アルト

金髪の元少年を抱えて戻ってくるとリゼットは何やら驚いた表情をしていたが近寄ってきてその見た目は金髪美少女を見下ろしていた。


「シキ、この女が追われていたのか?」

「あぁ……だがこの子、多分元男だ」

「はぁぁあ!?」


『何を馬鹿な事を』と思っているリゼットだが真剣な表情のシキを見て冗談では無いと理解する。


「こいつ元男だったのか?」

「もう無いがこの子が抱えていた大きな本が突然光ってな。それが収まると女になってたんだ。多分あれが原因だと思うが……」

「ん~、まっ、とりあえずこいつの服ボロボロだから着替えさせるからな」

「了解」


金髪の子をリゼットに預けるとそのまま帆馬車の中へと入っていく。


シキはランスロットと共に外で待ちながら明日の食事をどうしようか考えていた。


約5分後、着替えを終わらせたリゼットが帆馬車からひょっこり顔を出す。


「なぁ、シキ。こいつ弱っててヤバイぞ」

「任せろ」


そう言うとシキは金髪の子が眠っている帆馬車の中へ入るとそこには呼吸が荒く高熱を出して苦しそうに魘されている金髪美少女がいた。


シキは彼女の額に手を置くと[治療術]を使用する。そのシキの手からはエメラルドグリーンのオーラが現れると金髪美少女の身体へと優しく包み込んだ。


すると彼女の苦痛の表情が徐々に和らいで最終的にはスヤスヤと気持ち良さそうに眠っていた。その寝ている表情は揺り篭に揺られて安心している赤子の様だ。


「よし、これで大丈夫だろ」

「シキ、お前は一体何者なんだ?」

「あ……」


リゼットはいつの間にか盗賊の頭を[漆黒]のナイフで絶命させていた時からシキが只者では無いと感じ取っていたのだ。


「……ちょっと強いEランク冒険者」

「もうちょいまともな嘘をつけよ。」


明らかに嘘をついている様なシキに呆れた口調で言うリゼットはそれ以上深入りはしなかった。


「気になったんだけど……リゼット、何でこの子着ている服が俺の服なんだ?」

「そこにたまたまあったからだ!」

「いや何言ってんの」


今の金髪美少女が着ている服装は学生時のワイシャツを着させていた。余は裸ワイシャツになっている。中々マニアックな物となってしまっていた。

それにうっすらと彼女?の身体のラインが浮き出ていて更にセクシーに際立っているのだから目のやり場には非常に困ってしまうだろう。


「ぅっ……あれ……ここは……?」


どうやら起きてしまった様だ。


「お、シキ!起きたみたいだぞ!」

「……え……誰ですか?」

「俺はリゼット!よろしくな!」

「シキだ。」

「ぼ……ボクはアルト……です。」

「アルトか……いきなりだが何であの森で盗賊に追いかけられていたんだ?」

「え……えっと……それは……ひっ……ひっぐ……」


余程辛い事があったのかアルトは大粒の涙を流しながら俯いてしまう。横から『泣かした~』といった感じにジト目で見てくるリゼットを無視してシキは彼女の頭に手を伸ばして優しく撫でた。


「……ふぇ?」

「悪いな……辛い事を聞いてしまって。多分だが……アルト、ずっと泣くのを我慢してるだろ?」

「……わかる……んですか?」

「凄く辛そうな顔してるからな。……泣きたいなら泣いてもいいから……安心して、な?」

「うっ……うぅ……」


シキは撫でていた手で優しくアルトの顔を自分の胸に押し付けると空いているもう一つの手で背中を優しくトントンと叩く。


それは子供をあやす様にも見えるがそれは温かくアルトが今まで我慢していた感情を安心して吐き出していった。


今のシキとアルトを見れば哀れな子供を女神が優しく包み込んでその苦しみを解き放っている様だろう。


暫くして泣き止み落ち着いたアルトはシキの白ローブを小さな両手で摘まんでいた。


今の表情は泣いて少しスッキリしたのか安心しているようだ。


しかしアルトは何か違和感を感じたのか自分の股を、胸を確認すると顔を真っ青にさせて狼狽していた。


「あ……あの……シキさんにリゼットさん」

「ん?」

「おう?」


「なっ何でボクは……女……の子に……なっているんでしょう……か?」



まあこうなる事はわかってはいたが酷く狼狽したアルトを宥めるのにシキ達が一苦労したのは言うまでもない。















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名前 アルト

性別 女 (元男)

種族 ハーフエルフ

職業 薬師


レベル 10

体力 200

魔力 7500

筋力 100

耐久 550

俊敏 1000

ーーー

[固有スキル]

薬師


ーーー

[スキル]

調合.6

魔力操作.4

弓術.0

付加.0

結界.0

気術.0



ーーー

[称号]

絶望を知る者

裏切られし者

性転換を果たした者


ーーー



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