3.外出

思えば長く一人だった

生きているのに一人だった

天涯孤独

繋がりのない

けれども認識だけはされている

私はそういう一人だった

外へ出ようと人外が言う

彼はずいぶん無邪気な奴だ

公園へ行こう

花を見よう

食べ物は食べられないけど

食べるふりをしたっていい

しつこい人外に根負け

ドアノブに手をかけて、ふと思いつく

実体の確認

ドアにぶつかる私に人外は首を傾げる

一体なにが変わったものか

ゴーストじゃないって、言ったろう

彼は笑う

不気味ではない笑顔

通りすがる人

これまでと変わりない

いつだって誰も人を見ない

公園でも同じことだった

私は本当に認識の外にいるのか

風にふわふわと揺れる花

緑の鮮やかさ

頬を撫でる風の感触も

これまでと変わらない

ならばと人外は私をマックへ連れて行く

笑顔の店員にスルー

私の声は聞こえていない

私の姿は見えていない

わかったけれどそんなことより

マックを知っている人外が意外

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