第7話 勘違い
商店街から少し奥へ入ると、居酒屋やバーなどが並んでいる。
規模は小さいが、この飲み屋街の片隅にある『
母さんは、昼間は近所の弁当屋のパート、夜はこの店のママとして、女手一つでオレを育ててくれていたが、最近体調を崩し入院中で、今は営業していない。
鍵を開けて、電気を点け、店の奥にある住居スペースに入ろうとしたところで、声を掛けられた。
「おい、ねぇちゃん、この家の娘か?」
振り返ると、サングラスにパンチパーマという絵に描いたようなヤクザが、金髪の目つきの悪い男と、スキンヘッドの巨漢を従えて、オレを訝しげに見下している。
「いえ、違います」
(娘じゃなくて、息子だし)
「だよなぁ?確かこの家のガキは息子一人だったろう?ねぇちゃんは誰だ?」
「その、あの……」
(なんで答えたらいいんだろう?息子だと言ったら、何かされるような気がする)
返事に困っていると、金髪の男がニヤリと笑って言った。
「怖がることはないぜ?俺らは怪しいもんじゃねーんだ。ちょっと、この家の息子に話があるだけさ。息子の居場所、知らねーか?」
十分に怪しかった。
けれど、オレに話とは何だろう?
その点だけは気になっていた。
罰ゲームで女装したまま帰ってきたオレが息子だとは気づかずに、勘違しているこの見知らぬ怪しい3人にどう説明すべきなのか…
「お?ねぇちゃん、その手に持ってる学ランはなんだ?」
パンチパーマの男は、オレの手からヒョイっと学ランを取り上げて、名札を確認している。
「“
(さすがにバレたか………)
覚悟を決めて、3人を見ると
「お前、この家の息子の彼女だな!?」
と、また勘違いされていた!!
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