第42話 三度目の正直
「ちょっと、待って!話についていけない………ハリウッド!?」
クリスマス・イヴにいきなりそんなこと言われても、意味がわからない。
エイプリールフールは4月だよ?
「はい、そうなんです。みちるさんにオファーが来てて。」
「え?」
「みちるさんの演技が、気に入ったそうです」
ハルカの話によると、今年起きた一連の騒動がハリウッドの関係者の耳に入り、今年の春に私も出演したハルカのミュージックビデオを見た有名監督がオファーしてきたらしい。
しかも、その撮影には最低でも2年かかる大規模なものになるらしい。
ハリウッドなんて、夢見たいな話。
確かに最近私は完全にアイドルをやめて女優業に邁進してきたけど、まさかこんなことになるとは思っても見なかった。
日本での私に対する認識は、ハルカの彼女で、女優として評価されているという感じはなかったから、少し自分を卑下してしまっている部分もある。
ハルカと比べるなんて、もう勝てるはずもない勝負を挑んでいることはわかりきっていて、諦めたつもりでいた。
それでもどこかで、認められたいという思いは拭いきれずにいた。
「2年……か」
でも、この仕事を受けたら、2年も日本を離れて、ハルカからも離れることになる。
会えなくなるのは辛い。
だけど……
「行きたい。私、向こうに行って、ハルカより有名になりたい!ハルカの彼女じゃなくて、女優として認められたい!!」
諦めたなんて、嘘。
アイドルとして、ハルカには敵わないことはわかってるけど、私はずっと、1番でありたい。
ハルカに負けたくない。
誰にも負けたくない!!
本当の私はそういう女だった————
望むものは全て手に入れたい。
地位も名誉も恋も、何もかも全部————
「だから、私が戻ってきたら………いや、それじゃあ遅いわね————」
いっそのこと、この際全て手に入れてしまいたい。
「ハルカ、私と結婚して。今すぐに」
私がいない間に、他の誰かがハルカの隣にいるなんて、耐えきれない————
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