……?」

「やっぱり、予想通りだったぜ!お前、サーカスの熊だったんだな」


 続けてリュウは、近くに転がっていた丸太を《半月》の前に転がした。すると《半月》は丸太の上に飛び乗り、器用にバランスを取った。


「え?え?」

「ほら、ミシェル拍手拍手」

「あ、うん」


 ミシェルがぱちぱちと拍手をすると《半月》はぺこり、と器用に頭を下げた。

 龍一が倉庫から取り出した食べ物を《半月》に投げてやると、《半月》は器用にそれをキャッチして食べ始めた。


「どういう……こと……?」

「こいつはしゃべれないけど、だからって分かり合えないわけじゃない、ってことさ」


 そう、龍一は《半月》は自転車に乗っていることから飼われていた熊だと推測し、芸をさせることでコミュニケーションを取れないか考えたのだ!

 無論、こんな方法は普通は上手く行くはずがない。決して真似しないで欲しい。本当に真似して事故とか起こさないようにして欲しい。

 だが、この時ばかりは特別な事情があったのだ。

 《半月》は異世界転生熊である。元の世界ではサーカスの熊だった。

 この世界ではその圧倒的なパワーと熊離れした知力を活かし森の主として君臨していた。人間も、魔族も、《半月》を見ると怯えた。

 《半月》を餌付けした《魔王》すら、必要な餌を与えるとそれ以上のコミュニケーションを取らなかったのだ。

 だが……産まれたときからサーカスの一員として育ってきた《半月》は、この世界に来て常に寂しさを感じていた。

 芸をして、褒められたい。それは本能すらも上回る《半月》の生きがいであった。

 あるいは……森で狩りをせずに村にやってきていたのも、食料を奪うためではなく芸を見てもらうためだったのかもしれない。

 何度も、何度も、誰にも芸を見てもらえない日が続いた。

 ついにであった人間も、一緒に居た人間が悲鳴をあげるとピカピカ光る棒を向けてきた。

 落胆しつつあった《半月》の心を救ったのが、龍一の差し出した輪っかだったのだ。火がついていないのがちょっと不満だったが。

 という《半月》の内心は、もちろん言葉が喋れないので龍一にもミシェルにも伝わらなかった。

 あと、本当にこれは特別な場合なので仮に異世界で熊と会った場合でも真似はしないようにして欲しい。


「うん……お前も、寂しかったんだよな。でも、人を驚かせちゃいけないんだぜ」

「クゥー」


 龍一がなでると《半月》は気持ちよさそうな声をあげた。


「いつも……は無理だけど、たまには俺も来て遊んであげるから、村の人を困らせちゃダメだぜ」

「ウァン」


 龍一の言葉が通じたのか《半月》は少し不満そうに頷き、鳴き声をあげた。

 そして来たときと同じように自転車にのり、森の中へと帰っていった。


「リュウ……えっと……?」

「これで一件落着ってことさ、ミシェル」


―――――


「おお!リュウ様!ありがとうございます……なんとお礼を言っていいものか……」

 

 翌朝、村は村人総出でちょっとした宴のようになった。

 村人たちは口々に龍一をたたえ、食べきれないほどの食べ物を龍一に渡した。


「俺は大したことしてないぜ!それより、大変かもしれないけど、あいつをあんまり怖がらないでやってくれよ。悪いやつじゃないんだぜ」

「それは……リュウ様がそういうのなら、我々も頑張ってみましょう」


 宴はそのまま夜まで続きそうだったが、先を急ぐということで龍一とミシェルは昼過ぎに村を出た。

 村人たちは名残惜しそうに二人を見送ってくれた。


「ともかく、解決してよかったぜ!」

「そうだね、リュウ」


 そうして二人が歩いていると、村を出てすぐ、道の脇で何やら音がした。


「ん?これは……」


 チリンチリーン


 と音を響かせながら森の中から現れたのは、二つの丸いものが縦に並んだ鉄の固まり――自転車と、それに乗る巨大な影だ。

 《半月》の四天王は龍一の姿を認めると自転車から降り、近づいてきた。


「どうしたんだ?」

「アゥン!」


 龍一が問いかけると《半月》はペロペロと龍一の頬を舐めた。


「おいおい、止めてくれよ。俺達はこれから魔王城に行かなくちゃいけないんだぜ!」

「アゥン!アゥン!」


 《半月》はもう一度龍一の顔を舐め、自転車をおしながら導くように歩き始めた。


「もしかして、魔王城まで案内してくれるのか!?」

「アォン!」

「四天王が案内してくれるなら心強いぜ!でも、いいのか?」

「アォン!」

「わ!くすぐったい!わかったって!」


 《半月》はペロペロと龍一の顔を舐めた。

 そしてミシェルに視線を向けると、鼻で笑った。


「……!リュウ!いつまでも遊んでないで、そいつが案内してくれるって言うなら、さっさと行きましょう!」

「どうしたんだミシェル?怒ってる?」

「怒ってない!行きますよ!」


 ミシェルは龍一の腕をつかみ、ずいずいと歩いて行く。

 《半月》は反対側からペロペロと龍一の顔を舐めている。


「おいおい。二人共、歩きづらいって!」

「じゃあ、そっちが先に離れてよ」

「グルルゥ!」


 《半月》とミシェルは睨み合った。どうやらどちらも譲る気はなさそうだ。

 龍一は途方に暮れた。龍一の知力でも、この問題はどうやって解決すればいいのかわからなかった。


――――


「ふふ……どうやら《半月》は懐柔されたようだ。いくら賢く強くとも所詮は獣か……いえ、それよりも奴の手腕を褒めるべきですかね」


 状況を観察していた《策謀》は、一人そうつぶやいた。


「これで残る四天王は私一人……ふふふ、あなたの手の内はここまでじっくり観察させていただきましたよ。今までの連中と同じように行くとは思わないことですね」


 フードの下で笑顔を作り、《策謀》はくつくつと愉快そうに笑う。


「さて……それではまず……」


 そうして、《策謀》は下を向いた。

 木の上から見る地面は、やはり遠かった。


「どうやって降りたものか……あ!人!おーい!すいません、助けてくださーい!怪しいものではありません!ちょっと木に登ってたら降りられなくなって!いや、魔族じゃないです!本当に!」


――――


 深い闇の中、二人の四天王が向き合って座っていた。

 片方は牛頭の巨人 《無双》の四天王、もう片方は耳の尖った細身の男 《最速》の四天王だ。

 二人は先ほど聞いた噂について話をしていた。


「くふふ……どうやら《半月》があの男に下ったようですね」

「ふん!これだからメスは信用ならんのだ!」


 《最速》が皮肉げに笑い、《無双》は憤懣やるかたなしと言った様子で憮然としている。


「とはいえ、これで残されたのは《策謀》のみ。これは少々まずいのでは」


 《最速》がそう言うと、《無双》はより不満の色を濃くして答えた。


「問題はなかろう。なにせ奴は《策謀》だ」

「おや、珍しい。あなたは《策謀》を嫌っていたのではないのですか?」

「……好き嫌いと強弱は違う。正面から戦ってあいつに負ける気はせんが……奴は《策謀》だ。我々の中でも知力は随一。正面から戦わせてもらえるわけなどない」

「それはまあ……そうですねえ」


 故に、と《無双》は言う。


「どれだけあの男が脅威であろうと、ここで終わりだろうよ。ぐははははははは!」

「ええ、そうですね。くふふふふふ!」


 深い闇の中、二人の四天王は笑いあった。


「おいこら、お前ら!あんまりうるさくすると晩飯抜きだぞ!」

「はい」

「すみません」


 看守に怒られて、二人はピタリと笑いを止めた。

 龍一に敗れた二人は王都につれてこられ、扱いにこまったからとりあえず城の地下にあった牢屋に入れられているのだ。ちなみに牢屋に入っているのは他に誰もいない。

 二人は看守が居なくなったのを確認してから、できるだけ小声で笑い直した。

 笑い声は闇に溶けて、やがて消えていった。

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