34.多額の借金を追うことになったらしいですよ

髪が無い故に反射で輝く頭を持ち、服を着ていても分かる強靭な身体。そしてなによりもハンサムな顔!

その名は…


「誰ですか?」

「ああ、スマンスマン。ギルド長のコバルトだ。」


コバルト?キラキラネームかよ。

ってギルド長か!ハゲのくせに。


「コバルト…鉱石の名前ですよね?」

「コバルトって言う鉱石があるのか?」


え?異世界の定番中の定番、コバルトだぞ?あのピカピカ光る青いやつだぞ?

まさか無いのか…テンプレが通じないときが来ると思ったが…こんなところで来るとは…

おっと話がズレてしまった。

早くここを抜け出して冒険に出かけたいのだ。


「早速なんですが早く出してもらえませんか?」

「はぁ?さっき言ったばっかじゃねーか!まだ出せないって!」


元気だなーと思いつつ反省する俺は前よりもイライラしていた。

なぜかって?


そんなの決まってるだろ。実験したいんだよ!実験!

ダンジョンに居たときは非力で時間もなくとにかく進むことしか考えていなかった。

でも人間になれる俺にとってダンジョンという鎖も無くなり、俺の前には無限に広がる土地とダンジョンには居ない無数の敵、こんなのを言われ見させられたら我慢できるはずがないだろう。

現実世界では異世界に行ったら勇者になって仲間ができて自分の強さに感動したり、テンプレ無双したり、知識無双しようとしたのに…なぜだ!なぜゴブリンになった?おかしいだろ!


現実世界の人間達は神様を拝めたりしているが神様なんてロクなやついないとあの時実感したわ!

神様は複数いるからまだ希望を持てるかもしれないが人間になれると思って来たら人間の敵になってた。なんてことが起きたら普通の人だったら発狂する。


「あああぁぁ!くそ!せっかく王国に来れたというのにぃぃ」

「ど、どうした?」


おちつけ…いつまでたっても進まない。さっきから話の’は’すら出てきていない。


「いや…なんでもないです。」

「そ、そうか。」


そんなことよりも早く出ないといけない。なにをしなければいいか聞こう。


「俺は何をすればいいんですか?早く出たいんですけど。」

「お前…レナとの戦いがどうなったか気にならないのか?」

「・・・」


そんなことあったね!

つーことでその話から聞こう!


「そ、そうですね。忘れていました。で、どうなったんですか?」

「分かった。それは観客の一人から聞いた話なんだが…」



観客の話はこうだ。


まずレミが光り出す。光り出したと思ったら俺が吹き飛ぶ。瞬きもする暇がないまま俺がまた吹き飛ぶ。そして観客の人たちは止めようと入ったら俺がレミを吹き飛ばす。ここから記憶がないのだが。

そして俺は闇がまとったようになっていたらしく会場の空気が狂って大半の観客は気絶したらしい。

それでも強靭だったAランク冒険者だった観客は耐えることができてみんなが倒れる中みていたらしい。

それで最後レミの方から強烈に光る光が放たれ、それを防御しようとしていた俺が闇色のシールド?みたいなのを俺は前に出していたらしい。

案の定、属性爆発。その威力は絶大で結界をも破った。もし結界がなかったらここ一帯にクレーターができて居たほどの威力だったらしい。

多分俺のは冥闇魔法だったのだろう。レミのは分からないが。


そんなこんなで闘技場らしきものは全壊。ギルド本部はギリギリ助かったらしい。観客もBランク以上しかいなかったため奇跡的に助かっただそうだ。ちなみに俺の隣で列になって寝ているのがその観客たちだそうだ。


「…」

「それで要件があるのだが…」


流石に驚きが隠せない俺は疲れ切って再び寝ようとした。

冒険舐めてたわ。お金もあるしニートになろう!

新作!ニートの冒険!

…なんてできるわけなく、おれは仕方なく要件を聞くことにした。


「要件ってなんですか?」

「簡単だよ。とりあえず横にいる患者の治療費と施設の建築費だ。」

「いくらぐらいですか?」

「ざっと1000万ゼパルだ。流石に無理だろうと思うからレナが500万、君が500万だ。別々払いでも良いぞ。」


ふーん1000万ゼパルか…正直余裕なんだよな…


「いいでしょう。1,000万ゼパル払います。」

「いや、君は500万ゼパルでいいんだからな!?」

「女に金を払わせるなんて男が廃る。1,000万なら明日返します。」


良質鉱石で作った武器を明日売れば良い。


「つーことで冒険行ってきますね。」

「ちょ、ちょっと待ちたまえ。君がすべて払うのなら別に構わないが、まだ傷が治っていないだろう。」

「大丈夫です。凄腕の回復師がいますので。」


俺はさっとベッドから立ち、マナを探しにいこうとした。


「ちょ、ちょっとまって!」


…スタスタスタ


「ちょ!ちょっとまってよ!」

「はあ…なんだよ次は、また決闘か?」

「違う…あの…ごめんなさい。なにか対価的なものを払わせてください…」


そういって頭を下げる彼女。その体は震えていた。


「別に気にしてないからいいよ。」


面倒事が起きないうちに俺はスタコラサッサしようと玄関のほうへ向かっていった。


スタスタスタスタ


後ろを振り向くと下を向いてついてくるレミがいた。

いつになったら俺は自由になれるんですか?


そんな言葉が彼の心に響きわたるのであった。



名前:レミ

 種族:人間

 Lv:30/100

 HP:2133/2133

 MP:789/789

 攻撃力:732

 防御力:566

 魔力:625

 素早さ:421

スキル

「閃光」

「剣術lv5」

「盾術lv5」

「料理lv10」

「剛力lv10」

「体格lv10」

「雷電魔法lv8」

「雷神の怒り」

称号

「閃光のレミ」「雷神の加護」


「雷神の加護」


雷神バルキロッサの加護。

雷系の魔法の性能が上がり、雷神の怒りを覚える。

全体的にステータスが上がる。


「雷神の怒り」


無双系と同じ効果をもつ。

ピンチのとき雷神の雷を纏い、覚醒する。この時、自分の意志で動くことはできない。雷神の気まぐれ。

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