第17話
昨日突然に部室に訪れた誠は、今日は来て居ない・・当たり前の話なのだが、昨日のまま固まっていたりはしないので、課外クには無用の人間だと自覚したらその場からすぐに帰ったのだ。
現在はその翌日の放課後で、今は課外クにて今日の昼休みに祐介に合った出来事を、京子から聞いた加奈がちょっと不機嫌になり、祐介がそこを宥めすかしている所だ。
祐介「いやほんと正直に言うけど、何が言いたいのかまったく解らんかったな。ちょっとだけ文芸部の中身をさらっと言われたのと、時間を取って少し話を聞いて貰いたいって。それは部活の勧誘とかじゃないよ、うん。それに相談くらいなら同じ2年生なので、まったく無視してお断りってのもそんな性格の人間がオレですは嫌でしょ?」
加奈「そ、それはそうですね。同じ学校ですし女の子と話す?同級生ですから・・何なのその人?頼られてる訳ですから・・いきなりは気安いでしょ?」
祐介「えーちょっと壊れギミ?まぁなんだな、それは二人っきりで話さなくてもいいでしょうから・・」
財前副会長「坂上の所へ来たのは文芸部の高梨だ。彼女は唯一の2年生部員で、他には3年生しかいない。だから来年は1人部活になってしまうので、かなりのピンチではあるな。今までに話した事も無かったのなら、何かの思惑にワラ・・ゴミを掴みたいのかも?」
祐介「良くてワラなのに、あとの下落がゴミになったよ。そこでの底がみえないよ!落ちる先に何があるんだ。」
そこにお約束はしてなかったが、避けられない用事なら早めに済ますのが得策である。ならば直ぐにでもと課外ク3人は「お邪魔しま~す。」早々のお伺いで文芸部に到着をした。とは言っても財前副会長に、その連絡を取って貰い押しかけたのだが。それは当然のように加奈が寄り添って・・空いてる側に京子も着いて来ている。そこで先程の掛け声とともに入室し、その開口一番は加奈が取った。
加奈「沢山で押しかけてすいません。私達には電波不足は致命傷ですので、いつでも近接バリ3!気にせず気にかけないで下さい。」
そこで丁寧に加奈が腰を折って挨拶をすると、京子も右に同じとばかりに腰を折る。そこへ遅れて来た財前副会長が到着・・そこでの異様な光景に立ち竦んでしまう。
祐介「あー財ちゃんは違うから。財ちゃんは新機種だからバリ5の進化形です。」
財前副会長「こらこら!どっかのソフBの、インチキ受信と一緒にするな。受信が悪ければ隣に居ても、そんなバリは無理だからな。それより肝心な話を聞かせて貰おうではないか」
ならばと呼び寄せた高梨さんの前に座り、その後衛には壁のように3年男子が並んだ。その奥で距離を取った3年生の女子3人は、祐介達を訝しそうに睨んでいた。
それでも3年の男子は軽快に挨拶をして来たのだが、ここでいきなり加奈が私はナンシーと申しますと言った。ほんの一瞬だけ詰まった京子は、私は渚で~すと答えた。ナンシーに渚・・どうでもいいけど何かの店?ぼったくられちゃうのか?
それでちょっと怯んだ3年男子だが、気合いを入れ直して再度お話しに参加をしてくる。
3年男子「文芸部に興味とか湧かないですか?書籍は読んでも面白いけど、自分で書いて行くと自分の好んだ展開になって、世界観を改変して進むのが面白いよ。望む結果に導きたい気持ちを抑えながらも、いつの間にか嵌っていく感じとかね。書くのもそうだけど、文節とか解りにくければ根気良く教えるよ。」
京子「私は想像力も無いし、時間が取れないからちょっと無理かな。ナンシ~はヤドロクの世話が大変で、今は四苦八苦している最中だから子育てが終わってからの余暇で何か遣るかもね?」
加奈「はい、育てたいけど育てて貰いたい・・育ち過ぎなとこも有りますけど。」
祐介「この2人で両手に花がいっぱいおっぱいで、オレは手いっぱいです。お役に立てそうに無くてすいません先輩。適当にあしらいますから大丈夫なのと、他にもう一人りおりますので。それより高梨さんにはお話しを聞かせて貰う事に成っているので、これから聞かせて貰ってもいいですか?」
とにかく話しを進めようと・・オレ達は、ここに勧誘される為に来てるんじゃねえよ。
ここで聞かされた話の内容は、財前副会長が言った事とほぼ同じだった。先を繋げる部員が居ない・・部員ねぇ、部員の斡旋に伝手などあるはずもなく、新勧の遣り方もそんなに詳しくない。この事案を整理すればする程、そこでなんでオレなの?無いよ部員勧誘のスキルなんて。結局そこんとこの話しですよね?
京子「そっち?新部員の勧誘に使える能力?祐介に何かあるのかって言われても・・普段は何でも概ね遣る気は無いし、人付き合いが悪いから友達も殆ど居ない・・まして後輩にもまったく接点などなく、先輩には全滅程度かしら?それに成績やスポーツでの名声なども皆無でしょ?見てくれも害にならない程度で、インパクトに欠けてるのはほんとよね。」
3年男子「ずいぶん低い・・酷い評価の言われようなんだけど、その割りに仲が良さそうに見えるのは、こっちの気のせいなのかな?」
京子「ああー仲が良さそうに見えるってのは、気のせいです。実は・・超の仲良しですから。課外クの2人と財ちゃん以外には、祐介に寄って来てほしくないってのが正直な所ですね。高梨さんが話かけてた時には、みんなで思わずイラっと」
加奈「はい。その話しを京子姉さまから聞いて、私達はイラっとしちゃいました。祐くんは変質者としてもっと評判をあげて」
祐介「・・とにかく部活の新勧に考えられる正攻法を、もう一度遣っていくしか無いんじゃないの?現状での最優先確保は、現存の1年生って訳でしょう?自薦他薦を問わずの総当たりはやむなしって感じなんだが、それとは別の裏ワザとかでちょっとこすい事も仕方ないとは思うぞ。そっちのほうがぶっちゃけ確率は高いけど、稀な才を持つ人間が遠ざける結果にもなっちまうけど。」
そう言いながらも自分が、未来の変質者に向かっている事にびびっていた。ダメなの?普通なオレの存在は否定しなきゃいけないのか?
この提案の正攻法の総当たり戦で、直ぐにターゲットに思い当たる節はない。ここは学問の場である学校なので、広すぎる・・部活には無所属だが成績優秀者で尚、図書室を良く使い書籍の貸出率の多い者。何んの策略も無しで放課後に探索し、無駄な居残りで携帯をチクチクしながら時間を潰している奴が狙い目と言えよう。
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