第5話 束縛
前回
皆で会ったのは愛美ちゃんの結婚式だった
その時も結構話はしたけど
愛美ちゃんとの思いで話が多くて
景ちゃんのこの衝撃的な思出話ははじめてだ
と言うか
卒業式で「実は先生と付き合ってるんだ」って聞いたときも
私達の方からはなにも聞けなかった
なんだか踏み込んだらいけない気がして・・・
卒業して10年
そういえば景ちゃんがこの話をこんなに深くしてくれるのは
はじめてかもい知れない
「ねぇ先生とはその後したの?」結衣ちゃん
結衣ちゃんの直接的な聞き方にドキッとする
景ちゃんは深く頷いて
「その後すぐの春休み
彼の誕生日に・・・
バレンタインの大喧嘩で
お互いの気持ちもわかって
私は安心させてもらったから
「したい」
って思ってくれてるのなら
私もそうしたいって思う勇気が出てきてね
心臓が飛び出して来そうなくらい
とっても怖くて
私はお人形みたいに固まって
されるがままだったけど
彼は既に大人だったし
慣れてるようだったから
ある意味
安心感はあった
それから彼はちょっと変わった
何かと口うるさくなって
束縛って言うのかな?
スカートの丈から始まって
部活で今までと変わらない事をしているのにやたらと「あれって必要?」みたいな事をいちいち言ってくるようになった
特に孝太との事にはうるさくて
孝太にたいして他の事を持ち出して説教したりすることもあった
だから孝太に悪くって
後少しだったから部活を最後まで続けたかったけど辞めた」景ちゃん
「そうだったね
三年生引退の三ヶ月前だったね
みんな景ちゃんの事とっても頼ってたから
困ってたもんね」礼
「だけど
先生がそんなに束縛するなんてね・・・
でも
よく考えたらあの時の先生は今の私たちより少し若かったんだからね
あの頃の私たちからみれば大人だったけど
今思うとね・・・」結衣ちゃん
「私は昔から看護師になりたいって思ってて高校入ってすぐから進路は看護大学って決めていたの
だけど
それも彼の反対を受けて・・・
はじめは
「将来の夢があるなんて良いことだよ!
それに迷いなく進んでいく景は良いと思うよ」内田先生
って言ってくれていたのに
関係を持ってからの彼は
「卒業したら結婚しよう
だから進学しないでほしい」内田先生
そう言うようになって
私はそれがとっても嫌で
あの頃いつも会う度に言い合いをしていたの
とっても苦しかった
だって
あんなに大人で優しくて大好きだった人が
そう見えなくなっていくんだもの
頑張っていた部活を辞め
中の良かった幼馴染みとも距離をおき
進路まで変えられるなんて
嫌で嫌で仕方なかった
だけど
そんな話をしていないときは
以前とは変わらない彼で
ギュッてされたら癒されたし
キスされたら嬉しかったし
求められたら
結婚するのも有りかな・・・って思った
ぐらぐらよね
就職情報を検索したかと思えば
看護大学や看護学校の資料をみたり
はたからは何がしたいのか分からなかったでしょうね
両親からもよく叱られた
もう悩む時期ではないのに
まだなやんでるって」景ちゃん
「そっか・・・だからね
景ちゃんらしくないって思ってた
景ちゃんはしっかりものだから
あんなギリギリまで悩むだなんてらしくないって・・・」結衣ちゃん
「だけどさ
結局は看護学校へ進学したよね?
先生を納得させれたの?」礼
景ちゃんはちょっと顔を曇らせて
首を横に振った
「2学期の後半
願書締め切りのいよいよになって勝手に出したの
もっと早くに思いきれていたら
看護大学を受験していただろうけど
もう選択肢は看護学校しか残されていなかった
担任から
「本当に就職でいいの?」担任
って聞かれたときに
ダメダメ
って心がざわついた
っで勢いで願書を提出した
彼には数日後それがばれて
大喧嘩
それけらしばらく連絡もくれなかった
でも後悔はなかった」景ちゃん
景ちゃんは手元にあったコークハイをクイッと飲んだ
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