異世界転移物語ANY%TAS
宗谷織衛
異世界転移物語ANY%TAS 04:28.32
異世界転移物語ANY%TAS始めていきたいと思います。
まずはオープニングムービーの間に簡単な説明をしていきます。
異世界転移物語はその名の通り異世界転移モノ、俗に「なろう系」などと呼ばれるジャンルのオープンワールドゲームです。
視聴者の皆さんも既プレイの方が多いかと思います。
地球で暮らす人間が別の世界に行ってしまうという基本の下、様々にカスタマイズが出来ます。この自由度がウケて爆発的なヒットになりました。
ただワープしてしまうものから赤ん坊に転生する物、特殊な能力を与えられる物、何か別の生物になってしまう物など開始状況を多彩に設定できます。キャンペーンも上位存在の命令で世界を冒険して特定の対象を倒すアドベンチャー系や特に目的なく自由に異世界を満喫するフリープレイ、転生それ自体の理由を探るサスペンス系など様々に選択できます。当然転移する世界も細かく調整出来ます。
キャッチコピーは「自分のしたい冒険が自由にできる」。いいゲームですよ。
さて、計測開始は主人公がトラックに轢かれた後、スタートボタンを押した時点となります。……はい、ではスタートです。
(トラックに轢かれたはずのあなたは、どことも知れぬ場所で目を覚ました)
初めにキャンペーンの設定を行います。
通常のプレイでは最初の楽しみと言っても過言ではない大事な場面ですが、今回はTAなので、プリセット選択肢の一番上をどんどん選んでいきます。項目が多いのでこれでも時間がかかってしまいますね。
はい、「ファンタジー系異世界にチート能力を一つ貰って転生」となりました。
イージーモードつまり神様のアシストは入力速度を優先してナシ。
主人公のステータスも人間男18歳。
筋力と耐久と年齢が14あればいいのでステータスは弄りません。
ポイントも振り分けの必要はなしです。
チートの選択です。あ、特殊能力のことです。分かりづらいですね。
これは「転移魔法」のみでOK。「スキルレベルMAX」や「無詠唱」は不要です。
転移魔法はレベル1時点ではランダムテレポートですが、これは乱数を調整すれば解決します。詠唱は時間がかかりますが、短縮しないのには理由があります。
名前は「あ」で決定です。
「……目覚めたかしら、異界の人」
入力完了するとムービー開始。上位存在が出てきて、主人公を異世界に導きます。今回は女神様ですね。このムービーは飛ばせません。TASさんイライラタイム。
「私は女神アエルガ=ミクニー。人と偶然を司る神よ」
この時間を使ってレギュレーションの説明をしていきたいと思います。
バージョンは1.00、正式版の初期バージョン。
計測終了はキャンペーンのクリア、つまり魔王討伐後エンディングムービーを見たところでタイマーストップとなります。
ほかは何でもありです。バグ利用あり、デバッグモードあり。
当然ゲーム外部からのチートはなしです。
「……じゃあそういうわけで。魔王討伐、よろしくね」
主人公が光に包まれて、視界が真っ白に染まりました。
はい、ゲームスタート。
まず広い森に出ます。二秒ほど待って転移魔法を詠唱。詠唱中に手頃な木の枝を入手して片手に装備、近くの兎を殴ります。これで〈剣術〉スキルが手に入ります。
続いて石ころを三つ拾い一つを投げて兎にぶつけます。これで〈投擲〉を入手。
そしてランダムテレポート。
ちょうど、魔王軍に襲われる直前の王女様の乗った馬車の近くに出ます。
王女襲撃イベントは、どう時間をずらして接触しても必ず馬車は襲われています。普通は森をしばらく歩くと空間が歪んで勝手に辿り着くイベントです。
ただこのイベントはプレイヤーの接近をトリガーに発生するので、感知範囲外から転移で辿り着くと敵が湧く直前の馬車と出会えるのです。
「そこの方! 逃げてください!」
焦って馬を走らせるメイドさんががこちらに気付きました。
凛々しい声の警告を無視します。
「高位の魔族が……えっ?」
馬車の進路の右斜め前に立ち、石ころを一つ、馬車を引く馬の左側に投げます。
そして馬車とすれ違いざまに〈剣術〉の基本スキル【スラスト】を発動し木の枝で馬の足を引っ叩きます。すると馬の足が砕けてすっ転び、馬車が横転します。下敷きになった馬車は当然死亡。攻撃していたので経験値が入ります。
「きゃああああ!!?」
この馬は王族用の高級馬だからかレベルがそこそこ高く設定されています。これでレベルが上がり6になり、またスキルレベルが〈投擲〉2、〈剣術〉3になります。
立ち位置はちょうど横転した馬車からメイド御者さんが放り出されて転がってくる位置です。すかさずメイドさんのカチューシャを奪います。これで〈窃盗〉スキルを覚えたら、【アイテムスティール】でブローチとヘアリボンと手袋を奪います。
「あっ、貴方、何を……!」
〈窃盗〉スキルは対象のレベルと内部値であるアイテムレベルによって経験値量がスケールします。アイテムレベルは概ね希少度が高いアイテムが高いです。
王室御用達ブランドのメイド服は購入不可なためかアイテムレベルが高く、盗むと大量の経験値が手に入ります。
眼鏡に手を出さないのはメイドさんの私物故かアイテムレベルが低いからです。
これでレベル10。〈窃盗〉も9になりました。
更に〈剣術〉3で開放した【ポメルビート】で気絶させておきます。
「くそっ、追いつかれたか!?」
続いて馬車の横に走ります。ここは女騎士が出て来る位置です。
「何だきさ――がっ!?」
出てきた瞬間、【ポメルビート】
御存知の通り、最初に姫様の護衛としてついてくる女騎士はかなりレベルが高く、戦闘では無類の強さを誇る上各種状態異常に強くスタン時間はごく僅か。盗難耐性も当然100%ですが、スタン時には状態異常耐性が5%減少します。
成功確率が5%生まれるので乱数調整しておきます。
あとは木の枝のどこにあるのか分からない
スキルモーションをジャンプして中断、そのジャンプモーションをスキルで中断。お馴染みJキャンは今後も多用します。
「ぐっ、魔族の手先かっ! 武器を奪ったところで!」
こうして強力な武器である〈女騎士**の剣〉を手に入れたら、即座に持ち替え。
馬車横転の時点で敵対化しているのでイルマさんは激怒して襲い掛かってきます。邪魔なのでさっくり殺します。
「ガッ……!」
【ポメルビート】Jキャン【ポメルビート】で背後に回り【スタッブ】で一突き。
人型ユニットの弱点は背中と首なので、狙い撃ちするとクリティカルが入ります。
「ひ、姫様……申し訳……」
行動不能系状態異常中の人間に背後からキルムーヴを繰り出したので、〈暗殺〉技能を習得しました。キャラレベル13、〈剣術〉が8になります。
ちなみに、このムーブができるスタミナが得られるのは耐久14からです。
「ふはは! 逃げても無駄だ王女よ……何だ、貴様は!」
ちょうどここで茂みの向こうから魔族がやってきます。ですがプレイヤーが王族と敵対していると驚いて一瞬怯むので、その間に女騎士の懐からスタミナ回復剤を二つ拾得して一つ服用します。
その後魔族を殺します。
まずレベルアップで得たスキルポイントで〈剣術〉を9〈暗殺〉を3にします。
突進技【ラッシュ】と【アサシネイト】を習得。
「狂人か! まあいい、死――ガハッ!?」
【ラッシュ】Jキャン【ラッシュ】Jキャン【ポメルビート】スタミナ回復剤を使用Jキャン【アサシネイト】。
一度目のラッシュで距離を詰めて、二度目以降を全て当てます。
筋力14ならこれでピッタリHPがゼロになります。
さらにキルムーヴを屈伸キャンセルしてすぐ死体からアイテムを全拾得。
誰も居ない所で何かに突き刺される全裸魔族を尻目に転移魔法を詠唱します。
屈キャンはJキャンと比べてキャンセル速度は遅いですが特定タイミングで出すと長モーション動作を判定だけ残して中断できます。
キャンセル類については動画説明文から解説動画を見てください。
「バカな、この私が、こんなところで……!」
魔族戦はイベント戦なのでHP半分以下になると撤退するのですが、即死させると魔族を撤退させずに殺せます。
乱数調整のため小石を投げ、ドロップしたポーションのうちMPポーションを一つ残して使用、空ビンを二回投げます。
転移直前に近くの木に向けてジャンプして壁蹴り。この頂点で転移します。
転移先は、魔王領地下神殿のシャンデリア上です。先のジャンプは高さを調整してシャンデリアに乗るためです。侵入者の出現で警報が鳴り響きます。
「侵入者だ! どこにいる!」
「上だ! シャンデリアに張り付いてる!」
すぐ転移魔法を唱え直します。部屋の隅を見てキーアイテムである「魔王の霊核」と「召喚の宝珠」を目視。続いて先のドロップアイテムを適当に投げます。
そこら中の敵が感知して射撃がくるのでこれを飛び降りで回避。
そのままランダムテレポート。
すると馬車の近くの地面に着地出来ます。
MP不足で多大なHPダメージを受けますが、33残ります。落下前に【ラッシュ】で移動距離を稼ぐと着地ダメージが発生して、耐久14だと今後不都合が出ます。
全身から血を吹き出し一時ダウンしますが、実はこのモーションも屈伸キャンセルできます。血液の爆発を起こしながら【ラッシュ】キャンセルで馬車まで戻ります。
名乗れすらしなかった魔族の持ち物、取出の宝珠を用意します。
ご存知宝珠バグです。
「ひっ……!?」
横転した馬車に戻ると王女が中で震えているので、アクティブ化した取出の宝珠を握らせます。呼び出すのは先程見た召喚の宝珠。
「あ、あなたは、一体……な、なんですかこれは」
宝珠が発動して砕け散る瞬間に【アイテムスティール】。取出の宝珠を消費せずにアイテムを持ってくることが出来ます。これが宝珠バグです。
召喚の宝珠が出てきたら今度は普通に魔王の霊核も呼び出します。
「そ、それは、魔王ゆかりの……!?」
ダンジョン内のアイテムを呼び出すために先程の準備をしていました。
取出の宝珠に封じられている【アポート】の魔法は所在の分かっているアイテムをその場に呼び出すアイテムです。
ただし近くに敵がいないアイテムのみの制限があって、ダンジョン内のアイテムは呼び出せません。普通は。
地下神殿宝物庫はかなり広く、またシャンデリアはどこからでも目視できる位置にあります。シャンデリア上で騒ぎを起こしてアクティブな敵をシャンデリア近辺に集めることができます。
これで手薄になる位置に召喚の宝珠があり、また扉の鍵を開けるかシャンデリア上からのみ目視できる最奥の祭壇に魔王の霊核があります。
これで【アポート】の制限が十八秒だけクリアされます。
その間に姫様の下に戻って宝珠バグ+宝珠使用と進める必要がありました。
「あ、貴方は何者なのですか……?」
次はスキルポイントを全て転移魔法につぎ込み、位置指定テレポートを覚えます。
魔王の霊核を砕きます。これで魔王のバリアが剥がれて倒せるようになります。
そして転移魔法でテレポート。移動先は北2010の東1です。王女や侍女を適当に攻撃して乱数を調整。更にMPポーションを飲みMPを回復、自身の手首を切って出血状態にします。
そして発動とピッタリ合うタイミングで召喚の宝珠を起動。
「――この私を呼び出すとは、一体どこの愚か者かね」
魔王を召喚します。
召喚の宝珠はランダムでユニットを一体召喚するアイテムです。
通常、選出リストにないため、ユニーク・ネームドユニットは召喚できません。
ですが位置指定テレポートの発動にdotダメージの発生と召喚の宝珠の起動を重ねる事で、転移座標の値を召喚の宝珠の召喚ユニットの値に代入することが出来ます。x軸がレベル、y軸がユニット番号です。
魔王のユニット番号は002010です。
つまり北2010・東1の転移から出てくるのはレベル1の魔王です。
「ふん、勇者か。何やら面妖な術で――」
転移先は王都の近くの草原です。
出てきた魔王が何か喋る前に〈女騎士イルマの剣〉でぶん殴ります。
「――我が守りを破っグワアアアアア――!!」
レベル1になった魔王はこれで死にます。
直後、出血状態でHPがゼロになり主人公が死にます。
これで「魔王と相打ちエンド」が発生。
(――これで、よかったんだよな、みんな……。
最後に、あなたはそんなことを思いました。
世界は救われたのです。あなたという大きな犠牲によって……)
ムービー開始と同時にタイマーストップです。
記録は四分二十八秒となりました。
以下はエンディングとなります。
ご視聴ありがとうございました。
異世界転移物語ANY%TAS 宗谷織衛 @Olier_claire
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます