まさかのTS!?

昼食を食べ終えた後、シキ達は再びバルリム王国へと向かう為にランスロットを走らせる。


あと一日で到着するだろう。


ランスロットは悠々しく馬車を引かしておりそれを操縦しているのはシキで後ろではリゼットが座って前の景色を眺めていた。


「はぁ~、シキの作ったシチュー美味かった~。なぁ、ハンバーグってのも美味いのか?」

「期待してもいいぞ」

「まじか!夕飯楽しみだな~……ん?」


リゼットが何か異変に気づく。

それはランスロットも同じな様で足を止めていた。


近くの茂みから薄汚れた男達が剣を構えて出てきた。


「おい!そこの馬車!止まれぇぇえ!」

「そこの女二人降りてこい!」

「へっへっへ……中々の上玉じゃねぇか」


不愉快な笑い声で馬車にゆっくり近づいてくる。だがシキの事は男ではなく女だと勘違いしているようだ。


「(コイツら……)」

「シキ、盗賊だ!」

「わかった」


シキとリゼットは馬車から降りると盗賊達はニヤニヤしながら更に近づいてきた。


しかし一番近くにいた盗賊の一人に向かってリゼットは鞘から太刀を抜き出して左肩から右腰にかけ斬った。


「あ……?」


間抜けな声を出しながらズルリと斜めに斬られた身体は遅れて地面に落ち、切断面から溢れんばかりの大量の血が溢れる。。


一瞬で斬った光景を目の当たりにして盗賊達は怯えた様に後ろへ一歩下がってしまう。


「おい、逃げられると思うなよ?」


「ヒィィィ!?」

「こんなの聞いてねぇ!」

「こんなやつ無理だぁぁあ!」

「死にたくねぇぇぇえ!」


盗賊全員が逃げようと図るがその前にリゼットは太刀を下に構えて駆け出す。


「ギャッ!」

「ガッ!」

「グハッ!」

「やめ……!」


逃げようとした盗賊達を一人で全滅させるとまだ生き残っていた盗賊達に向けてリゼットは最後まで殲滅させようと彼等の方へと歩んでいく。


「まっ、待ってくれ!まだ死にたくねぇんだ!」

「そ、そうだ!お、俺達のアジトには殺して奪った物が沢山ある!それをお前等二人にやるから見逃してくれ!」

「場所はこの先にある大きな木近くにある洞窟にある!本当だ!信じてくれっ!」


しかしリゼットが手を出す前に男達の額には黒いナイフが刺さって絶命していた。


「シキが殺ったのか?」

「あぁ。それよりこの先に誰かが追われているみたいだから助けに行く。リゼットはランスロットと待っててくれ」

「わかった!」

ーーーブルルル!


そしてシキは目にも止まらない速さで駆け出す。


[強化]を目に使って視力を高めて気配のする場所へと視た。


するとその視た先には数人の盗賊達が一人の少年を追いかけているのを発見する。


その盗賊達はさっき襲われた盗賊と同じ服装をしているので仲間なのだろうか。


追いかけられている少年は見た目は小柄でさらさらな金髪の持ち主た。だが服装は上下ボロボロで腕の中には大きな厚い本を抱えている。


「あっ!?」


少年は足が縺れて転けてしまい遅れてやって来た盗賊達に囲まれてしまう。


「(間に合えっ!)」


ここから少年の距離はかなり離れている。

普通の人では間に合わないだろうがシキはトップスピードでその場所へと駆け出す。


その速さはまさしく[神速]と呼ぶに相応しいだろう。


絶体絶命の少年は盗賊から逃げようとするが恐怖でなのか身体が硬直した様に大きな本を抱え怯えていた。


「だれか……だれか……助けて……」


掻き消えそうな少年の声は盗賊達の笑い声で掻き消えてしまう。


「さぁ、俺達が可愛がってやるよ」

「まじか、お前……」

「でもこいつ中々可愛い顔だぜ?」

「何だよ女じゃなくて男かよ……」

「まあおめぇみたいな物好きな奴に奴隷として売れば高値で売れるぞ」

「先に味見してもいいよな?」

「かまわねぇ……が、先に躾をしなくちゃな?」


盗賊の一人が少年に厭らしい手つきで触れようとするが、突如として少年が抱えた本が光出す。


「なっ、何だ!?」

「目が見えねぇ!」

「くそっ、餓鬼が何かしやがったか!?」


その光が輝き出したのと同時にシキはその場に到着するがその光に呆然と佇んでいた。


「何だ……あの光は……?いや、その前に!」


シキは[白光]で盗賊達のいる場所を特定した後、[漆黒]で生み出した二つの片手剣で心臓を一突きして絶命させた。


盗賊達が絶命したのと同時に光は収まる。


「……は?」


しかしそこにいる筈の少年の姿は無く代わりに一人の金髪の美少女がその場に倒れ込んでいたのだった。


「……どうなってる?」


その少女はあの少年と同じで金髪と髪型、服装も一緒だ。それに大きな本も抱えていたがその本には複雑な魔方陣が描かれており何となく『魔法書』か何かだろうと考える。


だが次の瞬間、その『魔法書』?は役目を終えたかの様に粉々に砕け散って消滅してしまった。


『魔法書』?が少年を少女に性転換させたのだろう。


そう考えるのが妥当だ。


シキはまた面倒な事になったと考えてしまうが彼?彼女?をそのまま放置するわけにもいかずシキは少女を抱えてリゼットとランスロットの場所へと戻っていくのだった。





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