第38話 意外過ぎる事実




 * * *





 落ち着いてから遙と一緒に、叔母の家へ戻ると、全然知らない人がいて土下座している。


 長い髪を後ろで束ねているけど、スーツだし、体格からして、大人の男性だった。




「本当に、申し訳なかったわ!アタシのせいで、こんな事になってしまって……」




 だけど、口調は女の人————というか、オネエだった。





「とりあえず顔を上げてください。そして、あの……あたなは誰ですか?」



 遙もまったく誰だかわからないようで、顔をみてもわからない。


 男性の割には綺麗な顔をしているけど、知らない人————でも、どこかで見た事があるような、そんな気が……




「アタシよ!マミコよ!」



「マミコ? ……マミコさん!?」



 女装してなかったからわからなかった。


 そういえば、すっぴんのマミコさんの写真を一度ネットか何かで見たような気がすけど……普段のマミコさんを見慣れているせいで、余計気がつかなかった。


「こんな格好じゃわからないのも無理ないわね。さすがに謝罪をするのにいつもの厚化粧で来るのも違う気がして……本当に、ごめんなさいね、二人とも」




 マミコさんの話によると、今回の騒動の発端、つまりは、ハルカが男である事が知られるきっかけとなった最初の報道である、ハルカの同性愛者説は、マミコさんのせいだったらしい。



「あの日、栗原ちゃんと収録の合間に話た会話が、音声に筒抜けだったのよ」




 マミコさんの衣装にピンマイクがついたままで、外し忘れていた。


 そのまま、音声担当者の耳に入り、そこから広がって、偶然局に居合わせていた芸能記者の耳にも……という流れだったらしい。




「アタシがあの時、気づいていれば、こんな事になってなかったわ。本当に悪かったわ」




 マミコさんは涙ながらに謝罪し続けた。



「もうわかりましたから、泣かないでください。わざわざ北海道まで謝りに来てくれるなんて……逆にすみません」



「ハルカちゃんは何も悪くないわ!そもそも……その、ここで言うのもなんだけど……あなたが女の子としてデビューするきっかけになってしまったあの……借金3千万円も、私のせい……だから」



(え? あの3千万円って……確か、遙のお父さんが————)





 私も、遙もわけがわからなかった。


「どう言う事ですか? マミコさんは、オレの死んだ父と何か関係が?」




「死んだ……? そう、そうね、死んだと言ってもいいわね。知らなかったのよ、まさかあの時、さくらが妊娠してたなんて知らなかったから————」



「さくら…?なぜ、母さんの名前を……?」



 マミコさんはまたまた土下座をして、床に額をつけた。





「アタシが、あなたの父親なの……」










 あまりの衝撃に、遙はただでさえ大きな目を見開いて、固まった。



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