4.睡蓮のゆめ
狭間には睡魔が来ないらしい
もう一週間眠らない
もう夢は見られないの
すると人外はマジックを見せた
一瞬にして彼の手に睡蓮の花
ひらきかけの蕾
睡蓮の蕾のなかに夢がある
それがひらいたら君は眠り夢を見る
きっとすてきな眠りに違いない
きっとすてきな夢に違いない
横になって睡蓮を胸に置く
眠りが波を打つ
いざなわれる夢
それは幼き日
黄昏に消える銀杏の葉
細長い影の細長い指に差しだされる銀杏の葉
集めている私に
一番きれいな葉をくれた人
目を覚ますと人外の顔
いい夢だったかい
近すぎる顔を遠ざけて胸の上の睡蓮を
けれどもそこに睡蓮はない
一度限りの睡蓮だから
人外が言う
ひとつの夢しか内包できない
それが睡蓮
立ちあがる人外の細長いからだ
細長い指は夢のなかの影と似ている
銀杏の葉をつまんだ指先
君が夢を望むなら
いつでもあげる
睡蓮のゆめ
人外はいつも笑っている
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます