第3話 一度あることは二度ある



「な、なに!?どうかしたのハル!!」



 偶然楽屋の前まで来ていたハルカのマネージャーが、叫び声を聞いて、入って来た。


 ハルカは慌ててロッカーの扉を閉めたけど、時すでに遅し。



「な、何でもない!何でもないよ!!!」

「何でもなくないでしょ!!?今の何!?そのロッカーに何隠したの!?」

「気にしないで!大丈夫、大丈夫だから!」


 ハルカは必死にロッカーの扉を開けささないように、背中を押し付けていたけど、私のスカートは、相変わらず隙間からはみ出ていて、マネージャーは細身の女性にも関わらず、力づくでハルカをロッカーから引き離した。


「大丈夫なわけないでしょ!?あんな大声出しといて!!」




 ——ガチャッ





「……。」

「……。」






「うわああああああああああ!!!!」





(何このデジャビュ!!?)







「な、なに?あなた!何でこんな所に入ってるの!?悪質なファン!?」


 マネージャーは、目が飛び出るんじゃないかなってくらい驚きながら、パニック状態。



「け、警備員!!警備員呼んでこないと!!」



「待って!ユキねぇさん!!!落ち着いて!!よく見て!!」



 警備員を呼びに行こうとするマネージャーを、ハルカは必死に止めて、自分の体を指差した。


「オレ今、上半身裸!!このまま警備員なんて呼ばれたら、全部バレるだろ!?そして、アレはファンじゃないよ!!よく見て!!」



 マネージャーはじ〜っと私の顔を見る。


「あれ?何だかどこかで見た気が」




栗原くりはらみちるだよ!!去年のレコ大新人賞!!」






 素顔で人混みの中を歩いても、ここ最近は誰にも気づかれなかったのに、ハルカは私を覚えていた。







「栗原みちる...?あぁ、去年一時期人気だった、あのぶりっ子アイドル!?」

「そう!」

「……確かに、そうね。でも、何でここにいるの?ハル、あなたまさか!!」


 マネージャーは私の顔を指差し、とんでもないことを言い出した。



「女の子楽屋に連れ込んで、如何いかがわしい事しようとしてたんじゃないでしょうね!?」



「違うよ!!!!!バカじゃないの!?変な想像してないで、社長を呼んで来て!!!警備員じゃなくて!!!」




 マネージャーは疑いの目を向けたまま、ハルカに言われた通り社長を呼びに楽屋を出る。


 そして、改めて、私はハルカと対峙する。



「いつまでそんな所にいる気ですか?栗原みちるさん」

「あ、えーと、その…ごめんなさい」

「とりあえず、出て来てもらえます?狭いでしょ?ロッカー」

「は、はい!あ、いや……でも……」


(このままだとスカートが破けそうなのよ!)



 私が渋っていると、ハルカはしびれを切らしたようで、私の腕を掴んで、無理やりロッカーから引っ張り出した。



 ——ビリッ




 私のスカートは破け、ストンっと床に落ちる。



「「!!!!?」」




 沈黙の後、マネージャーが社長らしきおじさんを連れて戻って来た。



「は、、ハル!!!あんたやっぱり!!!」



「違うって!!!!!!」






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