第18話 蘇る記憶


 首元の特長的な縦に並んだ3のホクロで、一気に過去の記憶が蘇った。


 あれは確かオレが小学生になる少し前。

 近所の公園でよく一緒に遊んでくれていた、何歳か年上のお兄ちゃん、アキラくん。



 弟のように可愛がってもらっていた記憶がある。


 だけど、それが、なんでこんな所で……?


 というか、どうしてオレがその時のハルくんである事を知っているんだろう?



 どうして会えなくなったのか、幼かったせいで、明確な理由は覚えていない。


 でも、名字は中田だったはず。

 今でも、アキラくんのお父さんがやっている理髪店はあの商店街にあるはずだ。




 疑問だらけで、頭が回らなくなってしまい、固まってしまったオレの顔を、嬉しそうに見つめているアキラくんの顔が、段々大きくなっていく————



「ちょっと、待ったああああああああ!!!!」



 すんでのとこで、みちるさんがオレをアキラくんから引き離した。




「何するつもりですか!!!!いきなり!!!この変態!!!変質者!!!!」


 みちるはグッとオレを自分の方に引き寄せて、アキラくんを睨みつけている。



「変質者って、失礼だな。誰だよ、君は……俺たちの再会を邪魔しないでくれ!この日のためにスケジュール無理やり空けて撮影いれたんだぞ!?」


「何が再会の邪魔よ!!!周り見なさいよ!!こんな大勢の人の前で、ハルカにキスしようだなんて、変質者以外の何者でもないわよ!!警察呼ぶわよ!!!」


(ああ、オレ今、キスされるところだったのか……って、あれ?なんで? オレが男だってこと知ってるのになんで? まさか、アキラくんて、そういう趣味の方?)



「む…確かに、こんな大勢の前ですることじゃなかったな。そこは謝ろう、驚かせてすまなかった。だけど、もう何年も会えなかったのに、やっと会うことができた嬉しさを表現するくらいいいじゃないか!!」



 今度はアキラくんがみちるからオレを引き離した。




「初恋の女の子と再会できたんだぞ!!?」




(え!? ええええええええ!?)




「初恋の女の子って……あなたね、嘘つかないでよ!!」


「嘘じゃない!!俺たちは将来の約束までしてる仲だぞ!?」


「はぁ!?そんなわけないでしょ!!だって、ハルカは、本当はおと————」



 言いかけたところで、ユキ姐が止めに入った。


「みちる、ストップ!!! あんたたち、一旦落ち着きなさい。ここをどこだと思ってるの!! ちゃんと話しましょう、ここじゃなくて、向こうでね!!」


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